八天堂が“冷製もみじ”で土産市場に挑戦 既存アセットを活かした差別化戦
初夏を思わせる気温の日が増えるなか、食品・スイーツ市場では“ひんやり感”を打ち出した商品展開が本格化しています。
「冷やして食べるくりーむパン」で知られる株式会社八天堂は、2026年5月15日(金)より「冷やして食べる くりーむもみじ」を発売。広島県・大阪府・千葉県の八天堂店舗やサービスエリアなどで順次展開しています。
広島土産の定番である「もみじまんじゅう」は、持ち運びしやすい常温商品が主流です。一方で、定番カテゴリであるがゆえに、味やパッケージだけでは差別化が難しい市場でもあります。
そこで八天堂は、自社の強みである“冷やして食べる”体験を土産市場へ持ち込みました。

同商品は、もっちり食感の生地に、なめらかなこしあんと八天堂特製カスタードを組み合わせた冷製スイーツ。これまで「くりーむパン」で培ってきた“くちどけ”や温度設計のノウハウを、広島銘菓の文脈に転用しています。
ポイントは、単なる新フレーバー展開ではなく、「常温で持ち帰る土産」というカテゴリに、冷蔵前提の食体験を持ち込んでいる点です。現地で冷たいまま楽しむ”その場消費”を軸に据えることで、従来の土産とは異なる購買シーンを切り開いています。
特に、気温が上がるこれからの時期は、観光中や移動中に冷たいスイーツの需要も高まりやすいタイミング。八天堂は、土産市場に「ご褒美系冷製スイーツ」という新たなポジションを提案しました。

八天堂の土産市場への取り組みは「くりーむもみじ」にとどまりません。広島名物のしゃもじをモチーフにした「しっとりもっちり しゃもじ焼」では、メッセージを書き込める個包装を採用し、観光土産にコミュニケーション価値を加えています。
“食べて終わり”ではなく、贈る体験ごと設計するという姿勢は、同社の土産市場戦略に一貫しています。

八天堂は1933年に「甘くておいしい和菓子で周りの人を元気づけたい」という想いのもと和菓子店として創業し、時代に合わせて洋菓子やパンへと業態を広げてきました。
その軸にあるのは、創業から受け継がれる「やさしさ」と「くちどけ」へのこだわりです。今回の「冷やして食べる くりーむもみじ」も、そのノウハウを地域銘菓へ応用した事例といえます。
既存アセットを別市場へ転用し、新たな食体験として打ち出す。八天堂の取り組みは、成熟しやすい土産市場における差別化のヒントを示しています。
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