【速報】カンヌライオンズ2026「Health」部門グランプリ受賞作品まとめ

2026年6月22日(月)から26日(金)まで、フランス・カンヌで開催されている「Cannes Lions International Festival of Creativity 2026」。世界中の広告・マーケティング・コミュニケーション領域の関係者が集まり、優れたクリエイティブを表彰する国際的なフェスティバルです。

今回は、健康や医療を中心とした社会課題の解決に貢献した作品に贈られる「Health」部門の各グランプリをピックアップ。個々人の健康の向上を表現した作品を評価する「Health & Wellness Lions」、非営利団体やNGO、公共サービスによる優れたコミュニケーション施策を評価する「Lions Health Grand Prix for Good」、規制の厳しい医療・医薬品業界における卓越したクリエイティビティを評価する「Pharma Lions」をご紹介します。

Health & Wellness Lions

The Periodic Fable(The Ordinary)

2016年にカナダで誕生したスキンケアブランドのThe Ordinaryは、しっかりとした科学的根拠に基づき、不要な添加物を極力排除したシンプルな商品開発の思想をセールスポイントにしています。そんなThe Ordinaryが“美容業界の闇”とも言うべき領域に堂々と踏み込み、現代社会における美容の意味や意義そのものに正面から問いを投げかけた事例が見事グランプリの座に輝きました。

“The Periodic Fable(化学のおとぎ話)”というタイトルの動画で描かれているのは、あまりにも行きすぎた美意識によって不可解な行動を取る不気味な集団の様子。

彼らは思い思いに化学物質を顔に塗りたくったり、どう見ても自然とは思えないようなレベルで顔面の皮膚を引っ張ったり……思わず目を背けたくなるような動画のラストでスクリーンに「わたしたちは長らく美に関する誤った知識を植え付けられていました。今こそ真実に目を向けましょう」というフレーズが映し出されます。

科学的な根拠がありシンプルであることにこだわるThe Ordinaryは、公式サイト内の特設ページに元素記号表を模した“美容にまつわるまやかし”の数々を掲載することで、今の美容業界がいかにユーザーに事実とは異なる認識※を与え、根拠に乏しい訴求を行ってきたかをストレートに打ち出したのです。

「ケミカルフリー:そんなものは存在しません。空気そのものだってケミカル(化学)でできているからです」や「しわ消し:しわは伸ばすことはできても、消すことは絶対にできません」など、よくよく考えてみれば納得できるフレーズを通じて競合ブランドとの差別化を“根拠に基づいた手法”で実現しました。

※あくまでもThe Ordinaryによる本施策内における表現であり、当媒体の意図することではございません

Lions Health Grand Prix for Good

Vehicle of Hope(Caritas)

長らく続く紛争に苦しむパレスチナのガザ地区の子どもたちにとって戦火そのものよりもおそろしいと言われているのが、感染症をはじめとした“本来治療可能な病”であるはずなのに紛争によって適切な処置を受けることが叶わずに命を落としてしまうこと。

イスラエル政府の意向によって外部からの支援が届きづらい状況下において少しでも子どもたちに整った医療環境を届けるべく、現地のカトリック系慈善団体・Caritasが実施した施策がグランプリを受賞しました。

Caritasが注目したのは、ローマ教皇が一般拝謁時に乗車する特別な自動車、通称・ポープモビール。なんと同団体はフランシスコ教皇(2025年4月に逝去)がご存命の間に「ポープモビールを移動式の診療所に変え、ガザ地区で苦しむ子どもたちに医療を届けるために活用させてほしい」と直談判し、その許諾を得ていたのです。

ある意味キリスト教の象徴とも言えるポープモビールが、各種検査キットや医薬品、縫合キットをはじめとした簡易的な治療器具を搭載した診療所へと生まれ変わりました。

故・フランシスコ教皇とキリスト教の慈愛の精神が詰まった事例として世界中のメディアが注目し、アーンドメディアを通じたリーチ数はなんと700億を突破。多くの注目を浴びただけでなく、実際に1日あたり約200人に対して医療を届けることにも成功したという点が評価され、グランプリの受賞に至ったようです。

Pharma Lions

Relax Your Tight End(Novartis)

スイスの大手製薬会社・ノバルティスによると、アメリカ人男性の8人に1人は生涯で一度は前立腺がんだと診断されるそうです。

早期発見と早期対処が何よりも重要ながん治療において、発覚後に何をするかよりもいかに早く発見するかが重要である」というメッセージをアメリカ市場に向けて最も適切かつ柔らかいトンマナで伝えたノバルティスの事例がグランプリの座を手にしました。

“Relax Your Tight End(タイトエンドをリラックスさせよう)”というタイトルには、アメリカンフットボールにおいて強靭なフィジカルと素早さの両立を求められるオフェンスの要となるポジション・タイトエンドと、お尻や肛門周りを意味するスラング・tight endのダブルミーニングが込められています。

普段は荒々しいプレイが求められるタイトエンドの選手たちが見たことがないほどリラックスしている様子と、前立腺がんの検査を行ったことで安心して人生を過ごすことができるというメッセージを1つの動画に詰め込んでいるのです。

訴求されている具体的なサービスとしてはノバルティスが提供する血液検査による前立腺がんの検査。がん検査と聞くと仰々しいものが想像されがちな中、あえてユーモアたっぷりなクリエイティブにすることで誰もが気軽に受けることができ、結果的にリラックスして人生に打ち込むことができるという強いメッセージ性が評価されたのではないでしょうか。

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