観光・宿泊系の広告・PR事例まとめ|ゴールデンウィーク・夏休み商戦に役立つ30選
ゴールデンウィークや夏休みといった大型連休は、観光・宿泊業界にとって大きなチャンスですが、各社が一斉に動き出すからこそ、似たような訴求に埋もれてしまう難しさもあります。
そんな中で注目したいのが、思わず誰かに話したくなるようなユニークな広告・PR事例。少し視点を変えた発想や、遊び心のある仕掛けが、生活者の「行ってみたい」という気持ちを自然と引き出しています。
本記事では、ゴールデンウィーク・夏休み商戦に役立つ、観光・宿泊系の広告・PR事例をピックアップ。企画づくりのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
1.既存アトラクションの価値を再定義で話題化へ 西武園ゆうえんちのPR施策

埼玉県所沢市にある「西武園ゆうえんち」は、ゴールデンウィーク期間に、所沢市出身のタレント・春日俊彰さん(オードリー)を起用した期間限定アトラクション「シューティング遊園地」を展開します。
「メリーゴーラウンド」や「夕日列車」などの既存アトラクションにシューティング要素を加えることで、設備投資を抑えた最小限のコストで、体験価値を再定義した施策です。
来園者が事前に自らのスマートフォンで赤外線銃にあるQRコード®を読み込み、命中するとスマホから「トゥース!」と春日さんの声が聞こえる仕掛けもユニーク。「地元のスターと共に遊ぶ」という親近感を醸成し、リピート来園やSNS拡散の効果が期待できそうです。
需要が高まる大型連休に合わせ、園内の楽しみ方をアップデートした本施策。既存資産を活かしながら遊び方を再設計し、新たな来園動機を生み出している点が参考になる切り口といえます。
2.“やってみたい”を呼び起こす 鈴廣かまぼこの里の体験型ビールイベント

鈴廣かまぼこ株式会社が運営する「鈴廣かまぼこの里」は、2026年4月29日(水)~5月6日(水)のゴールデンウィーク期間に、「箱根ビールフェスタ2026」を開催。
ひときわ目を引くのが、「蛇口をひねるとビールが出てくる」という仕掛け。ビール好きなら一度は想像したことのあるシーンを、そのまま体験として実装することで、直感的に興味を喚起。説明を読まなくても魅力が伝わるわかりやすさが、来場のハードルをぐっと下げています。
さらに、クラフトビール3種の飲み比べや、かまぼこを使ったおつまみメニューがそろい、体験の楽しさがそのまま商品理解へとつながっていく流れになっている点も秀逸。ビール購入に応じた特典も用意されており、体験だけで終わらせず購買へとつなげる導線が丁寧に組み込まれています。
大型連休の観光PRにおいて、“最初のひと押し”をどうつくるかを考えるうえで、ヒントになる取り組みです。
3.遠出しないことをポジティブに変換 星野リゾートが提案する“安近短”の連休ステイ

星野リゾートは、2026年のゴールデンウィークに向けた提案として「連休攻略シリーズ」第2弾を発表。燃油高騰や混雑といった背景を踏まえ、「遠出をしなくても連休は楽しめる」という新たな価値観を打ち出しました。
遠出のプレッシャーを感じがちな大型連休。トレンドワードであるタイパやコスパといった価値観を軸に、「近場だからこそ質の高い体験に時間とお金を使える」とポジティブに言い換えることで、生活者の意思決定を軽やかにしています。
また、大自然でのリトリートと都市部での推し活・おこもりステイという対照的な過ごし方を並列で提示している点も特徴的です。連休の過ごし方そのものを複数の“攻略法”として提示することで、読み手が自分に合った選択肢を見つけやすい構成になっています。
無理のない範囲で連休を楽しむ過ごし方を発信することで、ハードルを下げながら来訪意欲を高める工夫は、時流を捉えたアプローチといえそうです。
4.“必ず座れる”をフックに移動体験を再設計 箱根登山電車のゴールデンウィーク事前予約施策

株式会社小田急箱根は、2026年5月3日(祝・日)~5日(祝・火)のゴールデンウィーク期間に、箱根湯本駅から強羅駅までを結ぶ箱根登山電車の臨時列車において、座席予約券「らくらく着席予約券」を初導入します。
運賃に500円を追加することで確実に座れる仕組みを用意。途中駅での乗降をなくすことで、混雑のストレスを軽減しつつ、スイッチバックや急こう配といった山岳鉄道ならではの魅力を落ち着いて楽しめる環境をつくり出しています。
さらに、箱根登山ケーブルカーや箱根ロープウェイでは、事前予約による優先改札を無料で展開。ピーク時でもスムーズに乗車できる導線を用意することで、長時間の待機を避けたい来訪者のニーズに応えています。
「待たない」「座れる」といった体験価値をパッケージ化し、事前予約という行動を促す本施策。混雑が前提となる大型連休において、ネガティブになりがちな移動時間をどうポジティブに転換したががポイントです。
5.ゴールデンウィークに朝活を提案! マザー牧場の早朝開園×体験設計

株式会社マザー牧場は、2026年のゴールデンウィークにあわせて、通常より早い開園時間での特別営業を実施。あわせて、約200頭の羊が目の前までやってくる「ひつじの大放牧」や朝限定メニューを用意し、“早起きして出かける理由”そのものをつくっています。
開園時間を早めるという運営情報を、そのまま企画の魅力へと転換。大型連休の観光地では渋滞や混雑がネックになりがちですが、他施設よりも早く営業を開始することで、課題の解決を図ります。
大型連休の集客施策は人が集まる時間帯に合わせた企画を考えがちですが、朝活文脈を味方につけながら、渋滞回避と限定体験をひとつのストーリーにまとめています。
6.漁港の朝食体験を宿泊理由に 富山県が仕掛ける“朝の非日常”

富山県は、ホタルイカ漁の現場を訪ねる体験ツアー「ホタルイカ漁師と楽しむ特別な朝食体験」において、県内ホテルと連携した宿泊プランを追加しました。
普段、一般の人の立ち入りができない水揚げ漁港にて、青く発光するホタルイカを鑑賞し、その場で調理された朝食まで味わえるという内容で、富山ならではの非日常を宿泊と一体で届けています。
県外からの来訪者の約7割が日帰りという課題に対し、滞在時間の延長や観光消費額の拡大につなげるために、宿泊施設の提案など受け皿まで整えている点も見逃せません。
さらに、夜明け前の漁港という“普段は開かれていない場所”を舞台にしていることも、来訪動機を高める要素のひとつ。見慣れた名所ではなく、立ち入れない現場をのぞける希少性を打ち出すことで、「その時間、その場所に行く意味」を生み出しています。
「寿司といえば、富山」というブランド文脈を土台にしながら、ナイトタイムから朝方へと体験を広げた施策です。
7.泊まるだけで終わらせない 館内宝探しとクラフト体験で楽しませるゴールデンウィーク企画

水戸プラザホテルは、4月27日(月)チェックイン~5月11日(月)チェックアウトの宿泊者を対象に、限定イベント「プラザ探検隊!かくれた宝を探せ!The Second」を開催。館内を巡る宝探しとクラフト体験を組み合わせ、“泊まるだけではない”滞在の楽しみ方を提案しています。
イベントでは、館内6ヵ所に設置された宝箱を巡りながらウッドビーズを収集し、各スポットに隠された文字を並べ替えて言葉を完成させるミッションを用意。達成後は集めたビーズを使ってオリジナルのブレスレットを制作でき、体験のプロセスそのものが思い出として持ち帰れる設計になっています。
既存の館内空間を活用しながら“探す楽しさ”と“つくる喜び”を掛け合わせることで、ホテル内での滞在時間に自然と意味を持たせている点がポイント。参加無料かつ宿泊者限定とすることで、体験の特別感とお得感を両立し、ファミリー層にとっての満足度を高めています。
8.“マツケン一色”で世界観をジャック 八景島シーパラダイスの振り切りコラボ

横浜・八景島シーパラダイスが2026年のゴールデンウィーク企画として開催するのは、俳優・松平健さんとのコラボレーション企画「マツケンまみれゆうえんち」。
その名のとおり、園内全体を「どこにいてもマツケン」「何をしてもマツケンサンバ」という世界観で統一し、汽車やシューティングからフォトスポット、水族館のパフォーマンスに至るまで、視覚・聴覚・体験のすべてを巻き込んで“マツケン化”していく構成です。
さらに、お面の配布によって来場者自身もマツケンの一部になる演出も秀逸。空間だけでなく参加者まで巻き込むことで、「見る」から「なりきる」へと体験を拡張。気づけば誰もがコンテンツの一部になっている状態をつくり出しています。
「やりすぎ」と感じるレベルまで、記憶に残る体験へ振り切っているのが魅力の本施策。大型連休の集客において、来場理由だけでなく「行った先で何度も楽しめる状態」をつくるためのヒントが詰まった企画です。
9.夜の公園に“100万個のシャボン玉” 非日常をつくるナイトバブルイベント

愛知県豊田市の鞍ケ池公園では、2026年5月3日(日・祝)〜4日(月・祝)の2日間、「鞍ケ池ナイトバブルフェス2026」を開催。10名のバブルパフォーマーによるショーを中心に、光・音・シャボン玉を掛け合わせた夜限定のエンターテインメントを展開します。
夜空に舞い上がる100万個を超えるシャボン玉を、ライティングと音楽で演出するビジュアルは、それだけで「見てみたい」と思わせる強いフックに。昼ではなく夜に設定することで、同じ公園でもまったく異なる表情を引き出し、日常の延長にある場所を非日常の空間へと変えています。
また、大道芸や音楽ライブ、キッチンカー、縁日ブースなど複数のコンテンツを用意することで、早い時間から来場しても楽しめる工夫も。イベント全体で滞在時間を引き延ばす仕組みで、家族連れからカップルまで幅広い対象者を取り込めるようになっています。
10.受験生応援プランの緊急発売が話題に 需要高騰の逆張りで信頼を獲得

国民的アイドルグループ「嵐」のファイナルコンサートツアーと国立大学の後期試験日程が重なった2026年3月。北海道札幌市では市内ホテルの予約が逼迫する状況が予想されていました。
こうした中、リソル株式会社は「ホテルリソルトリニティ札幌」および「ホテルリソル札幌 中島公園」にて、受験生とその保護者を対象とした「受験生応援プラン」を展開。
宿泊需要の高まりに応じて価格が上昇しやすいタイミングにもかかわらず、1泊10,000円(税込・朝食付き)の固定料金を設定することで、受験生が安心して宿泊先を確保できる環境を提供し話題となりました。
また、宿泊前日までキャンセル無料で、前期試験の結果が確定する前でもリスクなく予約できるため、受験生の不確実なスケジュールでも利用しやすいのが魅力です。
さらに、客室にはデスクライトや加湿器、リラックスグッズを用意し、受験前夜を落ち着いて過ごせる環境を整えるだけでなく、合格祈願の絵馬を札幌八幡宮に奉納するサービスなど、精神的な支えとなる取り組みも印象的でした。
需要が高まる局面では価格を上げるのが一般的な中で、あえて“据え置く”という判断を通じて対象者の信頼を獲得した今回の取り組み。短期的な収益だけでなく、中長期でのブランド価値やファン形成につなげていくマーケティングの好例といえるでしょう。
11.クセのあるビジュアルで関心を引く 鹿児島観光キャンペーン「かごんまーベラス」

JR九州とJR西日本、鹿児島県は、2026年3月の九州新幹線全線開業および山陽・九州新幹線直通運転から15周年を迎える節目にあわせ、観光キャンペーン「感動!ふたたび!かごんまーベラス」を展開しました。
鹿児島を意味する方言「かごんま」と英語「マーベラス」を掛け合わせたキャッチーなネーミングと、手書きイラストを軸にしたビジュアルで、鹿児島の魅力を発信しています。
観光PRで定番となりがちな美しい写真ではなく、あえてローカル感の強いイラストを採用している点も好印象。鹿児島市内の雑貨店「カゴマニア」が手がけた独特なタッチに、「すごい!」「たのしい」といった直感的な言葉を重ねることで、完成度よりも親しみやすさや記憶への残りやすさを優先した流れになっています。
さらに、JR九州版とJR西日本版で描かれる新幹線の車体を変えるなど、細部でエリアごとの差異を持たせているのも興味深いところです。受け手にとっての“自分ごと化”をさりげなく促しながら、鹿児島という目的地への距離感を縮めています。
施策はビジュアル訴求だけでなく、スタンプラリーやフリーきっぷといった周遊施策とも連動。複数スポットを巡る動線を意識することで、滞在時間の延長や消費機会の拡大につなげています。
12.伊藤匠二冠の“静けさ”で空間価値を伝える 将棋と重ねて描くアパホテルの新CM

アパホテルは、棋士の伊藤匠叡王・王座と広告出演契約を締結し、新CM「次の一手へホテル」篇と「次の一手へリゾート」篇を公開しました。
両CMは、「棋士・伊藤匠は、静かな男だ」というナレーションからスタート。伊藤匠二冠の“静けさ”を起点に、余白を活かした演出で空間の価値を伝えています。
「次の一手へホテル」篇では都市型ホテルで思考を深める姿を描き、「次の一手へリゾート」篇では温泉リゾート「アパリゾート佳水郷」を舞台に対局前の時間を表現。異なる業態を視聴者に向けて自然と印象づける演出が効いています。
叡王戦への協賛や対局会場の提供、「アパジュニアカップ/こども将棋大会」の開催など、単発ではない取り組みを積み重ねてきた同社だからこそ、将棋を軸とした表現に説得力が生まれています。
多くを語らず、人物の佇まいと空間でブランドを伝える今回のCM。「次の一手へ」というコピーとともに、挑戦を続ける企業姿勢を印象づける構成となっています。
13.体験の意味づけで差をつける 禅×サウナに挑む勝浦のキャンプ場が共創型クラファンを始動

千葉県勝浦市のキャンプ場「feelnature campbase」は、禅をテーマにした完全貸切型のアウトドアサウナ施設「SAUNA“悟り”〜SATORI〜」の建設に向けたクラウドファンディングを実施しました。
監修を務めるのは、テレビ番組『大改造!!劇的ビフォーアフター』への出演でも知られる庭師・金井良一さん。枯山水を配した外気浴スペースや、小川のせせらぎを感じられる仕掛け、禅寺をイメージした和モダンな更衣室など、自然と向き合いながら心を整える空間づくりが構想されています。
クラウドファンディングを資金調達だけで終わらせず、価格の受容度を探ったり、支援者を“共創者”として巻き込むことで、開業前の段階からファンとの接点を創出。施設オープン後の継続的な支持にもつなげやすい仕組みが特徴です。
都心からアクセスしやすい勝浦の自然環境を舞台に、禅とサウナを掛け合わせた没入体験をどう深めていくのか。ローカル発のウェルネス拠点づくりと、共創型のPRを組み合わせた事例として注目したい取り組みといえるでしょう。
14.三笘薫×交通広告で一気に接触を拡大 NEWTの統合型プロモーション

旅行アプリ「NEWT」を運営する株式会社令和トラベルは、サッカー日本代表・三笘薫氏を起用したWebCMを起点に、大型プロモーションを実施。CM公開に続き、品川駅・京急線ホームの「品川スーパーボード」にてOOHを掲出し、オンラインとオフラインを横断した訴求を行いました。
今回のプロモーションでは、「20代女性」「30代のサウナ経営者夫婦」といった異なる視点のWebCMも展開。利用シーンを複数提示することで、「誰にとってのサービスか」を具体的に想起させ、幅広い対象者への理解を促しているのが特徴です。
「かしこい、おトク、旅行アプリ」というサービス価値を、キャンセル料負担やポイント還元、最低価格保証といった具体的なメリットで補強する一方で、価格訴求だけでなくサポート体制や体験の質にも触れることで、安心して利用できるサービスである印象を積み上げています。
さらに、空港利用者の導線上にある品川駅でのOOH展開により、「これから旅行に行く人」へのリーチも欠かせません。WebCMで興味を喚起し、移動中に再接触させることで、アプリのダウンロードや予約といった行動へつなげています。
15.ラマダンの“もてなし文化”を描きながら ホテルの存在意義を重ねた広告動画
イスラム教徒が日の出から日没まで断食に励む「ラマダン」。宗教的にも重要な期間でストイックなイメージがありますが、日没後には大切な人々と集まり、盛大な食事を共にします。
中東の街は夜になると活気に溢れ、各地で華やかなイベントが開催されるため、ゲストを温かく迎えるホテルにとっても重要なシーズンといえるでしょう。そんなラマダンの文化をテーマにした広告を公開したのが、世界的ホテルグループ「IHG Hotels & Resorts」です。
動画は、少年のナレーションからスタート。「ラマダンになると、たくさんのゲストが家にやってくる」と語りながら、さまざまな来訪者を紹介していきます。デザートを持ってくる人や物語を持ってくる人、何も持たずに来る人も登場し、ラマダンの家庭における“ゲスト文化”がリアルに描かれていきます。
そして、シーンの最後に映し出されるのが、「IHG Hotels & Resortsでは、どんな形で訪れても、すべての人のための場所があります」というメッセージ。家庭に集う人々の姿を重ねることで、ホテルもまた誰もが受け入れられる場所であることを無理なく伝えています。
特定の地域や宗教に寄り添いながら、ホテルの本質的な役割を伝える取り組みとして参考になる事例といえそうです。
16.“パンダロス”に寄り添う体験を設計 上野ならではホテルイベント

リソル株式会社が運営するホテルリソル上野では、2026年2月19日(木)~3月20日(金)の期間限定で、「パンダに想いを寄せて、“ありがとう”を伝える」イベントを開催。上野動物園のパンダが中国へ返還された話題を背景に、ホテル全体を使った体験型の企画を展開しました。
もともとロビーアートにパンダを掲げるなど、施設としての文脈を持っている点に加え、今回のイベントでは“パンダロス”というファンの想いに寄り添う形で企画を設計。時事性と既存のブランド要素に自然なつながりを持たせているのが特徴です。
客室では、1日1室限定の「パンダルーム」を用意し、家具や小物までパンダで統一。フォトジェニックな空間は、SNSでの拡散も期待できる構成です。さらに、ルームキーのキーホルダーやタオルの持ち帰りが可能で、体験を持続させる仕掛けも組み込まれています。
地域性と時事性、そして施設の個性を掛け合わせながら、感情に寄り添うストーリーをつくり上げた今回の取り組み。「物語のあるホテル」というコンセプトを体験として伝えた好例です。
17.思わず写真を撮りたくなる 蛇口スープで魅せるメルキュール札幌の冬のおもてなし

札幌市の繁華街・すすきのにあるメルキュール札幌は、「さっぽろ雪まつり」期間にあわせて、オニオンスープとほたてスープを無料提供する企画を実施。ロビーに設置された「スープ蛇口」から温かいスープが出てくる仕掛けで、宿泊体験にワクワクと驚きを提供しました。
エレベーター前という人の動線上に設置することで、思わず立ち止まりたくなるポイントを創出。シンプルながら視覚的にもわかりやすく、写真を撮りたくなる仕組みがSNSでの拡散も後押しします。
提供されるスープには、北見たまねぎや北海道産ほたてといった地域食材を使用し、北海道らしさを味覚でも感じられる構成に。氷点下の寒さが続く札幌の冬において、温かいスープはそれだけで価値のあるおもてなしですが、そこに「蛇口から出てくる」という遊び心を掛け合わせることで、記憶に残る体験へと引き上げています。
観光のハイシーズンにおいて、立地や設備だけでなく“ちょっとした体験”で選ばれる理由をつくる今回の取り組み。シンプルなアイデアでも、見せ方と導線次第で十分に差別化できることを示しています。
18.定番観光に“没入体験”を掛け合わせる 京都キャンペーンの新たな一手

株式会社ネイキッドは、2026年3月27日(金)~4月12日(日)に世界遺産・醍醐寺にて「NAKED meets 世界遺産 醍醐寺―醍醐花見―」を開催。30年以上続くJR東海のキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」との初コラボレーションです。
舞台となる醍醐寺では、国宝や重要文化財を背景にした夜桜ライトアップを実施するほか、五重塔前では茶道パフォーマンスとアートテクノロジーを融合した呈茶席を設置。歴史的空間そのものを体験装置として活用しながら、花見文化を現代的に再解釈し、その場でしか味わえない体験へと昇華しています。
既存の観光資源に手を加えるのではなく、演出とストーリーで“見え方”を更新している点が印象的です。認知度の高いキャンペーンに新しい体験価値を重ねることで、リピーターにも新鮮な来訪動機を生み出しています。
長年培われたブランドと先進的な体験演出を掛け合わせることで、定番スポットに新たな魅力を付与した今回の取り組み。観光地のアップデートの方法として参考になる事例です。
19.あえて“AI生成疑惑”を利用 現実の魅力を際立たせるアイスランドの観光CM
生成AIによるフェイクコンテンツが問題視されている現代。それをあえて企画の軸に据えることで、観光地としての魅力をユーモラスに伝えたのが、アイスランドのフラッグシップ航空会社Icelandairの新CMです。
壮大すぎる自然を逆手に取り、「この国はAIで生成されたのでは?」という発想から物語を展開しています。
CMの主人公は、アイスランドの風景があまりにも非現実的であることから、実在を疑う男性。友人に誘われて現地を訪れたあとも、目の前に広がる山々や温泉、野生動物を「AIでつくられたものだ」と否定し続けます。
「本物かどうか」を疑う視点そのものをストーリーに取り込むことで、逆説的に“実在する風景であること”の価値を強調。観光地の魅力を正面から伝えるのではなく、疑いを起点にリアリティを際立たせるアプローチは、AI時代ならではの発想といえるでしょう。
少しひねった視点から興味を引きつけ、最終的には「実際に行って確かめたい」という動機へとつなげる手法は、現代の空気感を取り込みながら観光価値を伝える好例といえそうです。
20.ドラマ文脈×体験型OOHで関心を行動へ 島根県の「ばけ旅」プロモーション

島根県は、NHK連続テレビ小説「ばけばけ」をきっかけに観光誘客を図る「しまね、ばけーション。-ばけ旅」プロモーションを2025年11月に展開。首都圏では新宿駅にピールオフ広告を掲出し、体験型の仕掛けで関心を集めました。
広告は“ばけみくじ”として持ち帰ることができ、おみくじには旅の運勢に加えて特設サイトへ誘導するQRコードを掲載。宿泊補助券や買い物券が当たるキャンペーンにつなげることで、その場の興味を具体的な行動へとつなげているのが特徴です。
さらに、あぶらとり紙を同封することで「美肌県しまね」という地域の魅力も自然に訴求。ドラマという話題性を入り口にしながら、別の価値軸まで広げている点に工夫を感じます。
認知拡大のみならず、その先の接触や参加へとつなげる導線づくりの参考になる事例です。
21.言葉そのものをコンテンツに 方言を使って楽しむ宿泊体験

日本各地で方言の使用が減少する一方で、観光業界ではその土地ならではの文化や伝統に触れられる「体験型観光」が人気を集めています。
このような背景を受けて、「星野リゾート 青森屋」では、青森の方言を軸にした宿泊体験を期間限定で提供しました。
方言だけでチェックインを行う「よぐきたねカウンター」をはじめ、館内案内も含めすべて青森の方言で進行し、宿泊客は到着直後から非日常の空気に引き込まれる仕掛け。「わがんね!(わかりません)」と伝えればフォローが入るなど、ハードルを下げつつ参加意欲を引き出しているのもユニークです。
さらに、方言クロスワードや講座、ラジオ体操など複数のプログラムを組み合わせ、滞在中に繰り返し方言に触れる構成に。スタッフとのコミュニケーションを通じて自然と理解が深まるようになっており、“聞く体験”を“使う体験”へと巧みに昇華しています。
地域の言葉をエンターテインメントとして楽しませながら、結果的に文化の継承にもつなげている構造は、地域資源の新たな活かし方を示しています。
22.住民参加×HIPHOPで“まちの空気”を届ける 三好市の観光PRプロジェクト

徳島県三好市は、地元発のHIPHOPグループ『Miyoshi DOGGs』による楽曲シリーズを通じた観光プロモーションを行いました。音楽と映像を掛け合わせ、地域の風土や暮らしを発信する取り組みです。
第3弾となる『Kazura Bridge』では、日本三大秘境のひとつに数えられる祖谷地方の「かずら橋」をテーマに据え、スリルや歴史、地元住民の誇りといった要素をリリックに落とし込んでいます。
観光名所の情報を説明的に伝えるのではなく、音楽のリズムや言葉遊びを通じて印象づけている点が特徴です。
制作を手がけるのはラッパーのTARO SOUL氏。プロの表現力をベースにしながら、地域へのリスペクトをにじませた構成となっており、エンターテインメント性とローカル性がバランスよく共存しています。
さらに、ミュージックビデオには地元の飲食店関係者やツーリングコミュニティのメンバーが出演。観光地だけでなく、そこに暮らす人々の存在も含めて映し出すことで、パンフレットやWebサイトでは伝えきれないまちの魅力を伝える内容になっています。
23.解体途中の廃業旅館を“公開資産化” プロセスごと巻き込む上越のまちづくり

地域創生事業を展開する株式会社イノベーションパートナーズは、新潟県上越市・⾼⽥エリアの廃業宿泊施設「旧鈴⽊旅館」をリノベーション。2026年1⽉にホテル・オフィス・観光情報発信を兼ね備えた新たな複合施設「鈴⽊旅館」としてリニューアルオープンしました。
“歩いて暮らし、歩いて楽しめるまち”を目指す「ウォーカブルシティ化」を事業構想に掲げ、エリア全体で回遊を促す取り組みを進めています。
注目すべきは、完成後の姿だけでなく、その過程までもをコンテンツ化していること。リニューアルに先駆けて解体作業中の建物を会場にしたイベントを行うなど、通常は閉ざされがちな“工事中”の状態をあえて開くことで、プロジェクトの透明性と話題性を同時に高めています。
また、拠点とする施設単体の魅力だけではなく、周辺の文化資産や店舗を含めて価値を再編し、エリア全体に人の流れを生み出す工夫も欠かしません。
閉館した旅館をただ再生するのではなく、まちの文脈の中で位置づけし直し、そのプロセス自体を開いていく取り組みは、地域資源の活かし方と、関係人口の巻き込み方を考えるヒントとなりそうです。
24.移動時間を“推しとの時間”に変える e-Paletteでつくる没入型観光体験

近年、観光と推し活を掛け合わせた取り組みが増えていますが、その中でも異彩を放つのが、トヨタ自動車の次世代モビリティ「e-Palette」を活用した実証実験「ぼつにゅ〜!なごやツアー!e-Paletteでおでかけしよまい!」です。
名古屋の観光地を巡る30分の移動そのものをコンテンツ化した本企画。地元出身のアーティストであるSKE48とBOYS AND MENの声をガイドに据えることで、「推し」と一緒に旅をしているような感覚を生み出しています。
その没入感を支えているのが、空間音響技術「Re:Sense®」。音の位置や距離感までを再現することで、推しが隣にいるかのような臨場感を演出しています。
さらに、目的地に到着するまでの時間を“体験”として設計している点も印象的。従来は価値が生まれにくかった移動時間を、推しと過ごす特別な時間へと転換し、観光の満足度を底上げしています。
25.親子の夏時間にブランドを重ねる アパホテルのコラボプール

アパホテル&リゾート〈新潟駅前大通〉は、昨年7月にアース製薬の炭酸入浴剤ブランド「温泡」とコラボした「温泡 デカまるプール」をオープンしました。
舞台となるのは、宿泊者や日帰りプラン利用者が楽しめる屋外プール。底面に『温泡 デカまる』のロゴを大きくあしらうことで、子どもと遊ぶ時間そのものがブランド接触の機会になる構成です。広告を見せるというより、遊びの記憶の中にブランドを残していく発想が効いています。
さらにおもしろいのは、プールという非日常の体験が、家庭でのバスタイムという日常へとつながっているところです。夏のレジャーの中でブランドに触れたあと、自宅での入浴シーンを自然と想起させる流れができており、商品理解から購買までを無理なくつないでいます。
親子で過ごす楽しい時間にブランドを重ねることで、押しつけがましさなく記憶に残していく。体験を通じて商品を好きになってもらうPR施策です。
26.余韻ごと宿泊体験に変える ファンと共創した東京ドームホテルの推し活ルーム

株式会社東京ドームホテルは、昨年4月に開業25周年を記念し、推し活応援メディアを展開する株式会社Oshicocoとコラボした「夢の推し活ルーム」を販売。ライブやイベントで訪れるファンに向けて、“推し活”に特化した宿泊体験を提供しました。
内装や設備は、SNS投票による約8,000票をもとに設計されており、「こんな部屋に泊まりたい」というリアルなニーズが反映されています。企画段階からファンを巻き込むことで共感を拡大。企業側の一方的な提案ではなく、共創によって完成した空間であることが、体験の納得感を高めています。
客室は“推しが映える”白を基調にデザインされ、額縁や装飾によって推しを飾る楽しみを最大化。さらに東京ドームを一望できる立地を活かし、ライブ後の余韻をそのまま持ち込める設計です。フォトスポットも用意されており、滞在中の体験が自然とSNSで共有される導線も整っています。
ライブ遠征における「その後の過ごし方」に目を向け、宿泊時間までコンテンツ化している点も印象的。イベント参加だけで終わらせず、余韻を楽しむ時間を価値として提供することで、ホテル選びの理由を生み出しています。
27.旅先で“自分が主役”に ヤマハ×プリンスホテルのストリートピアノ企画

株式会社ヤマハミュージックジャパンは、株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドとともに、ストリートピアノ「LovePiano®」をホテルやレジャー施設に設置するプロジェクト『#たびきみ~旅先で君が奏でる物語』を昨年4月より始動しました。
ヤマハが持つ「演奏する楽しさを広げたい」という思いと、西武・プリンスホテルズワールドワイドが掲げる「記憶に残る旅の喜びを提供したい」という考えが重なって生まれた企画で、旅先で自由にピアノを弾ける体験そのものを新たな魅力として打ち出しています。
通りがかった人が思わず足を止めたり、演奏に加わったりできるストリートピアノ。そこに旅先という非日常の文脈が重なることで、偶然の演奏体験が特別な思い出へと変わっていきます。
さらに、5種類のカラフルな「LovePiano®」の中から各施設に合うデザインを選定し、その場所ならではの景色になじむ見せ方を意識しているのもポイントです。
加えて、演奏動画がSNSで広がりやすいストリートピアノならではの特性は、本企画と相性も抜群。旅先での偶発的な体験がそのまま発信のきっかけになり、施設の認知拡大にもつながりそうです。
28.地域の日常に“クエストで参加” 双葉町で生まれる新しい宿泊体験

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、2022年まで全町避難が続いていた、福島県双葉町。現在、人口は0人から200人ほどまで回復したものの、まだ未活用の土地も多く残っています。
こうした背景の中、CHOCOLATE Inc.と福島県双葉町を中心に構成する「Draw in FUTABA」は、ホテルの企画・開発・運営を手掛ける株式会社水星と協働し、新感覚のホテル「Hotel Quest -浜のでいりぐち-」のトライアルを実施しました。
“人手が不足しがちな地域の人々”と“普段とは違う体験を求める宿泊者”をマッチングするホテルとして、「熱量の高いローカルの活動に参加する」滞在体験を提供します。
キウイ畑での古着市や、薬局のDIY、古民家での餅つきなど、「クエスト」と呼ばれる地域住民の活動に関わる体験を、宿泊者が自ら選ぶスタイルが特徴。観光用に整えられたプログラムではなく、地域の営みそのものに関わる体験が用意されています。
ボランティアや移住といったハードルの高い関わり方ではなく、「選んで参加する体験」にすることで心理的な負担を軽減し、自然と地域との接点を生み出しました。観光にとどまらず、関係人口の創出を見据えた新しい宿泊体験として、今後の展開にも注目が集まりそうです。
29.コアファンと“共につくる”関係へ スーパーホテルのコミュニティ戦略

国内173店舗のホテル運営を手掛ける株式会社スーパーホテルは、初のファンコミュニティ「超・集団」を結成。スーパーホテル東京本部でキックオフイベントを開催しました。
同社は2023年10月からファンミーティングを実施してきましたが、約20名の参加枠に対して毎回200~800名の応募が集まる状況にありました。こうした熱量の高いファンとの接点を継続的な関係へと発展させたのが「超・集団」です。
単なる会員組織ではなく、ファン同士やスタッフと交流できる場としてつくられているのが特徴です。「ホテナカもホテソトも楽しもう」をコンセプトに掲げ、イベントやチャットを通じてホテル体験を宿泊時以外にも広げています。
キックオフでは、朝食メニューを味わいながらワークショップやグループトークを実施。「好きなところ」や「スタッフの仕事内容を知りたい」といった声が集まり、サービス改善や発信のヒントを得る大切な場にもなっています。
リピーターが約70%を占める同社にとって、コアファンとの継続的な接点づくりは、ブランド価値を支える重要な取り組みといえそうです。
30.“朝どん兵衛”を体験で浸透させる 新宿ワシントンホテルのコラボルーム

新宿ワシントンホテルは、日清食品「日清のどん兵衛」とコラボしたコンセプトルーム「どん兵衛ルーム宿泊プラン」を期間限定で発売。客室から朝食まで一貫した体験を設計し、新たな食シーンの提案につなげています。
気になる客室は、ベッドをうどんに見立て、「おあげ」や「かまぼこ」のクッションを配置した遊び心ある空間。滞在そのものがコンテンツとなり、写真を撮りたくなる仕掛けがSNSでの拡散も後押しします。
さらに、翌朝にはビュッフェで“朝どん兵衛”を提供。客室での世界観体験と実際の喫食をつなげることで、「朝に食べる」という新しい習慣を自然に受け入れやすくしています。お土産としてどん兵衛商品や限定グッズも用意され、体験を持ち帰る導線が整えられている点にも注目です。
「93%が朝にどん兵衛を食べたい」と回答した調査データ※を土台にした本施策。ニーズの裏付けをもとに企画を組み立てることで、単なる話題づくりではなく、納得感のある提案になっています。
※2024年9月実施 / WEBアンケート / 全国の25~54歳男女 /「日清のどん兵衛 きつねうどん」を週1日以上自購入自喫食かつ何かしらの朝食を週3日以上喫食されている方:n=200
観光・宿泊に特化したPR・広告施策まとめ
ゴールデンウィークや夏休みといった大型連休の集客では、移動時間のストレスを価値に変えたり、朝の時間帯や館内空間を見直したり、地域の文化や人との接点を体験として設計したりと、少し視点をずらすことで「行ってみたい」と思わせる理由がつくれます。
観光・宿泊業界の広告やPRは、場所の魅力を伝えるだけでなく、そこでどんな気分になれるのか、どんな時間が過ごせるのかまでを提案することが大切です。大型連休を見据えた施策のヒントとして、今回の事例をぜひ参考にしてみてください。
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