ブラジル人の読書率向上を狙った秘策 「電車の乗車券になる文庫本」配布プロジェクト

Case: Ticket Books

ブラジルでは一人当たりの年間読書数はたったの2冊だといい、国民の本離れが深刻化しています。そこで同国最大の文庫本出版社・L&PMは“世界本の日”(World Book Day)に合わせて、文庫本を手にする機会を創出するために、“地下鉄の乗車券となる文庫本”、その名も「Ticket Books」を無料配布しました。

L&PMがサンパウロの地下鉄・Via Quatroと協力して制作したのは、こちらの10種類の文庫本。シェイクスピアの『ハムレット』からシュルツの『スヌーピー』までバラエティーに富んでいます。

いずれも表紙にRFIDカードを内蔵しており、10区間分の地下鉄の運賃があらかじめチャージされています。これを改札口付近に陳列し、用意した1万冊を電車の利用客に無料で配布しました。

なかなか読書のためにまとまった時間が取れないというブラジル人にとって、移動時間は貴重な読書タイムとなります。

チケット替わりにもなる文庫本を手にした多くの人は、移動時間を読書のために有効に使うことができたようです。

こちらの女性は4区間移動中に『ハムレット』を144ページ読むことができたといい、こちらの男性は8区間移動中に『シャーロックホームズ』を204ページ読むことができたとか。

本の表紙には、それぞれの本のイラストが点と線で描かれており、電車の路線図を模しています。

また文庫本に組み込まれているRFIDカードはウェブ上でチャージすることができ、読み終わった本はチャージして友人に贈ることも推奨しています。

この取り組みは多くの人に手軽に読書を楽しむ機会を与えることに成功したことから、同社はサンパウロの他線でも同様の取り組みの実施を検討しています。

(大勢の人々が毎日一定の時間を費やす)通勤・通学になくてはならない「電車の乗車券」に“書籍の機能を持たせる”ことで、その時間を読書に費やしてもらい、習慣化のきっかけにするというアイディアでした。

Ticket Books from Agência Africa on Vimeo.

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