防災の日の企業PR・CSR事例10選|備えを自分ごと化し日常習慣へつなげる企画のヒント

9月1日の「防災の日」や防災週間は、企業が防災への取り組みや社会的な役割を発信する機会です。一方で、防災用品の紹介や注意喚起だけでは、一時的な情報提供で終わり、生活者の行動変化につながりにくいという課題があります。

本記事では、備蓄の習慣化や参加型企画、地域連携、デジタル活用など、防災を日常の行動へつなげた企業のPR・CSR事例10選を紹介します。生活者が自分ごととして備えを考えるきっかけを生む企画づくりのヒントをまとめました。

1.ローリングストック・備蓄習慣化

まずは、普段の買い物や消費行動に備えを組み込むことで、生活者が負担なく防災を続けられる仕組みをつくった取り組みから見ていきます。

1.飲料水の配布をきっかけに家庭の備蓄習慣を促すデベロッパーの試み

株式会社プレサンス

株式会社プレサンスは2026年7月31日(金)と8月1日(土)、大阪・奈良・名古屋の計5会場で「室内熱中症対策 & 防災ローリングストック啓発プロジェクト」を実施しました。オリジナルボトルの水(300ml)3,520本を配布し、ボトルのQRコードから熱中症対策や災害時に役立つ備蓄方法「ローリングストック」を紹介しています。

住居内での熱中症による救急搬送が多いことを背景に、水分補給と防災備蓄を結び付け、普段の生活から備えを始めるきっかけをつくっています。住まいを提供する不動産デベロッパーが、暮らしに欠かせない水を通じて防災情報を届けることで、住宅購入後の安心まで支える企業姿勢を発信しています。

不動産デベロッパーのように暮らしに関わる企業が、住まいの安全だけでなく日々の備えまで支援することで、生活者との接点を防災啓発の機会へ広げることができるでしょう。

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2.離島の学校給食で検証 ロングライフ牛乳の備蓄モデル

日本テトラパック株式会社

日本テトラパック株式会社は2026年6月、鹿児島県与論町で、学校給食で提供するロングライフ牛乳を活用した防災備蓄の実証実験を開始。同町へ約4,500本を寄贈し、平時は給食として定期的に消費しながら在庫を維持するローリングストック運用を推奨します。

6月10日(水)には地元小学生を対象に、紙容器の役割やロングライフ牛乳の特性、防災との関わりを学ぶ出前授業も実施しました。

天候による船の欠航で物流が止まりやすい離島の課題に対し、常温で長期保存できるロングライフ牛乳を学校給食へ組み込み、特別な備蓄を増やさずに災害時の食料確保と給食の継続を両立する運用を検証しています。防災を日常の給食へ取り入れることで、子どもや地域にローリングストックの考え方を身近なものとして浸透させています。

学校給食など既存の仕組みを活用しながら防災を日常に取り入れる考え方は、自治体や教育機関のほか、日常的に消費される食品を扱う企業にも応用しやすい取り組みです。

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3.サントリー天然水 ちょっとずつ備える「ちょ備蓄」という考え方で防災啓発

サントリー食品インターナショナル株式会社

サントリー食品インターナショナル株式会社は2025年8月22日(金)、サントリー天然水の防災備蓄啓発活動として「ちょ備蓄」プロジェクトを開始しました。(特設サイトはこちら。)防災備蓄に関する実態調査を実施し、特設サイトや公式SNS、店頭を通じて、「いつも使うものを少し多めに買う」といった、日常生活に取り入れやすい備蓄方法を発信しています。

日用品を買い置きする習慣がある一方、自宅の備蓄に不安を感じる生活者がいるという調査結果を踏まえ、普段の買い物を防災につなげる「ちょ備蓄」という考え方を提案しています。備蓄を特別な準備ではなく、いつもの商品を少し多めに購入する習慣として捉え直すことで、防災への心理的なハードルを下げています。ミネラルウォーターブランドとして、商品を届けるだけでなく、生活者の備えを支える役割へと価値を広げています。

食品や日用品を扱う企業にとっても、商品を防災用品として訴求するだけでなく、普段の消費行動を備えへ結び付ける取り組みとして応用できるでしょう。

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2.体験・疑似訓練型

災害時に必要な判断や行動を具体的にイメージするには、知識だけでなく実際の場面を想定する機会も重要です。ここからは、防災を自分ごととして捉えるきっかけをつくった参加型の企画を紹介します。

4.物語の主人公になり災害時の判断を考える「イマーシブ防災訓練」

プレイング株式会社

プレイング株式会社は2026年5月20日(水)、大阪梅田のグラングリーン大阪にて、参加者自身が物語の登場人物となるイマーシブ防災訓練「防災エンタビ®~ジブンゴト」の実証実験を実施しました。災害発生時の状況を再現し、参加者が避難の判断や周囲への対応を考えるプログラムとして、防災を学ぶ機会を提供しています。

避難訓練では、避難経路や手順の確認が中心となる場合が多い一方で、実際の災害時には状況に応じた判断や行動が求められます。参加者自身が葛藤を伴う意思決定を行う形式にすることで、災害を自分とは遠い出来事として捉えるのではなく、自ら考えて行動する場面として捉える機会を生み出しています。

防災啓発に取り組む自治体や商業施設、教育機関などにとっても、情報を伝えるだけでなく、参加者が主体的に考える場を設けることで、防災への関心を高める取り組みに応用できます。防災施策を一方的な啓発で終わらせず、生活者が自ら考え、行動を選択する機会として設計することで、防災意識の向上や継続的な関心づくりにつなげた取り組みです。

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5.小学生が現場監督になって学ぶ 津波から街を守る建設会社の防災教育

株式会社橋本組

株式会社橋本組は、2025年11月1日(土)と2日(日)の2日間、静岡県焼津市で開催された「Out of KidZania in やいづ 2025」において、小学生を対象とした職業体験プログラム「現場監督の仕事」を実施しました。水槽内に手作り模型のブロックを配置して波を起こす実験を通じ、津波から街を守る構造物の役割や、事故につながる危険性を伝える取り組みです。

建設会社が持つ土木・港湾分野の知見を、子どもが自ら考えながら学ぶ防災教育へ落とし込むことで、専門性を地域の安全意識向上に結びつけています。また、社員自身もキッザニア ジャパンによる研修を受け、知識を一方的に伝えるのではなく、子どもの気づきを引き出す関わり方を学んだといいます。

さらに、参加した子どもを「安全を広める現場監督」と位置づけ、学んだ知識を家族や友人へ伝える役割まで広げています。企業が専門知識を地域へ届ける際も、参加者を単なる受講者で終わらせず、学びを周囲へ共有する存在として位置づけることで、防災意識の広がりにつなげられます。

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3.親子・地域接点型

参加者の主体性を引き出す体験プログラムの考え方は、行政施設や地域拠点などの身近な空間へ広げることで、さらに多くの層へ届けることが可能です。次は、親子や地域のコミュニティを巻き込み、立ち寄りやすい環境で啓発を行った例を紹介します。

6.区役所に室内キャンプ空間を開設 親子で学ぶ防災への備え

株式会社ハック

株式会社ハックは、京都市西京区役所洛西支所にて2026年8月10日(月)から8月24日(月)まで、自社のアウトドアブランド「Montagna」のギアを活用した室内キャンプ空間を開設します。期間中はミニ図書館や玩具を設置し、最終日の8月24日(月)には紙芝居や防災士によるワークショップ、防災に関するプログラムを実施予定です。

行政施設という地域拠点にレジャー要素を取り入れることで、相談や手続きなどで訪れた際に、日常の延長で防災に触れる接点を創出。キャンプギアの展示やワークショップを通じて、アウトドア用品が災害時の備えとしても活用できることを伝え、普段はレジャー目的で使う道具を非常時にも役立つ備えとして捉え直す機会につなげています。

趣味やレジャーで使うギアを災害時にも活用できる備えとして提案することで、防災への心理的な距離を縮める取り組み。自社商品の新たな利用場面を提案したいアウトドアブランドや日用品メーカーにとって、地域施設と連携しながら生活者との接点を広げる際のヒントになります。

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4.バーチャル・デジタル活用

防災への関心が高くない層へ届けるには、企業がこれまで接点を持ちにくかった場所やコミュニケーション手法を活用することも重要です。ここからは、デジタル技術やSNSを活用し、新たな参加者との接点を生み出した企画を紹介します。

7.メタバース空間で防災を身近に 若年層との接点を広げる能美防災

能美防災株式会社

能美防災株式会社は、株式会社HIKKYが2026年7月11日(土)から26日(日)まで開催した「バーチャルマーケット2026 Summer」に初出展しました。会場内では、火災が発生したビルを舞台に消火を目指す3D防災アクションゲームや、火災報知機を再現した巨大発信機のモニュメントを設置したほか、防災備蓄品「しのげールII」の実寸大3Dモデル展示などを展開しました。

防災への関心が低いとされる20代から30代の利用者が集まるメタバース空間へ進出することで、従来の広報PR施策ではアプローチが難しかった若い層との接点を創出しています。ゲームや視覚的な演出を通じて防災設備や避難行動に触れる機会を設けることで、訓練に対する心理的抵抗感を減らし、総合防災企業としての認知と信頼を高めています。

さらに、ゲームや展示によって防災への関心を高め、防災備蓄品の紹介やECサイトで利用できるクーポン案内につなげることで、防災を知る機会から備えを見直すきっかけまで用意しています。自社の専門領域をメタバースやゲームなど新たな接点と組み合わせることで、防災に関心が薄い層にも届く情報発信の形を実現した事例です。

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8.ARキャラクターと防災グッズを撮影 自宅の備えを見直すSNS企画

Apaman Network株式会社

Apaman Network株式会社は2025年9月2日(火)から9月8日(月)まで、公式キャラクター「べあ~君」を活用した「第12回べあ~君ARフォトコンテスト」を開催しました。参加者は専用サイトからアプリ不要で起動できるARキャラクターと、自宅にある非常食や懐中電灯などの防災グッズを一緒に撮影し、ハッシュタグを添えてInstagramやXへ投稿する形式で実施されました。

後回しにされがちな家庭内での防災用品の確認作業を、キャラクター撮影という参加型企画へ置き換えた取り組みです。防災グッズを探して撮影する過程で、自宅にどのような備えがあるかを見直すきっかけを生み、暮らしの安全を支える企業としての接点を広げています。

投稿企画の応募条件に家庭内の実物を組み込む手法は、SNS上での情報拡散だけでなく、参加者自身が防災用品の保有状況を確認する行動につながります。自社キャラクターやデジタルコンテンツを持つ企業が、季節イベントに合わせて既存顧客との接点を深めながら、商品やサービスに関連する日常行動を促す施策として展開できます。

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5.コラボ・掛け合わせ型

単独の発信では伝えにくい課題には、異なる企業や団体の強みを組み合わせる方法も有効です。次に紹介するのは、複数の専門性を掛け合わせて防災への理解を促した企画です。

9.フードトラック×ハミガキで災害時の健康課題を伝える防災コラボ

一般社団法人フードトラック駆けつけ隊とサンスター株式会社

一般社団法人フードトラック駆けつけ隊とサンスター株式会社は、2025年9月に横浜と仙台で開催された防災イベントに共同出展し、「もしもCafé」を実施しました。来場者にフードトラックによるあたたかい食事を提供した後、水なしで使える液体ハミガキを紹介し、災害時の食事とオーラルケアを一連の流れで考える場を設けました。

避難生活では水や食料の確保が優先され、口腔衛生は後回しになりやすい課題です。特に高齢者は、歯みがきができない環境が続くことで誤嚥性肺炎のリスクが高まることが指摘されており、災害時の健康維持には口腔ケアも欠かせません。

そこで、食事支援を行うフードトラックとオーラルケア商品を持つサンスターが連携することで、災害時にも健康を維持するために必要な備えとして歯みがきの重要性を伝えています。防災用品の準備だけでなく、避難後の生活まで見据えた情報発信につなげています。

食事の提供後に商品を試せる場をつくり、アンケート回答や会員登録を通じて商品配布へつなげることで、啓発から具体的な備えの検討までを促しています。単独では伝わりにくい災害時の口腔ケアというテーマも、日常の行動と結び付けることで理解を深めることができます。異なる業界の企業や団体が、それぞれの強みを掛け合わせて社会課題への接点を広げる際に活用できるアプローチです。

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6.継続啓発・習慣化メディア

防災意識を一時的な関心で終わらせないためには、日常の中で継続的に思い出せる接点づくりも欠かせません。最後に紹介するのは、年間を通じて防災を考えるきっかけをつくった継続啓発の企画です。

10.年間を通じて防災意識を育む「ペット防災カレンダー」

認定特定非営利活動法人人と動物の共生センターと特定非営利活動法人全国動物避難所協会

認定特定非営利活動法人人と動物の共生センターと特定非営利活動法人全国動物避難所協会は、2025年8月25日(月)より「ペット防災カレンダー2026」の配布を開始しました。

企業スポンサーの協力による2万部の無料配布に加え、クラウドファンディングを通じて全国5万世帯への提供を目指し、地域の防災啓発にも活用できるワークショップ素材を掲載した新年度版を展開しています。

ペット防災には、同行避難への理解不足や、必要な準備が後回しになりやすいという課題があります。そこで、年間を通じて家庭に置かれるカレンダーに防災情報を組み込むことで、日常の中で定期的に備えを見直す機会をつくっています。

防災の日など特定の時期だけに限らず、継続的にペットとの避難について考えるきっかけを提供することで、人と動物がともに安全を確保できる社会づくりへの理解を広げています。

さらに、企業スポンサーやクラウドファンディングを組み合わせることで、企業や個人の協力を得ながら配布規模を拡大。単発のイベントでは継続的な接点を持ちにくい啓発テーマも、日常的に使われるツールへ落とし込むことで、年間を通じた情報発信につなげられます。

ペット関連企業や自治体など、生活者との長期的な関係づくりを目指す組織にとって、継続的な啓発施策を考える際の参考になるでしょう。

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防災の日の企業PR・CSR事例10選まとめ

防災の日を起点にした企業の取り組みを、10例まとめました。

共通しているのは、防災を一時的な注意喚起で終わらせず、生活者の日常行動や習慣へつなげている点です。ローリングストックの提案や既存の給食、地域施設、家庭で使うツールの活用など、普段の暮らしの中で自然に備えを見直せる接点をつくっています。

また、疑似訓練やSNS企画、デジタルコンテンツなど、生活者自身が考えたり参加したりする機会を設けることで、防災を一方的に受け取る情報から自分ごととして捉えるきっかけへ変えています。

防災に関する企業PRでは、社会的なメッセージを発信するだけでなく、自社の商品やサービスが日常や災害時にどのような価値を提供できるかを明確にすることが、ブランドへの信頼や継続的な関係づくりにつながります。

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