IHI空領域 × 宇宙兄弟 “心が躍る方へ”と誘う採用プロジェクト「金ピカマッチ採用」
アニメやマンガといったキャラクターIPコラボレーション広告の大きなメリットは、短期間かつ広範囲に情報が拡散されること。IPの知名度やファンダムの力を借りることで、ターゲット層の拡大や、広告効果を高めます。一方で、パートナー選びに失敗して「なぜこれを選んだのか理解できない」といった批判を受けるリスクも……。
そんな中、作品の世界観や文脈をリンクさせ、企業・IP双方がともに輝きを強める事例が登場しました。
資源・エネルギー、社会インフラ、産業機械、航空・宇宙の4つの事業分野を中心に幅広いソリューションを提供する株式会社IHIの航空・宇宙・防衛事業領域(以下、IHI空領域)で進めるキャリア採用広報の一環として、人気マンガ『宇宙兄弟』(講談社・小山宙哉)とタッグを組んだプロジェクト「金ピカマッチ採用」を2025年10月1日(水)から展開しています(PR EDGEの紹介記事はこちら)。
この採用プロジェクトの企画立案から実施に至るまでをプロデュースした採用マーケティング支援企業・株式会社No Companyの渡邊雄豪さんと大川佑介さんに、このプロジェクトをめぐるビハインドストーリーをうかがいました。
前後編の前編、後編はこちらから
ーーまず、プロジェクトの概要を教えてください。
渡邊:IHI空領域のキャリア採用を支援するプロジェクトで、2023年から動き出しました。
IHIさんは、2023年に航空・宇宙・防衛事業領域をさらに発展させていく方針を打ち出し、年間100名のキャリア採用を目指すことが決定しました。これは従来の採用規模を大きく上回る挑戦であり、これまでの手法の延長では難しいという認識に至りました。
その結果、採用手法そのものを抜本的に見直す必要があるとの判断から、プロモーション施策の検討をされていました。しかし、「どこから着手すべきか」という課題が残り、そのご相談をいただいたことが、No Companyとの取り組みの始まりでした。
そして、コンセプト設計におよそ1年を費やし、その後想いを集約させたLPを制作し、「変革人財」(以下、人財)と出会える場を整えました。出会いをさらに拡げる取り組みが「金ピカマッチ採用」です。

大川:人財を100人採用することにインパクトがありました。これまで「いなかったタイプ」の人財、専門性やスキルの質を求めています。
ーーポテンシャルの高い人物を求めるからこそ、具体的なペルソナを定めていないことはわかりますが、認識はどのようにあわせたのでしょうか。
大川:人財が示す人物について、やはり当社側の理解も最初は浅かったんです。そこを明確にするためにストロークを重ねました。価値観や行動様式といった企業哲学の共有はもちろん、IHIさんが採用した人財を3つほどのタイプにわけて、お互いに分析することもしました。
ーー「金ピカマッチ採用」を公開するまでの取り組みを教えてください。
渡邊:時系列では、初年度から広告活動を徐々に始めました。2024年度も23年に策定したコンセプトをもとにした情報発信を行い、その成果として、採用人数で目標を達成し、順調に進んでいるというフィードバックをいただいています。
目標の採用人数はクリアできている一方で、異業種で活躍している候補者をさらに取りこんでいく必要がありました。
そこで、2025年はより広い施策を戦略的に行うことになりました。同業他社で研鑽を積んだ人財を集客するだけでなく、さらなる発展のために「外に出て行く」必要があるということです。同時に、潜在的な人財……現時点では転職を視野に入れていない人たちに向けて長期的なコミュニケーションを行うきっかけ作りも、「金ピカマッチ採用」が担います。
ーー「金ピカマッチ採用」は秋の展開でした。展開時期に意図はあったのでしょうか。
渡邊:キャリア採用は年間を通して行われるものなので、時間軸は意識していません。年度の始まりにあたる2025年4月から、IPとのコラボレーション契約を結ぶことを含めて動き出しました。春・夏とローンチに向けた準備を重ね、サイトオープンは10月1日(水)です。
作品として『宇宙兄弟』が2026年の完結にむけて盛り上がっているタイミングに、あわせて公開できたことは、結果的に良いスタートを切れたという実感につながっています。

マンガ『宇宙兄弟』第1巻より ©︎chuya koyama
ーー2025年は、作中で主人公の南波六太(ムッタ)が仕事を辞めた年にあたりますね。
渡邊:はい、物語のスタート地点です。せっかくコラボレーションするのだから、その効果を最大化することを意識しました。(クリエイターエージェンシーの)株式会社コルクの担当者さんとも話を重ねたり、作品を読み返したりもして、作品の文脈と重ねられたと思います。
ーープロジェクト全体のコンセプト設計について教えてください。
渡邊:採用ブランディングを支援するにあたって、従来よりも幅広い層へ訴求するために「IHIが投げかける言葉」にふさわしいコンセプトを考えました。
IHIさんが掲げるコーポレートスローガンは「Realize your dreams」です。夢を追いかけることの大切さを企業として表し、夢を叶える後押しをする姿勢が示されています。
まるで「一緒にいい仕事をしていこう」と業界をリードするIHIさんが発信しているようです。その反面、日本のものづくり業界が少し元気がないという現実もあります。
夢を叶えようとする「背中を押す」というプロジェクトのコンセプトはそこから生まれました。

より多くの人に言葉を届けて、心を動かす仕組みを設けるにはメディアをはじめとする「第三者的な存在の力を借りる必要があるかもしれない」と考えたところから、IPとコラボレーションするアイデアも生まれました。
とはいえ、人気IPとコラボすればいいというより「背中を押す」パートナーとなり得るかという視点で検討すると、『宇宙兄弟』こそが企業のメッセージを、同じ文脈で語っている作品でした。
ーーIHI空領域で活躍する人財にとって関心や愛着がある作品だと容易に想像できますし、夢に挑戦するストーリーですね。
大川:愛読者が参画メンバーに少なからずいましたが、IHIさんとの定例会議でも『宇宙兄弟』の名前が挙がったので、検証や思考を深めていきました。

マンガ『宇宙兄弟』第11巻より ©︎chuya koyama
ーー具体的にどんなことを気にかけたのでしょう?
大川:ただのコラボで終わらず、意義のあるものにできるかという点です。さらに、『宇宙兄弟』を通じて「IHI空領域だからこそ伝えるべきことは何か」というところまで思考を広げました。
「空想科学会社」、これはIHIさんのかつてのコーポレートスローガンです。そこから「Realize your dreams」に発展して、夢を追いかけるだけではなく、実現する会社だと強調しています。
中途採用のコンセプトも「We are SKY TECH CHALLENGERS.」。IHI空領域はチャレンジャーだという姿勢です。『宇宙兄弟』は主人公だけでなく、多くのキャラクターたちがそれぞれの夢にむかって実現するために、悩みや不安、情熱、憧れを胸に秘めながら、チャレンジを重ねています。そこにIHI空領域の「背中を押す」というアクションが加わることで、コラボレーションで伝える意義は間違いなくあるという結論に至りました。
ーーNo Companyならではの伴走だったと思い返せる点はありますか?
渡邊:2023年からの長期プロジェクトですが、毎週のように定例会議で、深いコミュニケーションが行われていることでしょうか。関わりが濃いと感じています。
当社は、価値観や行動様式をもとに企業と求職者がマッチングしている状態をスタイルマッチと名付け、採用手法として掲げています。通常の採用活動では、IHIさんが大切にする哲学を伝えきれないと思いますし、また望む人財はスペックを評価する軸だけでは採用できません。
年収や採用予定人数といった数字以外のところで、IHI空領域に共鳴する人財を集めるために、1つひとつの施策でていねいにコンセプトを打ち出すことを意識していました。
なかでもコミュニケーション施策では、それぞれ全体像をしっかりと用意しました。これは、全体を都度見渡すことで過不足をなくしていく方法です。全体をふまえて次にやるべきことを提案していきました。
(前編・了)
(取材・文 服部真由子)
続く後編では、採用候補者ならびに潜在層にあたる「未来の候補者」にまで幅広くアプローチするためのアイデアと、ビッグIPとのコラボレーションがどのように進行したかをくわしくうかがいました。
インタビュイープロフィール
渡邊雄豪(わたなべ・ゆうごう)
株式会社No Company
Producer

都内広告会社を経てIターンをし、日本酒メーカーで営業企画やマーケティング組織立ち上げを経験。事業会社でブランディングに奔走するなかで、ブランドをかたちづくる「人」の重要性を痛感。事業課題を「ヒト」の領域から解決したいと考え、No Companyに参画。
⼤川佑介(おおかわ・ゆうすけ)
株式会社No Company
Creative Director / Copywriter / Planner

2022年よりNo Company所属。組織・人・社会に意味ある変化を起こすべく、企業のミッション・ビジョン・スタイルの策定、採用コンセプト設計、Web・SNSやPR企画など、領域を問わずプランニングから実行までを一貫して手がける。
その他のインタビュー記事についてはこちら
https://predge.jp/search/post?othres=31
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