手話を“声”に変えるAI 視聴者10倍アップを実現した中国発ライブコマース
2023年には約97.8兆円規模に達した※とされる中国のライブコマース市場。多くのライバーがこの巨大市場で収入を得る一方、手話でしか話せないろう者のライバーたちは、視聴者の90%がろう者に限られ、市場の恩恵からほぼ取り残されていました。
※参照元:https://www.chinapost.jp/news/china-live-commerce-market
この構造的な課題にアプローチしたのが、中国のライブ配信プラットフォームKuaishou(クアイショウ)です。
ろう者ライバーの@Jingjing(ジンジン)とのパイロット配信にあわせて、AIを活用したリアルタイム変換技術を導入しました。配信者の手話をカメラで読み取り、専用データベースと照合してテキスト化。
その内容をデジタルヒューマンが音声として発話することで、手話の情報を声として届ける仕組みで、字幕表示ではなくもうひとりの自分が話すような形で情報を伝える点が特徴です。
これにより、これまでリーチできなかった聴者(健聴者)にも内容が届くようになりました。

成果は数字にも表れています。配信は70万回以上の視聴を記録し、2時間で約5.3万元(日本円で約100万円前後)の売上を達成。購入者の20%以上が初めて購入した聴者でした。
注目したいのは、この取り組みが善意だけで成り立っていない点です。ろう者のライバーは収入機会が広がり、聴者の視聴者は新たなコンテンツに出会い、プラットフォームは売上と視聴者数の両方を伸ばしました。三者それぞれにメリットがある設計になっています。
AIが声を与えることで、これまで閉じられていた経済参加の扉が開く。日本を含む世界各国に同様の技術が広まれば、ろう者の行動範囲や経済的な自立の可能性は大きく広がるかもしれません。
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