病気の父親に会いに行くだけで逮捕? 仮釈放中の理不尽さを描いた啓発動画

アメリカで保護観察や仮釈放制度そのものの改革に取り組む団体REFORM Allianceは、一度罪を犯してしまった人が直面するあらゆる理不尽を表現した啓発動画を公開。”Technically Illegal(厳密には違法)”と題されたこの動画は、一般人なら日頃気にせず行っている些細な行動も、仮釈放中の人にとっては犯罪になってしまう可能性があることを訴えています。

歩道を全力疾走する男性、車に乗って移動する男性、友人と一緒に食事を楽しむ女性、幼い子どもを連れ買い物をする女性など、さまざまな人種や性別の人々の生活が映されながら動画ははじまります。しかし、穏やかな音楽は一変。突然”WARNING: Everything you’re about to see is technically illegal(警告!今からお見せする行為は全て厳密には違法です)”という注意書きが表示されます。

車で移動していた男性は無事目的地に到着し、建物の中に入っていくとそこには父親と思しき人がベッドに横たわっています。額に優しくキスをし、手を握り目に涙を浮かべながら語りかける男性。

心温まるシーンかと思いきや、実はこの男性は仮釈放中の身で「州境を跨ぐ」という違反行為を犯していたことが知らされます。入院中の父親に会うという普通であれば何の問題もない行動も、保護観察下であれば逮捕される可能性のある行動になってしまうのです。

その後、友人とただ食事を楽しんでいた女性は「アルコールが提供される場に身を置く」という違反行為を。幼い子どもと買い物をしていた女性は「門限を超えて外出する」という違反行為をそれぞれ犯していたことが分かります。

歩道を走っていた男性も実は保護観察官との面談に向かっており、いかなる理由があったとしても遅刻をしてしまうと違反行為であることが分かります。

REFORM Allianceの共同代表Meek Millは、この動画を公開するにあたり、「仮釈放に関する現在の法律は、更生ではなく拘束することを目的としています。私たちの使命は、1人でも多くの一般の方々にこのシステムの異常さを知ってもらい誰も傷付かない行為をしているのにも関わらず罰されている人がいるという事実と向き合ってもらうことです」とコメント。

“Give LIFE Back(普通の生活を返してあげよう)”というキャッチコピーとともに終わる動画には、犯罪を犯したことがある人出なければ知り得ない理不尽にフォーカスし、REFORM Allianceの訴える保護観察や仮釈放制度そのものの改革を表しています。

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