【速報】カンヌライオンズ2026「Engagement」部門グランプリ受賞作品まとめ
2026年6月22日(月)から26日(金)まで、フランス・カンヌで開催されている「Cannes Lions International Festival of Creativity 2026」。世界中の広告・マーケティング・コミュニケーション領域の関係者が集まり、優れたクリエイティブを表彰する国際的なフェスティバルです。
今回は、あらゆるタッチポイントで顧客を魅了し、ブランドとの絆を深めるクリエイティビティを評価する「Engagement」部門の各グランプリをピックアップ。クリエイティブの力でB2B企業の業績を大きく伸ばすことに成功した作品を評価する「Creative B2B Lions」、データを最大限活用した作品を評価する「Creative Data Lions」、斬新なターゲットの絞り方がなされた作品を評価する「Direct Lions」、シームレスにクリエイティブとメディアを融合させた作品を評価する「Media Lions」、戦略的なコミュニケーション手段が取られた作品を評価する「PR Lions」、SNSを舞台に活躍するクリエイターたちの力を最大化させた作品を評価する「Social & Creator Lions」の6つの賞におけるグランプリをご紹介します。
Creative B2B Lions
The Faroe Islands Space Program(SKF)
一般生活者の目に触れる機会はそう多くはないB2B企業のコミュニケーション施策において、話題性と事業インパクトを両立させることに成功した事例が数多くエントリーしているCreative B2B Lionsでグランプリの座に輝いたのは、スウェーデンに本社を構える世界最大級のベアリングメーカー・SKF。
宇宙空間を活用した新たなエネルギー開発に注目が集まる中で、SKFが行ったのは「地球から離れずして宇宙からのエネルギーを実用性のあるエネルギーに変換する」という、一見すると不可能かのように思える試み。同社が言う「地球上で得られる宇宙からのエネルギー」とは、月の引力によって引き起こされる潮の満ち引きのことでした。
北大西洋に浮かぶフェロー諸島の海の中で、プロペラ付きの機械を潮の満ち引きの力で動かすことによって、人間が利用できるエネルギーへと変換したのです。
世界中の民間企業や政府が多額のお金を費やして宇宙へと飛び立とうとする中、空を目指すことなく宇宙からの恩恵を得ることに成功した点や、その姿勢がSKFの取引先に与えたサステナブルな印象と、そもそもの高い技術力が評価へつながったようです。
Creative Data Lions
SOS POS(BCP)
データを活用したアイデアをビジネスに活かすことに成功した事例を賞賛するCreative Data Lionsでは、ペルー最大の銀行・BCPが行ったソーシャルグッドな施策がグランプリを獲得しました。
1日あたり4000台ものスマートフォン盗難事件が発生すると言われているペルーでは、なくなってしまったスマートフォンそのものよりもその中に眠る個人情報、特に金融機関のアカウントに関する情報の流出がある種の社会問題に発展しています。
そのような状況を受けてBCPが実施したのは、どんな店にもあるクレジットカードの読み取り機を通じてPINコードを入力するだけで自らの銀行口座を一時的に凍結することができるサービスでした。
スマートフォンが盗まれてしまっては銀行口座を凍結しようと思ってもそもそも銀行に電話をかけることすらできないというかなり危機的な状況を、シンプルなアイデア1つで解決したのです。
支払い端末を“役割軸”ではなく“機能軸”で見つめ直すことで生まれたこの施策の導入以降、スマートフォンを通じた金融犯罪の通報件数は48%も低下し、$780万相当の口座情報が窃盗犯たちから守られたようです。
Direct Lions
Uva Uva Bombón(Uva)
アメリカンフットボールリーグの最高峰・NFLの決勝戦として知られるスーパーボウルは世界最大規模の広告の祭典としても認知されており、毎年多くの企業が多額の宣伝費をかけて渾身のCMやキャンペーンをわずか1日の間に集中的に投下します。
プエルトリコのフードデリバリーサービス・Uvaが2026年のスーパーボウルで行ったシステムハック的な発想を取り入れた認知施策が、見事グランプリを手にしました。
※上記の動画は参考掲載です。Uva公式の発表内で紹介されたものではありません。
同社が着目したのは、スーパーボウルのハーフタイムショーで主演を務めたプエルトリコ出身のアーティスト・Bad Bunny。実はBad Bunnyの代表的な楽曲“Tití Me Preguntó”の歌詞の中に「Uva Uva Bombón」というフレーズがあり、なんとUvaの社名が通算3回も登場するのです。
ただの偶然ではあるものの、同社はスーパーボウル当日に「もしもBad Bunnyがハーフタイムショーで“Tití Me Preguntó”を歌い、Uvaの社名を口にしたらすべての商品を期間限定で$1にする」という大胆な施策を企画したのです。
結果的にその読みは当たり、対象となった商品はすべて完売。注文に走った顧客のうち70.9%はこれを機にUvaをダウンロードした新規ユーザーで、見事同社はハーフタイムショー中に唯一社名を呼んでもらった企業になることができたのです。
世界中のスポーツファンが注目するイベントにおいて、大胆ながらもシンプルなアイデアだけで大きな事業インパクトを生み出すことに成功した点が評価されたのではないでしょうか。
Media Lions
Build Your Own Superbowl Commercial(Uber Eats)
メディアの新たな可能性を見出した事例を賞賛するMedia Lionsにおいても、スーパーボウルを舞台とした施策がグランプリを獲得しました。受賞したのはフードデリバリーサービスの代名詞とも言えるUber Eats。
以前PR EDGEでもご紹介していたとおり、過去数年間「アメフトは食べ物を売るための陰謀である」というジョークを題材にしたCMを企画してきた同社が、その真骨頂とも言えるインタラクティブなCMを公開したのです。
「Build Your Own Superbowl Commercial(自分だけのスーパーボウルCMを作ろう)」という施策の内容としては、過去のCMシリーズでも登場した俳優たちがひたすらアメフトと食事の共通点を挙げ続け「アメフトは視聴者に何か食べさせようとしている」というメッセージを謳った短尺動画を1000本以上も制作。Uber Eatsのアプリ上で、ユーザーが自らそれを組み合わせて自分だけのCMを作ることができるというもの。
ユーザーが自ら作り上げたCMだからこそSNS上でシェアされやすく、外部メディアではなく自社のアプリ上で行うことでそのままクーポンコードを配布し、注文へとシームレスにつなげた座組が高く評価されました。
Uber Eatsにとってスーパーボウル放映中の売上新記録も樹立し、話題性だけでなくしっかりと業績にも好影響を与えることができたようです。
PR Lions
The KitKat Heist(KitKat)
2026年3月下旬、ヨーロッパでとある事件が起きました。人気チョコレートブランド・KitKat約41万個(12トン相当)を載せた輸送トラックがトラックごと盗難されてしまったのです。前代未聞とも言うべきこの事件に機転を効かせた同ブランドが実施した、どこまでも大胆で挑戦的な事例が見事グランプリを受賞しました。
※上記の動画は参考掲載です。KitKat公式の発表内で紹介されたものではありません。
通常であれば被害者として描かれるはずのKitKat側が行ったのは、この盗難事件を活用した世界規模のPR施策。なんと同社はメディアを通じてユーザーに対して「あなたの手元に盗難されたKitKatはありませんか?」と呼びかけ、輸送トラックに乗っていたはずの商品の製造管理番号の一部を公開することで実際にユーザーが食べているKitKatがその一部なのかどうかを確認することができるようにしたのです。
YouTubeをはじめとするSNSには数多くの投稿がされ、なんと自ら“盗まれたKitKat”を探すために店舗で大量買いをする人まで現れたのです。累計リーチ数は8億を超え、大量のUGC(ユーザー生成コンテンツ)を創出し、なんとそのうちの1件は実際に犯人の特定に有効な情報に繋がったようです。2026年6月時点ではまだ事件は解決していないようですが、文字どおり“タダでは転ばない”姿勢とメディアを通じた情報発信の妙が評価されたのではないでしょうか。
Social & Creator Lions
Could Have Been a Heineken(Heineken)
SNSに特化した話題性と、クリエイターの力を最大限発揮した事例を賞賛するSocial & Creator Lionsでグランプリの座に輝いたのは、ビールブランドのハイネケンが行った“ソーシャルツールあるある”に着目した施策でした。
“Could Have Been a Heineken(この時間があればハイネケンを飲めたのに)”というタイトルで公開された施策の内容としては、友人や知人から送られてきた長いボイスメッセージをハイネケンに転送すると、近場のバーでハイネケンと交換できるクーポンがプレゼントされるというもの。
SNSでテキストだけでなくボイスメッセージでやりとりをしたがる人が多い一方で、肝心のボイスメッセージの中身がかなり冗長で、受け手からすると“時間の無駄”とも思えてしまうことも。そんな“あるある”に着目し「こんなに中身のないボイスメッセージを聞いているくらいだったらハイネケンが飲めたのに」というメッセージに変換したのです。
結果的にハイネケンには大量の“中身のないボイスメッセージ”が送られてきて、送りつけたユーザー本人はバーでビールを楽しむことができた……そんなWin-Winな施策として高い評価を得るに至ったようです。
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