若者と故郷をつなぐのは1冊の貸出本。宮崎県西都市が「18歳の図書館」を開館
宮崎県西都市が、貸出期間を3年とした「18歳の図書館」を市内唯一の高校に開設。若者の多くが地元を離れるという課題解決に向けたPR施策です。
内閣府によると、日本の総人口は2008年から減少を続ける反面、東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県の人口推移は継続して増加しているといいます(詳しくはこちらから)。この図書館施策は、宮崎県西都市が行う、地域社会の担い手を増やそうと移住推進を軸にすえた地方創生の取り組み「西都はじめるPROJECT」の1つです。
この図書館では、ジャンルやタイトルが明かされない「ブラインドブック」として、選者によるタイトルを頼りに本を貸ります。図書館を設けた宮崎県立妻高等学校の教諭や、西都市のマンゴー農家や首長といった地元の人びとに加えて、ブックカフェ「文喫六本木」店長やさまざまなクリエイター、アーティストらが選んだ250冊がラインアップします。
生徒は、借りたときの気持ちや本の感想などを「3年後の自分」に向けて手紙を書きます。進学する人であれば就職活動に向き合い、高校卒業後すぐに就職したのであれば、社会人としての悩みを抱えているであろう「3年後」にあらためて書籍を読み、読書感想文が完成。多くの若者が帰省するタイミングとなる「20歳を祝う会」の参加にあわせて、西都市に本を返却して欲しいという願いが込められているそうです。
自治体に大学がなく、高校もこの図書館が開設された妻高校のみだという西都市。妻高校が公表する進路状況において、2023年度は、201人のうち県外の学校・企業へと飛び立つ生徒が71人を占めています。また、前述の内閣府調査では、東京圏への転入超過数は20~24歳の年齢階層が高く大学や専門学校を卒業し、就職を主なきっかけとしてと移動する人が多いと推察されています。
未来へと羽ばたく若者たちを励まし、応援しようというこのプロジェクトは、将来のUターンを促すきっかけとなりうるだけでなく、1冊の貸出本が心と故郷をつなぐアンカーとなることでしょう。地方創生プロジェクトでは、新規移住者や関係人口の獲得に注力した企画が目立ちますが、巣立っていった若者へのメッセージを内包するこのコンセプトに注目が集まるかもしれません。
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