「わたしには、アイデンティティすら残っていません」人身売買の残酷さを伝えた伊・NGOの動画

人道支援や貧困問題に取り組むイタリアのNGO・ACRAは、ヨーロッパにおいて依然として人身売買が横行していること訴えるため、自らの被害経験を語る女性が徐々にモザイクに覆われていく啓蒙動画を公開。動画が進むにつれてピクセルが荒くなっていくことで、アイデンティティの喪失が進行することを視覚的に表しています。

 

「わたしが16歳のときに、家族からの金銭的援助が受けられなくなりました。それとほぼ同じタイミングで彼と出会えたことで、ようやく安定した生活を手に入れることができるかもしれないという希望を抱きました」と語るAida。

「彼の妻としてヨーロッパで暮らせる……なんて素晴らしい人生なんだろうと心の底から思いました。でも、裏で彼はわたしの写真を男女のマッチングサイトに掲載していたのです。顧客にわたしを売った彼は、すべての所業をすぐ隣で見ていました。見ず知らずの人が避妊具を着けるところも、その先に待っていた地獄も。パスポートも何もかも奪われたわたしには、もはや何も残っていません。唯一自分のものだと言えるのは、Aidaという名前だけです」と、壮絶な経験をしてきたことを訴えます。

黒人をルーツに持つKubraは、「彼らがはじめてわたしに呪術占いを施したのは、わたしが14歳の時でした。髪の毛も爪も陰毛も、すべてを奪い取ってから、彼らはわたしに突然ヨーロッパで働くよう命じました。今のわたしにはパスポートもなければ、自らのアイデンティティすら残っていません。実は、Kubraという名前さえも、わたしが生まれ持ったものではないんです」と語りました。

Mariaもまた、同じく期待を抱かされては裏切られた凄惨な過去を語ります。「わたしの名前はMaria。アルバニアの田舎の村で生まれ育ち、物心つく頃には既に家族という存在はいませんでした。だから彼と出会った時に、もう1人で暮らす必要はないんだという安心感を覚えた記憶があります。彼はわたしのことを守ると約束したはずなのに、代わりに多くの男性との性行為を強要してきました。彼にとってわたしは、何の価値もない存在だったのでしょう」。

いずれの動画も最後に「2017年から2018年までの1年間で、人身売買の被害に遭った人は合計で1万4,145人にのぼります。その内72%は、パスポートも身分証明証も持ち合わせていない女性でした。彼女たちの存在を証明することすら、今は不可能になっています」という衝撃的な事実が映ります。今なお繰り広げられている非人道的な行いの残酷さをストレートに訴えました。

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