猛暑で変わるスキンケア需要 夏美容のPR・マーケティング事例10選
近年は、猛暑や酷暑の影響で夏の暑さが長期化し、ベタつきや皮脂だけでなく、乾燥や毛穴、インナードライなど、夏の肌悩みも多様化しています。
こうした変化を受け、各ブランドでは”夏美容”をテーマにした商品開発やPR施策を強化。気候変化を生活者インサイトと結び付けながら、ニュース性のある情報発信を行う事例も増えています。
本記事では、猛暑で変わるスキンケア需要を捉えたPR・マーケティング事例を紹介します。
1.コーセー「雪肌精」|”冷やし雪肌精”体感POP-UP「SEKKISEI COOLING LOUNGE」

コーセーは、強い紫外線による乾燥など、酷暑による夏の肌ダメージに着目し、「雪肌精」を冷やして使う新しい美容習慣”冷やし雪肌精”を提案。その一環として、Maison KOSÉ銀座で体感型ポップアップ「SEKKISEI COOLING LOUNGE」を開催しました。
会場では、冷やした化粧水やジェルを試せる「Ice Beauty Bar」や、オリジナルボトルを作れる体験コンテンツ、CMの世界観を再現したフォトスポットなどを展開。さらに、グローバルブランドミューズ・Number_iが一般公開前に会場を体験した様子をWebムービーやインタビューとあわせて公開し、話題化から来場、購買までを一体で設計しています。
「夏はスキンケアが億劫になる」という生活者インサイトに対し、商品を”冷やして使う”という新たな行動を提案し、情報発信だけでなくリアルな体験やファン施策を組み合わせて需要を創出した事例です。
2.シロク「FAS」|”夏くすみ”を防ぐクールタイプ4アイテム

発酵エイジングケアブランド「FAS」は、年々気温が上がり、酷暑が長期化する日本の夏環境に着目。紫外線や暑さによってくすみやすい大人の肌をテーマに、クールタイプのクレンジングジェルを含む4アイテムを発売しました。
注目したいのは、“夏くすみ”という肌悩みを軸に、冷感や香り、発酵由来のブランド資産を組み合わせている点です。人気クレンジングのクールタイプを限定発売する一方、これまで夏限定だったクリームを定番化することで、夏特有の肌悩みが一過性ではなく、継続的なスキンケア需要になっていることを示しています。
猛暑による肌変化を単なる季節訴求にとどめず、ブランドの定番商品づくりにつなげている点が特徴です。
3.RMK|”うるひや”なプレケアオイルとクーリングジェル

RMKは、独自の「クーリングオイル処方」を採用したプレケアオイルとクーリングジェルを今年も夏季限定で発売しました。
冷感アイテムを単なる”ひんやりスキンケア”ではなく、「メイク前の仕込み」という新たな使用シーンとして打ち出しています。冷房による乾燥や汗・皮脂によるメイク崩れといった夏特有の悩みに対し、スキンケアからメイクまでを一連の体験として捉え直し、「夏こそ仕込みオイル」という新しい習慣を提案。
スキンケア商品の機能だけでなく、その先のメイクの仕上がりまで価値として訴求することで、メイクブランドならではの視点から夏需要を創出している事例です。
4.ナリス化粧品「ルクエ」|αゲル構造のマッサージングパック

ナリス化粧品は、猛暑の長期化によって増える毛穴や皮脂、夏疲れといった肌悩みに着目し、「ルクエ」シリーズのマッサージングパックをリニューアルしました。
プレスリリースでは、「夏が長くなったことで生まれる毛穴の悩みや肌の夏疲れ」という環境変化を商品開発の背景として明示。さらに、リニューアルした「ルクエ」シリーズが前年同期比126%を記録した実績も紹介し、ブランドへの支持の高まりとあわせて新商品の投入を発信しています。
猛暑による肌悩みを新たな需要として捉え、生活者ニーズとブランドの成長実績を組み合わせながら訴求につなげています。
5.コーセーコスメポート「ソフティモ」|ひんやりクレンジングシリーズ

クレンジングブランド「ソフティモ」は、メントール配合のクレンジングウォッシュとメイク落としシートを数量限定で発売。猛暑による汗や皮脂、日焼け止めのべたつきに加え、「帰宅後すぐにさっぱりしたいが、忙しくてケアが後回しになりがち」という生活者の行動に着目しました。
プレスリリースでは、「ひんやり時短ケア」というキーワードを掲げ、冷感と時短を組み合わせた新たな使用シーンを提案。ドラッグストアで展開するマスブランドが、猛暑を背景に生活者の行動変化まで捉えたコミュニケーションを展開している点が特徴です。
6.SHIRO|気候変化と向き合う「アイスミント」シリーズ

SHIROは、「アイスミント」シリーズの新商品として、シリーズ初となるスキンケアアイテム「アイスミント エッセンスUV」を発売しました。
プレスリリースでは、北海道で39℃を記録するなど進行する気候変化や、自社の素材調達への影響にまで言及し、「夏の暑さはもはや特別な出来事ではなく、日常になっている」という社会背景と商品開発を結び付けています。猛暑を一過性の話題ではなく、ブランドが向き合うべき環境変化として位置付けている点が印象的です。
さらに、発売延期の理由となった容器の不具合も公表し、品質改善後にあらためて発売。猛暑を切り口に商品を提案するだけでなく、企業としての姿勢まで発信したコミュニケーションといえるでしょう。
7.資生堂|凍らせる氷点下美容液「Sソルベセラム」

資生堂は、冷凍庫で凍らせるとソルベ状になる氷点下美容液「Sソルベセラム」を、資生堂グループ初の取り組みとして発売しました。
プレスリリースでは、インテージSRI+のデータをもとに、冷感コスメ市場が2021年から2025年にかけて約2.5倍に拡大していることを紹介。さらに、自社調査では「冷感コスメを使ってみたい」という関心に対し、実際の使用経験が2割にとどまることを示し、その背景に「冷たさが物足りない」「スキンケアが面倒」といった未充足ニーズがあることを分析しています。
加えて、SNS分析では「#限界OL界隈」に代表される”自分を癒やす時間”へのニーズを捉え、「氷点下の美容で自分を癒す夏のご褒美時間」というコンセプトを構築。市場データ・自社調査・SNS分析を組み合わせながら、商品開発の背景や必要性を論理的に伝えている点が参考になります。
8.OSAJI|ひんやり冷感シリーズ「Ryo〈リョウ〉」

OSAJIは、「年々厳しさを増す日本の夏」を背景に、シャンプーやボディソープなど7アイテムからなる冷感シリーズ「Ryo〈リョウ〉」を発売しました。
プレスリリースでは、冷感を強化するため新たにカンフルを配合しながらも、敏感肌ブランドとして刺激に偏らない「穏やかな涼感」を追求した処方設計を訴求。猛暑への対応を打ち出しつつも、ブランドの強みである”肌へのやさしさ”を軸に商品を開発していることが伝わる内容となっています。
トレンドを取り入れながらも、自社のブランド価値を損なわずに商品を打ち出しています。
9.BCL「サボリーノ」|冷感成分配合の朝・夜シートマスク

タイパコスメブランド「サボリーノ」は、冷感成分を配合した朝用・夜用のシートマスクを数量限定で発売しました。
同ブランドは、洗顔からスキンケア、保湿下地までを1枚で完結させる朝用マスクなど、忙しい生活者に向けた時短提案を強みとしてきました。今回の限定品では、そこに冷感成分や皮脂テカ抑制成分を掛け合わせ、「朝晩続く夏の暑さ」に対応するケアとして展開しています。
“時短”というブランドの既存価値に、“ひんやり爽快”という季節ニーズを重ねることで、猛暑時代の夏美容に合わせて定番ブランドの見せ方をアップデートしている事例です。
10.常盤薬品「エクセル」|ひんやりタイプの朝用UVクリーム

エクセルは、朝用スキンケアUVクリーム「デイスキンコンフォート」に、夏限定のひんやりタイプ「ハイドレーティング」を追加しました。
プレスリリースでは、企画担当者が「皮脂や汗によるメイク崩れ」と「エアコンによる乾燥」という夏特有の2つの肌悩みに着目したことを紹介。美容液・クリーム・UVカット・化粧下地の機能を1つにまとめながら、水分感のあるジェルクリームや冷感成分を採用し、夏でも快適にメイク前の肌を整える設計としています。
定番商品の機能を季節に合わせてアップデートすることで、猛暑時代の朝のスキンケア習慣に新たな選択肢を生み出しています。
まとめ
今回紹介した事例からは、猛暑を単なる季節要因ではなく、新たな市場機会として捉えるブランドが増えていることがわかります。冷感商品の開発だけでなく、生活者の行動変化や市場データ、ブランドストーリーまで含めて設計することで、「夏だから売る」のではなく、「夏だから必要になる理由」を伝えるコミュニケーションが広がっています。
気候変化が続くなか、こうした視点は今後のPR・マーケティングでもさらに重要になっていくでしょう。
その他の事例集についてはこちら
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