古びた宿が商いの場へ 大和ハウスが歌舞伎で伝える「三方よし」の不動産再生

大和ハウス工業の不動産ストック事業「BIZ Livness(ビズ・リブネス)」の新テレビCM「三方よし」篇が、2026年6月30日(火)より全国で放映を開始しました。坂東彌十郎さん、市原隼人さんらが出演し、松竹の協力のもと、歌舞伎の手法で“建物を活かす”物語を描いています。

BtoB向けのサービス広告は、扱う商材が無形で複雑なほど「結局何を提供しているのかが伝わりにくい」という壁にぶつかることがあります。企業不動産の売買仲介やリノベーションといった事業も、言葉を重ねるほど輪郭がぼやけてしまう領域のひとつです。

このCMが根底に据えたのは、終盤の「売り手よし、買い手よし、街の衆よし」という台詞。近江商人の「三方よし」になぞらえたこの言葉は、建物を手放して終わりにするのではなく、次の使い手へつなぎ、地域のにぎわいまで生み出すという事業の考え方を、ひと息で言い切ります。

単なる話題づくりの歌舞伎起用に見えて、実は無形のサービスを“物語として体感させる”翻訳の試みと受け取れます。理屈で説明されるより、様式化された物語のほうが価値観そのものは伝わりやすい。そんな狙いがうかがえる仕上がりです。

「三方よし」篇で大工の男を演じる坂東彌十郎さん

さらに興味深いのは、その世界観に実績の裏づけを添えた広報設計です。古びた宿が新たな商いの場としてよみがえるストーリーは創作ではなく自社の事業の考え方に基づくもの。築20年の商業施設を再生した「COTOE(コトエ)橋本」の実例をフィクションと結び付け、物語に地に足のついた裏づけを与える構成です。

抽象的な事業ほど、強い様式を借りると輪郭が立ちやすくなります。そこに実物件という裏づけが加わることで、このCMは面白い映像にとどまらず、事業の信頼感を伝えるコミュニケーションへと近づいています。

無形の価値をどう見せるかに悩むBtoB広報にとって、自社にも応用しやすい事例といえるでしょう。

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