【速報】カンヌライオンズ2026「Classic」部門グランプリ受賞作品まとめ

2026年6月22日(月)から26日(金)まで、フランス・カンヌで開催されている「Cannes Lions International Festival of Creativity 2026」。世界中の広告・マーケティング・コミュニケーション領域の関係者が集まり、優れたクリエイティブを表彰する国際的なフェスティバルです。

今回は、映像や音声、プリント、屋外広告など、伝統的な広告表現における高いクラフト力やマーケティング効果を賞賛する「Classic」部門において、音声メディアや音楽そのものを通じて多くの人の注目を得た作品を評価する「Audio & Radio Lions」、映像が持つ魅力を最大限引き出した作品を評価する「Film Lions」、OOHや屋外でのコミュニケーションの新たな可能性を見出した作品を評価する「Outdoor Lions」、雑誌や新聞をはじめとしたプリント媒体において斬新な表現手法を生み出した作品を評価する「Print & Publishing Lions」、の4つの賞におけるグランプリをご紹介します。

Audio & Radio Lions

Coquí Alarmed(Hyundai)

デザインでもコピーライティングでもなく、音を主役にしたコミュニケーションの新たな可能性を見いだした事例を賞賛するAudio & Radio Lionsでは、韓国の自動車メーカー・ヒョンデがプエルトリコで行った施策がグランプリを受賞しました。ネット上のとある投稿が炎上したことによって生まれた激論の機を逃すことなく、かつ現地住民から応援される座組が印象的です。

※上記の動画は参考掲載です。ヒョンデ公式の発表内で紹介されたものではありません。

プエルトリコの人々にとって、コキという小さなカエルは単なる生き物ではなく、島のアイデンティティそのものとも言える存在です。ところがあるとき、観光客がRedditに「コキの鳴き声がうるさいので黙らせる方法を教えてほしい」と投稿したことで、プエルトリコ中から激しい反発の声が上がりました。観光客には“騒音”でも、地元の人々にとっては“故郷の音”——そのギャップが炎上という形で可視化されたのです。

ヒョンデはこの瞬間を逃しませんでした。事態を受けてすぐに公開した“Coquí Alarmed(コキアラーム)”は、AVIS・Enterprise・Charlie Car Rentalなど主要なレンタカー会社のヒョンデ車両に搭載された電子ロック音を、コキの本物の鳴き声に差し替えるという施策。車のロック・アンロックのたびに、観光客はプエルトリコの“声”に迎えられる体験設計になっていたのです。

単純な製品機能をプエルトリコの誇りの表現へと昇華させ、観光客には文化体験を、地元の人々には共感と誇りを届けた点に加え、単純な製品機能をプエルトリコの誇りの表現へと昇華させ、観光客には文化体験を、地元の人々には共感と誇りを届けた点が高く評価されました。

Film Lions

Keep Thinking(Claude)

Anthropic社による生成AIツール・Claudeは、後発であるにも関わらず日本をはじめとした世界中の国と地域で急速にユーザー数を伸ばしています。そんなClaudeがブランドとしてはじめて公開した2種類のCMが見事Film Lionsのグランプリに輝きました。

※上記の動画は参考掲載です。Claude公式の発表内で紹介されたものではありません。

公開された2本の動画はいずれも、AIチャットサービスに広告が表示される未来を皮肉たっぷりに描いたもの。ユーザーの相談に対して、架空の広告入りAIアシスタントが不自然な商品提案を差し込んでくる様子を通じて、Claudeは広告に左右されないAIであるという姿勢をユーモラスに打ち出しています。

とある男性が「腹筋をすぐに割るにはどうしたらいい?」と広告入りの架空のAIアシスタントに相談すると、「そうだね、あなただけのパーソナライズされたトレーニングメニューを作りましょう。でもまずはシークレットインソールで身長と自己肯定感を上げませんか?今ならクーポン配布中です」と答えるバージョンと、母親との関係に悩む男性がどうすればいいのかをChatGPTらしき女性に相談すると「まずは傾聴力が大事です。あなたのお母さまは必ずしも本音で喋ってくれているわけではありません。ところで、もしも関係性がどうにもならなかったら熟女専門のマッチングアプリで、あなたの近くの熟女と関係性を作ってみてはいかが?」と答える2つのバージョンがどちらもグランプリを獲得したのです。

強烈なメッセージ性だけでなくどこか気持ちが悪い表情と会話の間が印象的で、最後まで見てもこの映像はどこまでが実写でどこからがAIで、そもそも組み合わせたものなのかどうかすらわからない不思議な感覚になってしまう……そんな唯一無二の読後感がグランプリの獲得に繋がったのかもしれません。

Outdoor Lions

Field Barcode(Mercado Livre)

アウトドアメディアにおける斬新な活用の仕方や、これまでに事例がなかった新たな発明を評価するOutdoor Lionsでは、南米の総合ECサイト・Mercado Livreがブラジルの有名サッカースタジアムのメインスポンサー権を獲得したことによって実現できた奇想天外な事例がグランプリを手にしました。

※上記の動画は参考掲載です。Mercado Livre公式の発表内で紹介されたものではありません。

Mercado Livreが着目したのは、スタジアムの看板や電光掲示板ではなく、ピッチそのものでした。芝の刈り込みパターンを変えることで、フィールド全体を巨大なバーコードに仕立て上げるという前代未聞のアイデア、“Field Barcode(グラウンド上のバーコード)”と名付けられたこの施策は、試合中継の映像からでも、SNSにシェアされた写真からでも、テレビ画面越しでも、バーコードの一部しか映っていない状態でもスキャンできるよう精密に設計されています。

実現にあたっては、グラウンドキーパーや技術専門家、クラブチームと協力しながら、通常の芝刈りパターンに自然に溶け込むかたちでバーコードシステムを組み込んだのです。ブラジル全土で試合が放映されると、ファンはテレビ画面やスマートフォンから直接バーコードをスキャンするだけでMercado Livreのサイトへとつながり、試合観戦の興奮をそのままショッピングへと変換できる仕組みが完成しました。

試合中継や各種メディアを通じて数百万人のファンにリーチし、キャンペーン期間中のサイトセッション数は7%増加。スタジアムという“最も多くの目が集まる空間”を、そのままコマースのプラットフォームへと変えてしまったこの施策は、従来は受動的な存在に過ぎなかったスポンサーシップのあり方そのものを塗り替えた点が高く評価されたようです。

Print & Publishing Lions

Look Familiar?(Heinz)

雑誌や新聞広告をはじめとした、いわゆる刷物において高いクリエイティビティを発揮した事例を賞賛するPrint & Publishing Lionsにおいては、ケチャップなどの調味料を販売するハインツが行った、思わず「たしかに」と口走ってしまうような鮮烈なグローバルキャンペーンでした。

ハインツが見つけたのは、新しいシンボルではありませんでした。世界中のファストフード店でフライドポテトを入れる紙箱の形が、ハインツのボトルのシルエットにそっくりである……消費者がすでに目にしていたものを、改めて“発見”させるだけでよかったのです。

“Looks Familiar(見覚えがありますよね)”というタイトルのキャンペーンでは、この視覚的な一致をそのままグローバルな訴求軸に据え、OOH・デジタル・SNSなど8つの市場で展開。Uber Eatsとも連携し、フライドポテトを注文する際にケチャップをより手軽に追加できる導線も整えることで、インサイトを購買行動にまで直結させました。

新しい何かを作るのではなく、世界中の日常風景の中にすでに存在していたブランドの痕跡を可視化することで、フライドポテトとハインツは切り離せないというメッセージを世界規模の会話へと発展させた点が評価されたのではないでしょうか。

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