地域店が連携 ‟断尾”の想いを逆手に取った浪花節広告術|道頓堀・金龍ラーメン

カニやお寿司、たこ焼きや餃子などのさまざまな巨大な立体看板に埋め尽くされた大阪・道頓堀。ド派手でにぎやか、庶民的な活気にあふれた雰囲気で、まるでテーマパークを訪れたような気持ちになる歓楽街です。

撤去される前の尾の部分(2024年8月19日撮影)

ミナミの名物看板のひとつ、お店を突き破る「龍(金龍ラーメン道頓堀店)」に異変が起こったのは、2024年8月のこと。龍の尾が隣接地にはみ出ていることから、看板制作者がしっぽ部分を撤去しました。また、残された龍の目には「涙」が取り付けられました。

大阪かに源のコラボ立体看板(2024年9月17日撮影)

さらに、近隣のカニ料理店(大阪かに源道頓堀店)の立体看板に、切り取った龍のしっぽを取り付けることで、近隣のカニ看板が龍の尾を切ってしまったというストーリーを展開。「金龍さん、まぁ、気張っていこや!」という応援メッセージとともに期間限定のOOH施策が行われ、メディアにも報じらました。

そして干支が龍(辰)から蛇(巳)へとバトンタッチした2025年、またひとつ、地域と連携した新しいストーリーが生まれます。金龍ラーメンの創業者が長年愛用していたことをきっかけに、近隣の老舗刃物店「堺一文字光秀」とコラボレーションした広告を展開。

まるで電柱広告のように、「切れ味抜群」というシンプルさを極めたキャッチコピーと店名、「この先直進 600m」の案内に添える矢印は包丁のかたちにアレンジされています。この施策は「立体看板と店舗壁面を地域活性に活かしたい」という想いから、金龍ラーメンが堺一文字光秀に提案したといい、1月16日(木)にお披露目され、2月28日(金)まで掲出される予定です。

今回のコラボレーションを機に、金龍ラーメンは全店舗で使用する包丁を堺一文字光秀製品へと刷新することを発表。OOHで応援・協力した大阪かに源からは、2021年にカニの立体看板を破壊され、謝罪に訪れた加害者の若者を赦し、のちにその2人をアルバイト雇用したというエピソードも聞こえてきます。

国内外から観光客が訪れ、さまざまな立体看板がフォトスポット化する道頓堀エリア。その裏側では、商いと同様に義理・人情を重んじる‟浪花節広告術”から、しっぽ(TAIL)中心に地域をめぐるブランドの物語(TALE)が誕生したようです。

その他の広告事例についてはこちら
https://predge.jp/search/post?genre=24
会員登録、メルマガの受信設定はこちら
https://predge.jp/

ランキング

最近見た記事

最新記事

すべて見る