「まだ食べない」を実践 Nestléがラマダンに展開した異色の食品広告

世界的な食品メーカーNestléが、インド洋に浮かぶ島国モーリシャスで、ラマダン期間中の人々の気持ちに寄り添ったユニークなデジタルキャンペーンを実施しました。

イスラム教徒にとって神聖な月であるラマダンは、夜明けから日没まで飲食を控える断食の期間です。しかし、この時期も食品ブランドの広告には、おいしそうな料理やレシピ動画が数多く登場します。

食べたい気持ちを我慢している人々にとって、食欲を刺激する広告は必ずしも歓迎されるものではありません。

そこでNestléが考えたのが、生活者と一緒に「待つ」広告でした。

キャンペーンでは、断食中の時間帯に食べ物を一切見せない広告を配信。空のグラスやふたをした鍋、料理の入っていないオーブンなどを映し、「Ready. But not yet served.(準備はできている。でも、まだ出さない)」というメッセージを添えました。

レシピを紹介するコンテンツでも、完成した料理を最後まで見せないという徹底ぶり。視聴者が食事を我慢している間は、広告も食べ物を見せずに待ち続けたのです。

そして日が沈み、断食明けの食事「イフタール」の時間を迎えると、広告も一変。空だったグラスには飲み物が注がれ、隠されていた料理が姿を現します。メッセージも「Ready to be served.(さあ、召し上がれ)」へと変わり、待ち望んだ食事の時間を生活者とともに迎えました。

食品広告といえば、商品をおいしそうに見せて食欲を刺激するのが一般的です。しかしNestléは、あえてその手法を封印。生活者と同じ時間を過ごし、食事を待つ気持ちを共有することで、共感を生み出そうとしました。

何を見せるかだけでなく、いつ見せるかにも生活者への配慮を込めた、ユニークな広告事例です。

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