【速報】カンヌライオンズ2023「Classic」部門グランプリ受賞作品まとめ

2023年6月にフランス・カンヌで開催された「Cannes Lions 2023」。映像やグラフィックをはじめとした王道の広告領域において高いクラフト力やマーケティング効果を賞賛する「Classic」部門において、映像が持つ魅力を最大限引き出した作品を評価する「Film Lions」、OOHの新たな可能性を見出した作品を評価する「Outdoor Lions」、雑誌や新聞をはじめとしたプリント媒体において斬新な表現手法を生み出した作品を評価する「Print & Publishing Lions」、音声メディアを通じて多くの人の注目を得た作品を評価する「Radio & Audio Lions」の4つの賞におけるグランプリをご紹介します。

Film Lions

「R.I.P. Leon」(Apple)

アップルのiPhoneが持つ「ショートメッセージの送信を取り消せる機能」を訴求した短尺CMがグランプリを獲得しました。Leonという名前のトカゲを友人の留守中に預かり、その面倒を見ていた男性が主人公の動画では突然動かなくなったLeonが死んでしまったのだと勘違いして「ごめん、Leonが死んじゃった」というメッセージが送信される様子が描かれています。

送信したあとに動き出したLeonを見て急いでメッセージを取り消す男性の上に「安心して、これはiPhoneだから」というシンプルなキャッチコピーが乗り幕を下ろす動画は、短い尺の中で適度な緊張感を演出しつつ、絶妙なライティングや音楽が醸し出す独特の空気感が評価され受賞にいたりました。

「The Last Photo」(CALM x ITV)

以前PR EDGEでもご紹介したNPO・CALMの自殺に関する啓蒙施策も「Film」部門においてグランプリを受賞しました。CALMは「自ら命を絶ってしまう人の多くはその予兆として悲しい表情しか浮かべていないわけではない」というメッセージを表現するために、自殺者たちが生前最後に撮られた写真の展示会とそれらをまとめた動画を公開。

一見すると幸せそうな様子の映像であったとしても、映されている人々はその後還らぬ人となってしまった。見る人全員に衝撃を与え、一般的な自殺に関するイメージを根本的に覆した映像の企画と構成力が評価され、見事受賞にいたったようです。

Outdoor Lions

「A British Original」(British Airways)

ポストコロナが到来し、世界中の人々が再び旅行へと繰り出した2022年。そんな機運に乗るべく、British Airwaysが制作した500種類ものOOHとデジタルサイネージ用の短尺動画がグランプリを受賞しました。施策の内容としては、通常であれば「ビジネス目的」や「旅行目的」という簡単な回答しか用意されていない「あなたの旅の目的は?」という質問に対し、500種類もの本音を書き出した第3の選択肢を与えました。

「画像データじゃないヤシの木を見るため」や「アマゾン、本物の方のね」といった旅行欲を掻き立てる内容や、デジタルサイネージでは時間帯や天気によって「まだ16:34なのに暗いのがいやだから」や「こんなひどい天気はうんざりだから」といったレスポンシブな内容も用意されています。イギリス人のインサイトをしっかりと捉え、長い間旅行に行けなかったフラストレーションに対するユーモアたっぷりなアプローチが評価され受賞へといたりました。

Print & Publishing Lions

「Newspapers Inside the Newspaper Edition」(AnNahar Newspaper)

不安定な政治状況が多くの国民を苦しめているレバノンにおいて、正しい情報を適切なタイミングで知ることは、人によっては文字どおり生死に関わる重要なことです。それでも多くの報道メディアは政府からの統制下において言論の自由が奪われてしまうこともあり、国境なき記者団が「中東は報道者にとって世界で最も危険な地域である」と非難するほどの状況に置かれています。そんな中、レバノンの新聞会社AnNahar Newspaperが実施した言論統制に真っ向から抵抗する施策がグランプリを受賞しました。

施策の内容としては、過去10年ほどの間に政府からの指示によって公開が停止されてしまったニュースを複数記事集めた新聞紙を発行するというもの。時間を空けて国民に揉み消されてしまった過去の声を公開することで、AnNahar Newspaperが理想とする報道の姿と決して政府の統制に屈しない存在ありたいという強烈なメッセージが評価され受賞にいたりました。

Radio & Audio Lions

「Phone it In」(Skinny)

「多額の広告費を使うということはそれを上回る利益を上げなければいけない。そしてその利益はエンドユーザーの負担の上になりたっている」という理念を掲げるニュージーランドの通信会社Skinnyは、本当の意味でユーザーに寄り添うブランドとして知られています。そんなSkinnyが実施した、OOHとラジオ広告を組み合わせたユーザー参加型の施策がグランプリを獲得しました。

施策の内容としては、ラジオCM用のスクリプトが記載されたOOHを格安の媒体に掲載するというもの。ビジュアルに書かれたフリーダイヤルに電話をすると録音がはじまり、ユーザー自らがスクリプトを読み上げると後日その音声データが本物のラジオ広告として流されます。自分の声が広告になるというフックで2,560人もの人が参加し、昨対比で新規ユーザー数を34%も伸長させたことや、本来であればラジオ広告を収録するのに必要な有名タレントのキャスティング費や録音費、スタジオレンタル費用までをもカットすることに成功した斬新な手法が評価されました。

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