物価高の時代に省エネ・節電を提案する企画10選【2026年版】
電気代や物価高への関心が続くなか、省エネや節電は生活者にとって身近なテーマとなっています。一方で、我慢や節約を前面に出した訴求は、参加への心理的負担につながりやすく、企業には新たな伝え方が求められています。
2026年の事例を見ると、そうした心理的ハードルをエンタメ要素やお得感、社会貢献の文脈へと転換し、省エネを楽しく、お得に、無理なく取り入れてもらう企画が広がっているようです。
本記事では、日常の節電を楽しい体験に変えて生活者の具体的な行動へつなげている10例をまとめました。
1.晴れたら電気代がお得!Looopでんきのアプリを活用した節電施策

株式会社Looopは、電力小売サービス「Looopでんき」において、2026年1月29日(木)から3月16日(月)までくじ型キャンペーン「Looopジャンボ」を実施しました。
また、5月28日(木)からは公式モバイルアプリの新規ユーザーを対象にした「ウェルカム晴れ割」の提供を開始しています。
いずれも公式モバイルアプリを起点に、楽しさと割引体験を組み合わせた取り組みです。
物価高騰に伴う電気代の負担増から、生活者の節約意識は高まる一方ですが、我慢や義務感による節電は継続が難しいという心理的ハードルも存在します。
そこで同社は、「スマートタイムONE(電灯)」(市場連動型料金プラン)の契約者を対象に1日1回のアプリログインで抽選券がもらえるエンタメ要素や、晴天時の特定の時間帯に電気料金を割り引く仕組みを導入しました。
生活者は、ゲーム感覚で運試しを楽しみながら毎日アプリを開くようになり、さらに太陽光発電由来の電気が多い時間帯へ利用をずらす、ピークシフトのアクションへと自然に誘導しています。
「楽しさ」と「お得感」を入口に習慣形成を促すアプローチは、継続率が課題となりがちなエネルギー系アプリのエンゲージメント向上策として参考になる事例です。
2.消灯時間をSNS投稿へ オクトパスエナジーの参加型寄付キャンペーン

電力会社のTGオクトパスエナジー株式会社は、2026年3月28日(土)の20時30分から21時30分に開催された、世界的な環境アクション「EARTH HOUR 2026」に合わせ、参加型ソーシャルキャンペーン「Love & Power アクション!アースアワー2026」を実施しました。
アースアワーの時間の過ごし方を、指定のハッシュタグを付けてSNSへ投稿すると、1投稿につき88円が公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)へ寄付される取り組みです。
アースアワーは、WWFジャパンが主催する世界的な環境アクションで、同日・同時刻に消灯することで環境問題への関心を示します。同社は、キャンドルの灯りで家族と会話をするなど、日常の延長にある心地よい過ごし方をSNSで募集しました。
節電や環境配慮を我慢や義務として捉えるのではなく、家族や友人との時間を見つめ直す機会として提案している点が特徴です。
これにより、環境保全への参加ハードルを下げ、生活者が自発的に発信したくなる体験へと変えています。
節電を呼びかけるだけでなく、消灯時の豊かな時間を可視化して共有することで、ブランドが目指す環境への姿勢を身近な形で伝えた取り組みです。
3.エアコン2027年問題を見据え購入からサブスクへ誘導するCLASの提案

家具や家電のレンタル・サブスク「CLAS」を運営する株式会社クラスは、2026年5月26日(火)から6月9日(火)まで、「空調家電の導入応援キャンペーン」を実施しました。
エアコンやスポットクーラー、除湿機、サーキュレーターなどを対象に、CLASで利用できる1,000円分のポイントを進呈する企画です。
背景には、2027年4月から適用される新たな省エネ基準や冷媒規制の強化に伴う「エアコン2027年問題」があります。今後は省エネ性能の向上や新冷媒への対応に伴い、エアコン本体価格の上昇が見込まれており、買い替え時の初期費用負担が課題のひとつとなっています。
そこで同社は、高額な初期費用を抑え、月額料金でエアコンやスポットクーラーを導入できる、レンタルという選択肢を提案しました。
利用者は必要な期間だけ空調家電を導入でき、ライフスタイルや住環境の変化に応じて交換や返却も可能です。さらにポイント付与を組み合わせることで、導入のきっかけづくりにつなげています。
今後の環境規制の強化や省エネ基準の引き上げといった社会の動きを捉え、自社の強みである家具・家電のサブスクリプションという仕組みを、生活者の不安を解消するタイムリーな選択肢として位置づけたマーケティング事例です。
4.電気使用量のチェックを日常の楽しみに変える auでんきの梅雨晴れガチャ

auエネルギー&ライフ株式会社は、2026年6月11日(木)から6月17日(水)まで、auでんきアプリ利用者を対象に「梅雨晴れガチャ」を実施しました。期間中にアプリを起動するとガチャチケットが1枚配布され、最大1,000Pontaポイントが当たるキャンペーンです。
auでんきアプリでは、電気使用量の見える化や料金予測、節電アドバイスなどを提供していますが、こうした機能は継続的に利用してもらうことが難しい傾向にあります。
同社は、2025年より季節イベントと連動したアプリでのガチャ企画を継続して展開しており、これまでに延べ200万人以上が参加しています。
天候が不安定で生活者の気分も落ち込みがちな梅雨の時期に合わせ、同社はアプリを開くひとときが日常のささやかな気分転換となるよう、「梅雨晴れガチャ」を企画しました。
イベントを定期的に実施することで生活者が気軽にアプリを開くきっかけを作り、電気使用量の見える化や料金予測などの情報に触れる機会を生み出しています。
季節特有の心理に寄り添うキャンペーンを通じて、アプリを起動するハードルを下げ、日々の電気料金や使用量を主体的に確認する習慣づくりに結びつけたアプローチです。
5.節電の成果をポイント還元 四国電力の省エネ応援キャンペーン

四国電力株式会社は、会員制Webサービス「よんでんコンシェルジュ」に登録している利用者を対象に、2026年6月2日(火)から8月10日(月)まで「夏の生活応援&省エネチャレンジキャンペーン2026」の申し込みを受け付けています。
電気の使用量が増える7月分から9月分の期間に合わせ、電気代の負担を減らして家計をサポートし、楽しく節電を試してもらう企画です。
夏季は熱中症対策などから冷房の利用が不可欠となるため、電気代への懸念が高まりやすい時期です。一方、無理な我慢を伴う節電は避けたいという心理が働くこともあるでしょう。
同社は、対象期間の電気料金に応じたポイントを通常の5倍進呈するほか、人気家電などが当たる抽選や、前年同月比で3%以上の節電を達成した人に最大1万ポイントを付与するキャンペーンを展開。
生活者は、普段通りの暮らしを維持しながらポイント還元を受けられるだけでなく、ゲーム感覚で少しの工夫を重ねながら節電に取り組めます。
省エネへの取り組みを、ポイント増量や豪華な抽選といった目に見える報酬と結びつけることで参加を促すキャンペーン事例です。
6.街で涼んで楽しく節電 東急グループのクールシェアキャンペーン

東急パワーサプライと東急グループ各社は、2026年7月1日(水)から「夏の電気バカンス大作戦2026」を実施します。
家庭で電気使用を我慢するのではなく、商業施設や公共スペースへ出かける「クールシェア」を促進し、節電につなげる取り組みです。
同施策は2016年から続くプロジェクトで、2025年は約18万世帯が参加し、合計約30万kWhの節電を達成しました。
2026年は対象施設を拡大し、ひんやりグルメの無料クーポン配布やホラーイベント、ミュージカル招待企画などを展開。
さらに施設への来訪でポイントが貯まる仕組みや、節電量に応じてQUOカードPayを進呈するプログラムも用意されています。
自宅での節電や我慢を求めるのではなく、街や商業施設を活用した快適な過ごし方を提案することで、生活者の行動変容を促しています。
節電を外出のきっかけへと転換し、商業施設の集客や地域回遊とも連動させた、都市型ならではのクールシェア施策といえるでしょう。
7.全国5,000拠点をクールスポットに イオンの熱中症対策と夏商材プロモーション

イオン株式会社は、2026年4月17日(金)から9月10日(木)まで、全国のグループ店舗において「夏を楽しむ」をテーマにした大型企画「COOL de ACTION 2026」を実施しています。
猛暑時の外出に不安を感じる生活者の安全を守るため、全国約5,000拠点を「クールスポット」として開放するとともに、専門知識を持つ従業員「熱中症対策アンバサダー®」を約3万人規模で配置する体制を整えました。
この取り組みに合わせ、ランドセルも覆える子ども用日傘や接触冷感インナーといった熱中症対策商品を豊富にラインアップ。さらに、涼しい店内で楽しめる家族向けの啓発イベントや屋内の遊び場も充実させています。
単に涼む場所を提供するだけでなく、涼しさを求めて訪れた生活者に対して、快適に夏を過ごすためのグッズや体験をあわせて提案する導線がつくられています。
自社が持つ広大な店舗網を地域の猛暑時のセーフティネットとして機能させつつ、来店動機を高めて夏商材の販売促進へつなげる事例です。
8.国の制度を活用してお得感を創出するコメリのリフォーム福袋

株式会社コメリは、2026年6月1日(月)から7月31日(金)まで、全国の「コメリパワー」「コメリハード&グリーン」およびコメリドットコムで「夏トク リフォーム福袋」の受付を開始しました。
毎年恒例の企画で、システムキッチンや給湯器、洗面化粧台といった水まわり設備から、断熱窓、玄関ドア、物置、カーポートなどのエクステリアまで幅広いリフォームプランを用意。対象商品にはコメリポイントの付与やプレゼント特典が設定されており、お得感を打ち出しています。
今年の福袋には、国の「住宅省エネ2026キャンペーン」対象商品を組み込みました。断熱内窓や高効率給湯器のエコキュートなど、補助金活用とポイント還元を組み合わせることで、リフォームの初期負担軽減を訴求しています。
省エネリフォームは制度や補助金の説明が複雑になりがちですが、「福袋」というわかりやすい企画商品にすることで、生活者が検討しやすい形にしています。光熱費の上昇や住宅の省エネ化への関心が高まるなか、補助制度を活用したリフォーム提案を分かりやすくパッケージ化した販促企画です。
9.キンタロー。が演歌歌手に!オリジナル楽曲で制度の対象拡大を訴求するテレビCM

三協テック株式会社は、2026年3月23日(月)より、後付樹脂内窓「プラメイク」シリーズを訴求する新テレビCM「二重窓の恋」篇の放送を開始しました。同施策は、「先進的窓リノベ2026事業」の補助金を活用した「おかげさまキャンペーン2026」の一環として展開されています。
CMでは、タレントのキンタロー。さんが演歌歌手「二重窓華(にじゅう まどか)」に扮し、オリジナル楽曲「二重窓の恋」を披露。司会者役の田巻果奈さんとの掛け合いを通じて、断熱性能向上や省エネにつながる二重窓リフォームのメリットを印象的に伝えています。
2026年度の「先進的窓リノベ事業」は住宅に加え、店舗や介護施設などの非住宅建築物も対象となりました。制度変更によって広がった補助金活用の機会を、難しい制度説明ではなく、耳に残る演歌とコミカルな演出で認知拡大につなげています。
補助金制度や省エネ性能といった理解のハードルが高いテーマに対し、エンターテインメント性の高いクリエイティブを組み合わせることで関心を喚起。
制度の拡充というタイムリーな情報と親しみやすいエンタメ要素を掛け合わせ、説明が難しくなりがちな補助金活用や窓改修の重要性を印象的に伝えたアプローチです。
10.省エネと品質向上を両立 セブンカフェラテ新型マシンを1万1千店へ拡大

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、2026年度中に「セブンカフェ カフェラテ」の新型マシンを約11,000店舗まで拡大導入すると発表しました。
同社は、さらなる燃料費の高騰が懸念されるなか、電力使用量や環境負荷の低減に取り組むべく設備投資を前倒しで進めています。
新型マシンの導入は、断熱性能を向上させ、従来機種と比べて消費電力を約1割低減しながら、品質向上や店舗業務の効率化も実現する設備投資です。
生活者はこれまで通り商品を購入するだけで、結果として電力使用量や環境負荷の低減に間接的に関わることができます。
利用者に我慢を求めず、設備投資により商品の美味しさや品質の向上といった店舗体験の満足度を高めながら、同時に省エネを進める仕組みといえるでしょう。
物価高の時代に省エネ・節電を提案する企画まとめ
2026年の夏季に向けて展開された、楽しさと実利を兼ね備えた省エネ・節電の取り組みを10例振り返りました。
共通しているのは、生活者に我慢を強いるのではなく、ポイント還元や補助金活用、ガチャや天候と連動した割引企画など、魅力的な体験型インセンティブによって参加動機を創出している点です。
PR視点では、梅雨や猛暑といった季節特有の心理に寄り添い、SNS投稿を環境保護への寄付につなげるなど、ブランドの姿勢を身近な形で伝える工夫が見られます。
販促視点においては、高額な空調家電の購入に対してサブスクリプションという選択肢を提示したり、全国の店舗網を「クールスポット」として開放して夏商材の購買へとつなげるアプローチも確立されてきたようです。
社会的な課題への取り組みを自社の強みやアセットと結びつけ、生活者がふだん通りの行動のなかで心地よく参加できる仕組みを整えることが求められているのかもしれません。
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