スタンプを探して手形が完成 黒川温泉「入湯手形」40周年の遊び心

黒川温泉観光旅館協同組合(熊本県南小国町)は、温泉めぐりパス「入湯手形」の誕生40周年を記念した「入湯手形40周年プロジェクト」を、2026年7月1日(水)から2027年3月末まで実施します。

1986年の誕生以来、3つの露天風呂をめぐる仕組みとして40年愛されてきた手形が、節目の年に大きく姿を変えます。

黒川温泉入湯手形40周年のロゴ

施設の周年施策というと、記念イベントや限定企画、館内装飾などが定番でしょう。しかし、数字を掲げて周年を告知するだけでは、来訪者にとっては施設側の節目として受け取られやすく、自分ごと化されにくい面があります。

黒川温泉は、露天風呂を巡る入湯手形によって「ここにしかない世界観」を築いてきた、年間約90万人が訪れる温泉地です。

その象徴である手形の中で長年お湯に浸かっていたおじさんのイラストが、40周年を機に露天風呂から上がり、手形の外へと飛び出しました。空欄になった手形には、温泉街に設置された「おじさんマーク」のスタンプを押して仕上げる仕組みです。

入湯手形におじさんマークのスタンプを押す様子

街のどこかには「湯上り美人マーク」「風呂あがりおじさんマーク」というレアスタンプが隠れており、見つけて押せば世界にひとつだけの記念手形が完成。「手形のおじさんが、40年ぶりに露天風呂から上がりました」という一文が、変化を表す粋な演出となっています。

この企画のポイントは、長年培ってきた資産を活かしつつ、わずかな変化によって「今年は違う」という来訪の付加価値を創出している点です。おなじみのキャラクターが姿を変えただけで、常連には驚きが、初めての人には話のタネが生まれるでしょう。

さらに、空欄を埋めたいという心理が、スタンプを探して温泉街を歩く動機に直結しています。単に記念品を配るのではなく、街を回遊させる仕掛けとして手形を作り替えた点に、この観光PRならではの工夫が光ります。

40周年プロジェクトは手形だけで終わりません。7月18日(土)から8月22日(土)にかけては、提灯や灯籠で夜の温泉街を照らす納涼イベント「湯涼み」も実施します。過去10年間で熱帯夜がわずか1日という避暑地の強みを、夏の滞在理由として重ねています。

提灯に照らされた黒川温泉の湯涼み

数字や値引きに頼らず、遊び心をまじえて周年を語り直す。黒川温泉の入湯手形は、変わらないからこそ愛される資産に小さな変化を加えるだけで、節目をニュースへと変えられることを教えてくれます。

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