西洋美と東洋美の融合。ウェッジウッド×輪島塗に見るアートディレクション

フィスカース ジャパン株式会社が展開する英国王室御⽤達ブランド「ウェッジウッド」は、石川県輪島市の「輪島塗」とのスタイリングで互いの作品を引き立てる「WEST MEETS EAST」を企画しました。

西洋と東洋の美の融合が生む新たな価値

英国王室御用達の高級陶磁器ブランド「ウェッジウッド」と、日本が誇る伝統工芸「輪島塗」のコラボレーションは、まさに西洋と東洋の美の見事な融合を体現。両ブランドが持つ歴史や文化背景、そして美意識が一つのプロダクトに結集することで、これまでにない新しい価値が生み出されました。

同ブランドならではのCSV(Creating Shared Value)のアートディレクションは、能登半島地震後、現地の復興に心を砕くプロダクトデザイナー鈴木啓太氏によるもの。本コラボレーションの背景には、2024年の能登半島地震による被災地支援として、伝統工芸である輪島塗を選んだウェッジウッドの深い思いがありました。

輪島塗の美と技法を取り入れることで、共感する方々の関心や購買を促すだけでなく、職人の方々にとっての持続的な制作支援や生きがいに繋げたいとの思いから企画された今回のプロジェクトは、“食卓”や”クラフト“を軸にして繋がり、「輪島塗」に関心を寄せるためのきっかけとなっています。長年、陶磁器ブランドとして第一線を走り続けてきたウェッジウッドだからこそ実現できた被災地支援、そして伝統工芸を守る取り組みだと言えるでしょう。

繊細なアートディレクションが生む美しさ

今回、ビジュアルに採用されたのはウェッジウッドの人気シリーズ「フェニックス」「ヘリア」「フォーチュン」。コーディネートされた「輪島塗」の作品は、現地の方々と相談のうえ、鈴木啓太氏によってセレクトされました。

長い歴史の中で継承されてきたウェッジウッドと輪島塗の緻密な技術が融合し、唯一無二の美しさを表現したコーディネートの数々は、まさに息をのむような仕上がり。作品には人間国宝の職人が手掛けたものも含まれており、輪島塗の真髄が表現されています。

一方、組み合わせられたウェッジウッドのファイン ボーン チャイナ3柄は、被災地へのメッセージが込められたもの。

フェニックス(Phoenix)は「不死鳥」をモチーフにしており、何度でも蘇ることを象徴することから、一日も早い復興への願いが込められています。背景となっているのは輪島塗の「菊描詰 卓上膳」。漆器と金彩色の上質な交わりが目を惹きます。

ヘリア(Helia)は太陽を意味し、夜明けを示唆することで「明けない夜はない」と寄り添います。同じく「明ける」を語源とした朱(アカ)の輪島塗は、太陽が昇っている様と重なります。

和柄を思わせるフォーチュン(Fortune)は、九谷焼に着想を得て誕生したシリーズ。日本人に親しみを感じさせるデザインは、輪島塗の平盃との相性も抜群です。

ウェッジウッドのアーカイブに残る絵柄から生まれたこのコレクションは、どこか馴染みのあるデザインであり、近い未来に光が届くことを願うメッセージが込められています。

本コラボレーションの魅力は、プロダクトそのものの美しさだけにとどまりません。ウェッジウッドのデザインと輪島塗の漆器が調和する様子は、シンプルな畳や咲き誇る菊を背景にしたスタイリングよってさらに引き立てられています。

和の静かで落ち着いた雰囲気と洋のエレガンスが織りなす絶妙なバランスが、見る者の心を奪います。作品は日常品という枠を超え、芸術作品としての価値を帯びているといえそうです。

被災地支援と伝統工芸への敬意

また、本コラボレーションは地域支援と伝統工芸への敬意を示すもの。ウェッジウッドは「今回のコラボレーションは一つの組み合わせに過ぎない」と述べ、輪島塗の魅力を広く伝えるとともに、被災地支援への思いを強調しています。

そして「目に留まった輪島塗作品があれば、応援して、お求めください」というメッセージも。この謙虚で紳士的な姿勢は、英国王室御用達ブランドとしての品格を感じさせ、伝統工芸の継承と発展を願うウェッジウッドの真摯な思いが込められていることが伺えます。

文化の架け橋となるプロジェクトの意義

本施策は商品プロモーションの域を超え、文化的な価値と社会的意義を強く打ち出した取り組み。輪島塗という日本の伝統工芸を世界に広める手助けとなるとともに、地域復興に貢献するという二重の意義を持っています。

ウェッジウッドと輪島塗が織りなす西洋と東洋の美の融合は消費者に感動を与え、ブランドへの信頼感をさらに高めそうです。美と品格、そして文化的な深みを感じさせる本施策は、まさにプロモーションの域を超えた芸術作品と称賛されるものではないでしょうか。

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