女性の顔に「33%OFF」年金格差を可視化した英国の広告

妊娠、育児休暇、復職、保育費。女性の人生におけるさまざまな出来事が、まるで買い物の明細のように並んだ1枚のレシート。その最後には「年金総額 −33%」という数字が記されていました。

これは、英国の慈善団体Pregnant Then Screwedが制作した広告のひとつです。出産や育児に伴う経済的な負担が、退職後の年金にまで影響する問題を訴えています。

英国では、女性が退職時に保有する年金資産が男性より平均33%少ないとされています。その背景には、出産や育児によるキャリアの中断、労働時間の短縮などがあると団体は指摘しています。

キャンペーンでは、レシートを模した広告に加え、女性たちの顔に大きな「33%OFF」のシールを貼った屋外広告も展開しました。

一見すると、よくあるセール広告のようですが、割引されているのは商品ではなく女性たち。お得感を伝えるはずの表示が、女性の老後の経済的な保障に大きな格差がある現実を象徴しています。

さらに、「Thanks For Your Service(これまでの貢献に感謝します)」という言葉にも皮肉が込められています。仕事や育児を通じて社会に貢献してきた女性たちが、老後には男性より少ない年金しか得られないという現実を浮き彫りにしています。

レシートには、昇進や給与の増加といったキャリアの歩みとともに、妊娠や育児休暇、保育費などの項目が並んでいます。
年金格差は退職時に突然生じるものではなく、長年の働き方や育児負担の積み重ねによって生まれることを、身近な買い物の明細に置き換えて表現しています。

広告はロンドンをはじめとする英国各地で掲出され、SNSなどでも展開されました。見慣れたセール広告のデザインを使うことで、普段は年金制度に関心のない人にも問題を知ってもらうきっかけを作っています。

日常的に目にする割引表示やレシートを使い、長年にわたって蓄積される経済的不平等を直感的に伝えた本施策。身近なデザインに異なる意味を持たせることで、社会課題への関心を喚起するPR事例です。

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