新しいのに懐かしい? Folgers新CMの巧みな設計

1850年創業のアメリカを代表するコーヒーブランド、Folgers(フォルジャーズ)。同社が発表した新CMは、長年親しまれてきたブランド資産を、現代的な感性で再編集した好例といえます。

CMは、コーヒーの映像とともに「The Best Part of Wakin’ Up」(目覚めのいちばん素敵な瞬間)というフレーズが現れる場面から始まります。女性の鼻歌に導かれながら、「Wake up」の文字がさまざまなフォントで映し出される構成です。

時計が7時を告げると、異なる人々の朝の風景がテンポよく切り替わっていきます。穏やかな朝、慌ただしい朝、楽しげな朝。登場人物の年齢や人種、ライフスタイルもさまざまです。

印象的なのは音楽の設計です。使用されているのは比較的最近の楽曲が中心ですが、実はすべての曲に共通しているのが「Wake up」というフレーズ。

ジャンルもアーティストも異なる楽曲でありながら、歌詞の一部に同じ言葉が織り込まれています。ロックやポップなど多彩なサウンドを横断しながら、「目覚め」というテーマだけを緩やかにつなぎ止める構造です。

多様なキャストや多様な楽曲によって、「朝の感じ方は人それぞれ」というメッセージを軽やかに伝えます。

しかし、CMはそこで終わりません。動画のラストを飾るのは、長年ブランドを象徴してきたジングル「The Best Part of Wakin’ Up, is Folgers in your cup」(目覚めの最高のひととき、それはカップの中のフォルジャーズ)。

“今”の音楽で多様な朝を描きながら、最後はクラシックなジングルへと回帰する。このコントラストこそが、本作の核心です。

どんな朝にもFolgersのコーヒーが寄り添う存在であることを、静かに示しています。変わり続ける日常の中でも、変わらずそこにあるもの。

その価値を再定義することで、長寿ブランドは再び“今”のブランドになれる。そうした示唆を与えてくれる広告事例といえるでしょう。

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