弾圧された新聞のフォントで、報道の自由を訴える。国境なき記者団のキャンペーン『Fonts for Freedom』

Case: Fonts for Freedom

言論の自由の擁護を目的として様々な活動を行う、ジャーナリストによる非政府組織・Reporters Without Borders(国境なき記者団)によると、世界では2018年だけで140以上のメディアが検閲または閉鎖に遭い、さらに150人以上のジャーナリストが逮捕されたのだといいます。

このような現状を世界へ広く訴えるため、国境なき記者団は『Fonts for Freedom』というキャンペーンを実施。これは弾圧により廃刊になった新聞で使われていたフォントをデジタル化したものを制作し、多くの人に使ってもらうことで報道規制に対する抗議の意を示すという内容です。

以下は実際に廃刊となった9つの新聞と、そのフォント。

・Özgür Gündem(イスタンブールを拠点とするクルド人の日刊紙。)

・AZADLIQ(アゼルバイジャンの新聞 2016年8月に廃止。)

・Tuoi Tre(ベトナムの新聞 大統領に関する“誤った情報”があるとして、罰金とオンライン版の一時停止を受ける。)

・Mawio(タンザニアで発行されている週刊誌 前大統領の脱税行為について報じたところ、24か月の停止処分。)

・The Cambodia Daily(調査報道を主とするカンボジアの新聞 大統領の圧力により閉鎖を余儀なくされたと主張。)

・Taraf(トルコの日刊紙 政府に対して批判的な記事を掲載し、閉鎖に追い込まれる。編集長はクーデター未遂の罪で終身刑を言い渡された。)

・Magyar Nemzet(ハンガリーの日刊紙 首相の圧力により、2018年4月に閉鎖。)

・Népszabadság(ハンガリーのリベラル派メディア 突然の閉鎖は政治的圧力によるものだと主張。)

・НОВЫЕ КОЛЁСА(ロシア西部のカリーニングラードで発行されていた新聞 秘密捜査官がカリーニングラードの住民を殺害したという内容の記事を掲載した結果、編集長が投獄された。)

これらのフォントは特設サイトよりダウンロードしてユーザーが自由に使えるようにしたほか、屋外広告にも使用。するとこの取り組みは世界132か国で紹介され、8億3000万人にリーチすることに成功しました。

権力によりメディアを廃止に追い込んだとしても、真実を伝えようとする意志は決して消えることはないのだと、静かに、しかし力強く訴えかけたキャンペーンでした。

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