ゴールデンウィーク(GW)は情報が止まるは本当か? マーケターが仕掛ける“静かなバズ”設計

ゴールデンウィークを含む大型連休は、生活者の過ごし方が大きく変わる一方で、情報発信のタイミングとしては慎重に扱われがちな時期です。メディアの動きも変則的になり、「この時期はPR施策が沈滞しやすい」と感じる方も少なくありません。

しかし、情報の流通がゆるやかになるからこそ、生活者が求めるテーマやタイミングに合わせた設計によって、特定の関心にじわりと届く余地も生まれます。

本記事では、GWを見越して設計されたPR・マーケティング事例をピックアップ。王道とは異なる着眼点で“静かなバズ”を広げた取り組みを紹介します。

1.「GWどう過ごす?」から始まる導線設計 調査リリースを求人PRに昇華

インパクトフィールド株式会社

フィールドマーケティング事業を展開するインパクトフィールド株式会社は、2026年のゴールデンウィークに関する意識調査を実施。調査結果をプレスリリースで配信しました。

本調査では、GWの過ごし方が「自宅で過ごす層」と「体験を重視して外出する層」に分かれる傾向があることを紹介。旅行に対する意識や予算感、日数などについても具体的なデータを示すことで、連休中の生活者像を立体的に描き出しています。

大型連休というタイミングに合わせ、生活者の関心に寄り添ったテーマ設計が特徴です。

また、プレスリリースの後半では、同社の覆面調査員やアンケートモニターの求人募集へと展開。調査データの裏側にある“生活者の声を集める仕組み”を提示することで、読み手の関心を自然に求人PRへとつなげています。

連休中は情報発信が沈滞しがちな一方で、生活者の行動や気分が大きく動くタイミング。そうした時期に合わせたテーマで接点をつくり、その文脈のまま自社事業へと導く設計は、派手な話題化を狙わずとも、特定の関心層にじわりと共感を広げていくPRといえます。

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2.「駐車場が見つからない」体験に着目 移動のストレスからサービス価値を伝えるPR

akippa株式会社

akippa株式会社は、ゴールデンウィークの外出に関する実態を把握するための調査を実施。「6割以上が15分以上の駐車場探しを経験している」という結果をもとに、連休中の移動に潜む不便を可視化しました。

駐車場探しという行動は、多くの人が経験しながらも見過ごされがちなストレスのひとつ。そこに具体的な数値を与えることで、「あるある」で終わらせず、課題として認識させる構成となっています。

大型連休は外出需要が高まる一方で、渋滞や混雑といった移動の負荷も増すタイミングです。駐車場探しに時間を要するという不便さを起点にすることで、「その時間を短縮できる手段」としての自社サービスの必要性へと自然とつなげているのが印象的です。

連休中という動きが読みにくい時期においても、生活者の行動の中にある小さなストレスに目を向けることで、共感と納得を生み出すことができる。視点の置きどころひとつでPRの伝わり方が変わることを示す事例といえるでしょう。

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3.“香り”を起点に街を回遊させる 体験設計で文化接触を広げるイベントPR

香り博PR事務局

「お香の日」である2026年4月18日(土)から5月17日(日)までの約1ヵ月間、「香り博2026」が開催されます。「明日につなげる香り -Where Scents Meet Tomorrow-」をテーマに、メイン開催地となる銀座エリアのほか、京都や鎌倉でも同時に実施される回遊型イベントです。

全10プログラム・65回にわたる体験型ワークショップを展開し、香道体験や匂い香づくりなど、さまざまな切り口で香文化に触れる機会を提供。「展示」ではなく「体験」を中心に据え、参加のハードルを下げながら、一人ひとりの興味関心に応じた接点をつくっています。

さらに、スタンプラリー形式で街を巡る導線を設計することで、イベント自体が“街を歩く理由”として機能します。特定の会場に集客するのではなく、複数の拠点を横断しながら接触機会を重ねていく構成は、連休中の回遊行動とも相性がいいでしょう。

また、2026年4月18日「お香の日」からGW明けまでの約1ヵ月にわたるロングラン開催とすることで、人の流れをGWに集中させるのではなく、分散した来場機会を創出している点もポイントです。

文化を一方的に伝えるのではなく、体験を通じて関係性を築いていく。テーマと導線、期間設計を掛け合わせることで、接点の広げ方に工夫が見られる事例といえそうです。

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4.観光ではなく体験へ 謎解きで街を巡らせる国立のシティプロモーション

ビジネスサポートセンターKuni-Biz

国立市の産業支援機関であるくにたちビジネスサポートセンターKuni-Bizは、特定非営利活動法人 国立市観光まちづくり協会主催の体験型イベント「国立謎解きアカデミア」を開催します。

同イベントは、学園都市・国立の街全体を舞台に、謎解きを通じて回遊を促すシティプロモーション施策です。参加者は「入学試験を受ける」という設定のもと、市内各所に仕掛けられた謎を解きながら街を巡回。
ただ観光スポットを並べるのではなく、歩きたくなる理由をつくることで、自然な回遊行動を引き出します。

また、LINEを活用し、ご当地キャラクター「くにニャン」が進行役を担うことで、参加ハードルを下げながら体験をサポート。謎解きを進める中で、街の歴史や文化に触れる導線が組み込まれ、地域貢献にもつなげています。

まちの魅力を一方的に伝えるのではなく、体験を通じて参加者自身に発見してもらう本施策。視点を変えることで、自治体PRの届け方に広がりを持たせた事例といえそうです。

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5.地下街を“いつも通る道”から“イベント会場”へ 「ウルトラマン」とのコラボで滞在を創出

八重洲地下街株式会社

八重洲地下街株式会社は、同社が運営する東京駅直結の地下街「ヤエチカ」にて、ウルトラマンシリーズとコラボしたイベント「ウルトラゴールデンウィーク in ヤエチカ」を開催。ゴールデンウィーク期間に合わせ、地下街全体を舞台とした体験型施策を展開しています。

地下街という日常的な通行空間を“イベント会場”として再設計している本施策。館内各所に仕掛けられたQRコードを巡るLINEスタンプラリーやフォトスポット、撮影会などを通じて、訪れた人たちに回遊と滞在を促す構成となっています。

特に、スタンプラリーでは飲食店も含めた複数地点を回遊させる導線を設計。イベント参加にとどまらず、地下街全体を横断的に利用してもらう仕組みが組み込まれ、「いつも通る場所」だった地下街が「立ち寄る理由のある場所」へと変換されています。

また、ウルトラマンという世代を横断するIPを活用することで、子どもから大人まで幅広い層に訴求することで偶発的な参加も取り込みやすい設計に。空間の役割をとらえ直すことで、PRの可能性を広げています。

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6.公園を“昼と夜で変化する空間”に 時間軸で参加層の拡大を狙ったイベントPR

渋谷公園通り商店街振興組合

渋谷公園通り商店街振興組合は、2026年5月2日から5日までの4日間、代々木公園けやき並木を舞台に「SHIBUYA ONE PARK 2026」を開催します。

「From Park to Street」をコンセプトに、公園と街をつなぐ人の流れを生み出すことを目的とした、回遊型のイベント施策です。

音楽・ファッション・飲食など多様なカルチャーを掛け合わせることで、単一の目的に依存しない接点を作り出している本施策。特徴的なのは、「昼」と「夜」で異なる体験を設計している点です。

昼は家族向けのワークショップやパフォーマンス、夜は提灯に包まれた空間演出によるナイトコンテンツを展開。同じ場所でありながら時間帯によって表情が変わることで、滞在と再訪を促す構成になっています。

また、台湾夜市をイメージしたマーケットエリアやライブパフォーマンスなどを組み合わせることで、幅広い層が自然に関わる導線を設計。生活者の来場目的を限定せず、それぞれの興味関心に応じた参加ができる余白を持たせています。

大型連休という人の移動が活発になるタイミングにおいて、空間だけでなく“時間”を活用して体験価値を拡張。単発の集客ではなく、回遊と滞在を生み出す設計はイベントPRとして参考にしたい好例です。

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7.いつもの本屋を“違和感を探す舞台”に 日常空間をゲーム化した体験型施策

株式会社書泉

株式会社書泉は、マニアな合同会社と共同で、神保町の書店「書泉グランデ」を舞台にリアル異変探しゲーム「嘘の本屋」を、2026年4月29日(水・祝)と5月2日(土)~6日(水・祝)に開催します。

書店という日常的な空間をそのまま活用し、ゲームの舞台として再設計した本施策。館内には複数の異変が仕掛けられており、参加者は普段見慣れているはずの空間を観察しながら探索を進めていきます。

さらに、夜には「閉店後の嘘の本屋」として同じ空間をホラー体験へと変化させることで、時間帯によって異なる楽しみ方を提供。ひとつの場所に複数の価値を持たせている点に工夫が光ります。

また、本イベントはこれまでシリーズとして展開されてきた企画の一環として実施されている点もポイントです。累計動員数約9,000名という人気イベントのフォーマットを活かしながら、実在する店舗に落とし込むことで、新鮮さのある体験へと発展させています。

日常の延長線上にある空間に小さな違和感を仕込み、「気づくこと」そのものを楽しませる本施策。新たな体験価値の創出を模索する企業にとって、身近な場所の見方を変えるヒントになりそうです。

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8.飲食店を“物語体験の場”に「食×謎解き」でブランド理解を促進

株式会社モスフードサービス

モスバーガーを展開する株式会社モスフードサービスは、株式会社セガ エックスディーと共同で、没入体験型謎解きレストラン「モスプレミアムシアター トラベリン家の言い伝え」を開催します。

モスプレミアム桜木町クロスゲート店を舞台に、食事と物語体験を掛け合わせた取り組みで2026年3月20日(金・祝)~5月6日(水・祝)の期間限定イベントです。

「食事を提供する場所」である飲食店を「体験を提供する場所」として再設計し、参加者は物語の登場人物として謎解きに参加します。その過程で導き出した内容をもとにハンバーガーを注文するなど、食事そのものをストーリーの一部に組み込む構成に。

また、謎解きのプロセスを通じて、食材や商品のこだわりに自然と触れられる点もポイントです。一方的に商品の魅力を伝えるのではなく、体験の中で理解させる設計により、納得感のある発信を実現しています。

さらに、約90分・最大16名の少人数制とすることで、物語への没入感も醸成。ゴールデンウィークを含む期間限定開催とすることで、行楽シーズンの需要も取り込みながら、特別な体験としての価値を高めています。

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9.ビールイベントに車中滞在体験を差し込み キャンピングカーの価値を発信

Carstay株式会社

バンライフのプラットフォーム事業を展開するCarstay株式会社は、横浜赤レンガ倉庫で開催される「ヨコハマフリューリングスフェスト2026」に協賛出展します。ゴールデンウィーク期間に合わせ、キャンピングカー14台の展示と体験機会を提供する取り組みです。

ポイントは、ビールイベントという既存の集客コンテンツの中に、車中滞在体験を組み込んでいる点。来場目的が明確なイベントの参加者に対し、自然な流れでキャンピングカーの魅力を知ってもらう設計になっています。

特に注目したいのが、会場内に設置されたバーベキューが楽しめる「デイキャンプ」エリア。キャンピングカー内での滞在体験を通じて、“動く家”としての価値を体感できる構成で、利用シーンを具体的に想起させる工夫が施されています。

また、イベント自体がゴールデンウィークを含むロングラン開催であることもポイントのひとつ。来場タイミングを分散させながら継続的な接触機会を創出し、幅広い層へのリーチにつなげています。

既存イベントの文脈を活かしながら、自社サービスの体験機会を組み込んだ本施策。接点のつくり方次第で、伝わり方が大きく変わることを示しています。

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10.街全体を“スター・ウォーズ空間”に 人の流れと没入感を生むエリア一体型イベント

三菱地所プロパティマネジメント株式会社

三菱地所プロパティマネジメント株式会社は、みなとみらいエリアにて「STAR WARS DAY YOKOHAMA MINATOMIRAI 2026」を開催します。

同社が運営するランドマークプラザやMARK IS みなとみらいのほか、グランモール公園など複数施設を横断し、街全体でスター・ウォーズの世界観を体験できるイベントです。

各施設に展示やフォトスポット、ワークショップなどを分散配置することで人の流れが自然に生まれ、点ではなく面で接点をつくる構成になっています。

また、スタンプラリーや限定グッズ販売、SNS投稿キャンペーンなどを組み合わせることで、体験と購買、発信を横断的に設計しているのもポイント。訪れるだけでなく、「巡る・撮る・シェアする」行動を段階的にうながしている点は、ぜひ参考になるポイントです。

新作映画公開や「スター・ウォーズの日」といった話題性の高いタイミングと重ねることで、継続的な関心喚起につなげています。人気コンテンツの世界観を軸に、空間・時間・行動を横断して設計された本施策。街そのものを体験の場へと拡張することで、人の流れと没入感を同時に創出する好例といえるでしょう。

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ゴールデンウィークの少しひねったPR・マーケティング事例まとめ

PR施策が沈滞しがちといわれる、ゴールデンウィーク期間。しかし今回紹介した事例からは、情報の流通がゆるやかになるからこそ、テーマやタイミングを合わせた設計によって、特定の関心にしっかり届く余地があることが見えてきました。

共通しているのは、「いつ発信するか」だけでなく「いつ届くか」を見据えている点です。GW前に仕込んだ情報を、連休中の行動や気分にフィットさせることで、自然な接点を生み出しています。

また、混雑や他イベントとの差別化といったGWならではの課題をチャンスに転換し、自社の強みを生かした事例も見受けられました。

「発信の量ではなく、設計の質によって届き方が変わる」という視点が、これからのPR・マーケティングのヒントになりそうです。

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