書店のない町に医療法人が図書室をつくる 本で地域をつなぐ福祉交流モデル
全国で書店の減少が続き、熊本県内では約半数の自治体に書店がありません。そんな書店のない町のひとつである熊本県甲佐町で、医療法人谷田会は2026年9月5日(土)、公園型複合施設cho-juu-park(チョージューパーク)内に図書室OWL(おうる)を開設しました。医療法人が本をきっかけに、地域の人が日常的に立ち寄れる場所をつくる取り組みです。

チョージューパークは、甲佐小学校に隣接する旧親水公園の約5,000㎡を活用した施設です。敷地内には、高齢者デイサービスや児童発達支援施設のほか、オーガニックレストラン、マーケット、レンタルスペースなどがあります。福祉施設に飲食や買い物、散策の場所を組み合わせることで、施設利用者以外の地域住民や子ども、観光客も立ち寄れる環境を整えています。
今回誕生したOWLは、本を販売したり貸し出したりするのではなく、その場で自由に本と過ごすための図書室です。室内で読むほか、ツリーハウスや森へ本を持ち出すなど、好きな場所で読書を楽しめます。本をきっかけに自由に過ごせる空間が、医療や福祉に用事がない人にも、公園を訪れ、滞在する理由を増やしています。

蔵書は地域、文化、旅、食、エッセイ、小説、漫画、絵本など約1,000冊。選書と納入は、熊本市の長崎書店と、福岡県うきは市・久留米市のMINOU BOOKSが担当しました。1889年創業の長崎書店は、自社のギャラリーやホールを使った展覧会、トークイベントなどに取り組んできました。
MINOU BOOKSも、自店でフェアやワークショップを開き、本を介して人と地域がつながる機会をつくってきた書店です。こうした2社との協業からも、OWLが本を読むだけでなく、地域の人が集う場所を目指していることがうかがえます。

今後は、本にまつわるイベントやトークショー、展示なども予定されています。常設の図書室に催しを重ね、地域の人が再び訪れる機会をつくる予定とのこと。
書店のない町で、医療法人が運営する福祉施設に図書室を加えた今回の取り組み。地域の書店による選書と、飲食や散策も楽しめる環境を組み合わせ、診療や福祉サービスを利用しない人にも訪れるきっかけを広げています。
治療や支援を提供するだけでなく、本を介して多世代が集まる場所をつくり、医療法人と地域との日常的な接点を広げるCSR事例です。
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