「データの質が、私の質なんです」 AIブームの死角を突くSansanのTVCM

企業におけるAI活用が急速に広がるなか、Sansan株式会社は2026年5月25日(月)、ビジネスAIをテーマにした新TVCM「CEO&AI&・・・〜出会い」篇と「CEO&AI&・・・〜クオリティ」篇の放映を開始しました。

2本のCMは、ある会社のCEOとAIが対話するシナリオで構成されています。


「CEO&AI&・・・〜出会い」篇


「CEO&AI&・・・〜クオリティ」篇

「出会い」篇では、データを持たないAIが「私は何も知らない空虚な存在です」と告げ、解像度が落ちながら正体不明のものへと劣化していく様子を映像化。

話の続きである「クオリティ」篇では、大量の書類を差し出すCEOに対してAIが「データの質が、私の質なんです」と訴え、低品質なデータを読み込んだAIが子供の落書きのような姿に変わり、最後には火を吹くという演出で終わります。

このCMが生まれた背景には、データ整備の遅れという企業現場の実態がありました。

同社が2026年2月に発表した「企業のAI活用に関する実態調査」では、生成AIの導入・活用を推進する担当者の約9割が「AIが期待通りに動かなかった」と回答。

データベースが完璧に整備されていると答えた企業はわずか22.2%にとどまっています。

名刺や請求書、契約書といった社内固有の一次情報がAIと接続されていなければ、自社に最適化された分析や提案は実現しないとSansanは指摘します。

このCMの特徴は、AIは使えば成果が出るという文脈に乗らず、あえてAIの弱点を正面から描いた点です。データが弱ければAIも弱くなるという不安側から入ることで、視聴者が自社の課題として受け取りやすい構成になっています。

また、データ品質という言葉だけでは伝わりにくい概念を、AIキャラクターが視覚的に劣化していくという映像表現に翻訳した点も、クリエイティブとして参考になります。

さらに、データ量と品質という2つの問題をそれぞれ別の篇に割り当てることで、訴求軸を明確に分けながら接触回数を増やす設計にもなっています。

SansanはもともとBtoB名刺管理ツールとして認知されてきた企業です。今回のCMはAIの「燃料」としてのデータを語ることで、ツールの便利さを訴えるのではなく、企業のデータ基盤を担う存在へと自社を位置付ける狙いがうかがえます。

AIブームという追い風の中で、あえて失敗の構造から伝える今回のTVCMは、市場への啓発とブランド認知の両面を映像に込めた広告事例です。

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