生成AIではつくれない体温を映す 時間と手間で魅せるポカリの新CM

タイパや効率が重視され、生成AIによって誰も見たことのない映像を瞬時に作れる現代。その利便性の裏で、大塚製薬の健康飲料「ポカリスエット」の新CM「POCARI HUMAN CHALLENGE」篇は、延べ約1,000人の人力で過酷な水中パフォーマンスに挑み、人間味がもたらす尊さをまっすぐに伝えています。

これまでの同ブランドのCMといえば、青春や家族愛をテーマにしたものが多く見られました。しかし今回は、世界20ヵ国から集まった異なる国籍や年齢の人々が沖縄の海に集結し、ダイナミックにひとつの地球を描き出します。

楽曲「SING SING SING」の躍動感あふれるリズムに合わせ、しずくや花火の形を全員の身体で表現。「わたしにはできないことが、わたしたちならできる。」というナレーションが象徴するように、作品の主語は身近な個人の日常から、世界を巻き込む人類のつながりと可能性へとスケールを大きく広げました。

大塚製薬は「人の可能性を信じる。」という言葉を今回のコンセプトの中心に据えています。どんなに便利な時代になっても、人は人が作ったものに心動かされるという想いのもと、効率化に逆行するかのような表現を選択しました。

撮影現場では初対面の人々が言葉の壁を越え、声をかけ合いながら身体を動かしてひとつの表現を作り上げています。このプロセスで生み出されたノンフィクションの熱量は、単なる映像のインパクトにとどまらず、デジタル社会を生きる現代人の心に強い情緒的価値として響くでしょう。

現在、海外売上数量が国内を上回っているというポカリスエット。近年はインドやナイジェリアなどへも進出しており、グローバルブランドとして成長を加速させています。

国籍も年齢も異なるキャストが集い、言葉ではなく身体の躍動で一体感を表現する今回の試みは、名実ともに世界へ広がった現在の立ち位置を象徴する、ドキュメンタリー性の高いCMといえます。

一過性のトレンドを追うのではなく、効率社会で省略されがちな時間と手間をあえてかける。この姿勢は、生活者との間に信頼関係を築き、ブランドへの長期的な好意形成を生むきっかけになるでしょう。

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