「知っています。全部知っています。」ライダーの心情をひたすらに代弁するホンダの企業広告

Case: Lockdown

ホンダのフランス法人が行ったキャンペーンをご紹介。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大、そしてこれにともなうロックダウン(都市封鎖)によって多くのライダーたちがバイクとともに出かけられない現状に寄り添い、「こうした気持ちの人がたくさんいるはず」と、ライダーたちの心情を代弁するポスターを製作したのです。

「あんなに嫌だった渋滞が、いまは恋しい。」

かつて私たちが望んでいたもの、それは誰もいない街、ガラガラの道路、そしてまぶしい朝日。
皮肉なことに、いまその光景はどこでも見られるようになった。

いまこの状況になって、もういちどあの光景が見たくなっている。
道路をうめつくす車、道幅いっぱいのトラック、すべてのバス停に停車するバス、交差点を埋め尽くす人々。

その日が来るまで、私はじっと待っている。このバイクと。

「バイクもまた、ステイホーム。」

やることはひとつ。「家のなかで出来ることをする」
ガレージは「バイクの家」だ。
バイクも一緒にステイホーム。自宅で楽しむ方法を考えるしかない。

「ごめんな。」

何週間もほったらかしにしてごめん。
ここ最近の思い出は、ぜんぶインターネットの中だよ。

「せめて愛車と同じくらい・・・」

手を洗おう。よく洗おう。
愛車くらいピカピカにしよう。私の手を。

「鳥のフンでも落ちてこないかな。」

鳥のフンのひとつでもバイクに落ちてくれたら。
そしたら、バイクをさわる目的ができるのに。

「家にいればいるほど・・・」

家にいればいるほど、やらなきゃいけないことが増える。
家にいればいるほど、夢を見る時間が増える。
これから叶えたい夢を描く時間が増える。

ポスターに綴られた「心の声」は、どれも胸が張り裂けそうなほど悲痛な思いに満ちています。しかし実際に、同じ気持ちを抱えるライダーは何人もいて、いつかはやってくる、「外に羽ばたく日」を待ち望みながら、その日をじっと耐えています。

企業としてステートメントを示すことも、企業PRの大きな役目かもしれません。しかしホンダは、同じバイクを愛する者として、ライダーたちの心情に寄り添う道を選んだのです。

「ライダーのみなさん。私たちはあなたたちの気持ちが手にとるようにわかります。」

ポスターの末尾に添えられた、ホンダからの“まなざし”。
直接的でこそないものの、すべてのライダーたちに「あなたはひとりではない」と呼びかけ、ともに未来を探ろうとする気持ちが伝わる、胸に刺さるポスターでした。

(via Ads of the World)

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