【速報】カンヌライオンズ2026「Entertainment」部門グランプリ受賞作品まとめ

2026年6月22日(月)から26日(金)まで、フランス・カンヌで開催されている「Cannes Lions International Festival of Creativity 2026」。世界中の広告・マーケティング・コミュニケーション領域の関係者が集まり、優れたクリエイティブを表彰する国際的なフェスティバルです。

今回は、卓越したエンタメ性を持った作品に贈られる「Entertainment」部門の各グランプリをピックアップ。純粋なコンテンツとしての作品性を評価する「Entertainment Lions」、ゲームの新たな可能性を見いだした「Entertainment Lions for Gaming」音楽業界における優れたコラボ事例や独創性を評価する「Entertainment Lions for Music」、さまざまなスポーツとブランドをつなぐ架け橋となった事例を評価する「Entertainment Lions for Sport」、4つの賞におけるグランプリをご紹介します。

Entertainment Lions

Original Forever(Oasis)

2009年に解散した伝説のロックバンド・オアシスが10年以上の沈黙を破って2025年に再結成しました。日本にもツアーで来日したことで多くのロックミュージックファンの間で話題を独占したオアシスですが、実はこの再結成にはもう1人の主役がいたのです。

その主役とは、バンドが解散する前からずっとオアシスのギャラガー兄弟が愛用していたスポーツブランドのアディダス。そんなアディダスが仕掛けた大胆かつ大規模なコラボがグランプリを獲得しました。

 

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“The brand with the three stripes”というキャッチフレーズを、広告だけでなく商品にも活用しているアディダスが、オアシスの再結成ツアーの時にだけ“The band with the three stripes”に変更。キャッチフレーズの中の“ブランド”を“バンド”に変えることで、自らのアイデンティティをオアシスと文字どおり融合させたのです。

専用のコラボ商品として発売された限定ラインの商品は、1秒に1着売れるという驚異的なスピードで完売。ツアーのオープニングでも流れた専用のミュージックビデオも制作する徹底ぶりで「オアシス行くところにアディダスあり」と言っても過言ではないようなコラボになりました。

オアシスの地元イギリスでは全商品の全在庫が完売し、EC経由の売上は過去3年で最大の成長率を見せ、33%もの購入者が新規購入者、すなわちこれまでオンライン上ではアディダスの顧客として登録されていなかった新規顧客の開拓まで成し遂げています。

世界的なモーメントをしっかりと捉え、過去に築き上げてきたブランドとバンドの絆を活用することで話題以上のビジネスインパクトを叩き出した点が評価された事例でした。

Entertainment Lions for Gaming

Copycats Welcome(Supercell)

Supercellが手がけるゲーム『Clash Royale』はその高い知名度ゆえに、多くの模倣ゲームの存在に頭を悩ませていました。

法的手段に打って出る選択肢もあった中で、同社が実施したのは意外性抜群なユーザーへの還元施策。その企画性の高さと同社らしい遊び心が評価され、見事グランプリの座に輝きました。

“Copycats Welcome(パクリゲームさん、いらっしゃい)”という挑発的なタイトルが付けられた施策の内容自体はシンプルで、Clash Royaleを模倣したゲームのユーザーが、それらのゲーム内での進行度合いを専用サイトから申告することでClash Royale内で使うことができるアイテムをもらえるというもの。

模倣ゲームに流れてしまったユーザーを、強引とも言えるような手段で“元祖”であるClash Royaleに呼び戻そうと試みたのです。

施策の実施と同時に公開された動画ではスポーツゲームやシューティングゲームなど、システム面だけでなくキャラクターデザインさえも模倣しているゲームを揶揄しつつもどこか憎めないトンマナのクリエイティブで描きました。

常に遊び心を忘れないSupercellらしいアプローチが光る、大胆不敵な事例でした。

Entertainment Lions for Music

Berghain feat. Björk & Yves Tumor(Rosalía)

音楽業界における革新的なクリエイティブを評価するEntertainment Lions for Music部門では、スペイン出身のシンガーソングライター・Rosalíaが公開した“Berghain”という楽曲のミュージックビデオがグランプリを獲得しました。

楽曲自体の独創性はもちろん、映像に落とし込んだときの夢と現実を行き来するような表現美が評価に至ったようです。

日常生活の一幕と弦楽楽団、コーラスを映像内でひとまとめに表現したミュージックビデオは、視聴者に強烈な違和感を覚えさせつつもどこか自然に感じる、まるで夢と現実の不思議な融合空間に飛ばされたかのような感覚になる独特な表現が特徴です。

見たことがあるようで見たことがない……クラシカルな曲調なのにどこか先進的……そんな相反する要素を見事に演出に落とし込んだ点が評価されたのではないでしょうか。

Original Forever(Oasis)

本記事内でご紹介しているオアシスの再結成時にアディダスが仕掛けた大規模なコラボキャンペーンがEntertainment Lions for Musicでもグランプリを受賞。ビジネスインパクトだけでなく音楽の可能性を最大限引き出した事例として、Entertainment部門だけで2冠を達成しています。

Entertainment Lions for Sport

The Thousand Sponsors of Muni(Club Deportivo Municipal)

スポーツ業界における優れたクリエイティブを称賛するEntertainment Lions for Sportでは、ペルーのサッカークラブ・Club Deportivo Municipal(Muni)が実施した地域密着型のスポンサー募集施策がグランプリの座を手にしています。

長い歴史と熱烈なファン層を誇る同チームは昨今成績が低迷しており、それに伴いスポンサー数も減少……経営自体が危機的な状況に追い込まれるほどの苦境に立たされた中でMuniが着目したのはチームにとって最大の資産である“サポーター”の存在でした。


※上記の動画は参考掲載です。Club Deportivo Municipal公式の発表内で紹介されたものではありません。

Muniが実施したのは、ユニフォームのデザインを大胆にリデザインし、1000ものスポンサー枠を設けることでいくつかの大口スポンサーを募る従来の方式から、Muniを長年応援するサポーターがもっとも多い小規模事業者でも協賛できる仕組みへ切り替えたのです。

これは単にスポンサー枠を増やしただけの話でなく、地域密着型のチームだからこそ向き合うべきだった“街のクリーニング屋さん”や“街の家電屋さん”がMuniのスポンサーになることができるということ。

実際に用意していたスポンサー枠は無事埋まり、スポンサー特典として各事業者にはチームの公式ステッカーが配られたり、選手たちを宣伝に活用できたりと、Muniにとっては金銭よりも大切な地域との繋がりをも強めることに成功したのです。

1050万ものリーチ数を叩き出した本施策は、ローカルスポーツチームにとっては数字よりも大事なものは何なのかを改めて見つめ直した結果、チームとサポーターの双方が幸せになる形を実現することに成功しました。大規模な広告予算が前提となっていることが多い施策が並ぶ中、アイデア1つで課題を解決した点が印象的な試みでした。

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