お菓子のPR&広告事例10選|商品の魅力を届けるマーケティング・ブランディング施策

全日本菓子協会のレポートによると、2023年の日本の菓子業界は商品ジャンルや業務形態などによって差はみられるものの、全体としてみると、2022年に続き、生産数量、生産金額、小売金額ともに前年を上回りました。また、コロナ禍前の2019年と比べると、生産数量では依然及ばなかったものの、生産金額や小売金額は、価格改定などもあって同水準を確実に超える状況となったとあります(※1)。

また、今後も国際商品市況や為替動向などから、お菓子の原材料価格、エネルギーコスト、物流費などの高い状態が続くと予想されます。お菓子の価格改定も続く見込みですが、消費者は実質賃金のマイナスが続く中で、節約志向も強まっています。

いっぽう、海外に目を向けると、世界的に景気が持ち直していることから、日本のお菓子の輸出の増加が見込まれるとともに、インバウンドも前年の急回復の流れを引き継ぐことが期待されています。

そんなお菓子の市場で、国内の消費者、海外からの消費者など、見据えたターゲットに選ばれるお菓子になるためのPRや広告もさまざまな角度から展開されています。今回は、そんなお菓子の海外・国内におけるPR&広告のマーケティング事例をまとめてお届けします。

1.チートスを食べる時に手につく粉「チートル」がアニメ現場に次々とバグを巻き起こす新CM

声優・雨宮天さんがアニメーター、エディター、声優を演じるチートス新WebCM「世界NO.1バグ(?)スナック チートス」が2023年10月11日(水)に公開。やみつきなチーズ味が特長の世界NO.1パフスナック(※1)「チートス」のリニューアルにあたり、声優・雨宮天さんを起用した新WebCMは、ジャパンフリトレー公式YouTubeチャンネルで楽しめます。

「チートスを食べる時に手につく粉」は、「cheetle(チートル)」と呼ばれ、「チートス」のブランドイメージである「やんちゃな楽しさ」を伝えるコミュニケーションとして世界中で展開されています。今回のWebCMでは、世界NO.1パフスナック(※1)を訴求するアニメCMを制作する架空のアニメーションスタジオ「CHESTER STUDIO(チェスタースタジオ)」を舞台に、「チートル」がもととなり、さまざまなおかしいこと(バグ)が巻き起こる、チートスらしい楽しさあふれるストーリーとなっています。

普段からアニメ制作に携わられている人気声優・雨宮天さんが出演し、声優以外にも、アニメーター役、エディター役の3役を演じています。私生活でもお菓子をよく食べるという雨宮さんのチートスの食べっぷりにも注目です。

・※1:※1: ユーロモニターインターナショナル調べ;スナック菓子類2023年版;同社のパフスナックの定義による;ブランドシェア(%);2022年総小売販売額

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2.新市場に進出なるか? ロングセラー「さかなっつハイ!」の飽くなき挑戦施策

東洋ナッツ食品が展開するロングセラー商品「さかなっつハイ!」は、これまで給食のおやつとして親しまれてきました。そんな、さかなっつハイ!は給食のおやつのイメージを脱却するため「棚に並びたい!」と日々努力を重ねてきました。

そしてついに、今年9月から全国の棚に並び始めることとなったことを記念して、お笑い芸人・ダンディ坂野さんによるノーカット動画“3時のさかなっつ!”を30本制作。2023年10月2日(月)から公式YouTubeチャンネル・X(旧Twitter)にて30日間連続で、毎日15時に公開しています。さらに、既存のさかなっつハイ!LP(ランディングページ)を期間限定で、ダンディ坂野ver.にリニューアルもしました。

意図した結果や効果が得られなかった過去の施策について、試行錯誤している姿をおもしろおかしく動画として公開。自社商品への愛や施策への真剣度が伝わってきます。小さな努力が結実して一般の店頭にも並ぶようになり、さらなる販路拡大のために次の施策にはタレント起用の動画公開と徐々にグレードアップしていく姿は、応援したくなる要素を備えた展開となっています。

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3.「たべっ子どうぶつ」のリアルイベントに16万人が来場 翌日にはさらなる展開も

ロングセラービスケット「たべっ子どうぶつ」の生誕45周年を記念し、横浜・ASOBUILD(アソビル)で7月から開催されていた大型屋内イベント「たべっ子どうぶつLAND」が2023年9月18日(月・祝)、大盛況のうちに閉幕。累計来場者数が16万人(※1)を突破したことが発表されました。

誰もが一度は見たことがあるであろう、パッケージに描かれたかわいいどうぶつたち。「たべっ子どうぶつLAND」は、「たべっ子どうぶつ」の世界を楽しみ尽くせるスペシャルな空間として、コンセプトカフェからキャラクターグリーティング、フォトスポット、デジタルアトラクション、オリジナル限定グッズ販売が展開されました。

SNSでも写真や動画を添えた投稿が多く見られ、閉幕後には“たべっ子どうぶつLANDロス”なる言葉も生まれるなど、「たべっ子どうぶつ」はもはやお菓子の枠を超え、コンテンツとしての存在感をみせています。

・※1:3月18日〜5月14日まで東京ドームシティ Gallery AaMoで開催された「たべっ子どうぶつLAND」来場者数を累計

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4.「子どものすこやかな成長を願う」親の愛情とビスコの想いを表現したWeb CM「栄養は、愛だ。」

2022年11月、江崎グリコは、「ビスコ」の新Web CMとなるブランドムービー「栄養は、愛だ。」篇を公開。1933年に誕生し、世代を超えて親しまれているロングセラーブランドとして、「子どものすこやかな成長を願う」親の気持ちに寄り添い、その想いをともに叶える存在として「乳酸菌クリームサンド ビスコ」を表現しています。

今回公開されたムービーでは、育ち盛りの子どもを持つ家族の暮らしをドキュメンタリータッチに撮影。家族の日常の中にある食シーンにフォーカスしながら、「子どものすこやかな成長」を考えて、親が作る食事の栄養に込められた愛情たっぷりなことを描きます。そんな栄養を子どもがしっかり取れるように、いまも、これからも「子どものすこやかな成長」を親とともに応援する「乳酸菌クリームサンド ビスコ」というメッセージを発信しています。

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5. ECサイト利用を促進。ゲーミフィケーションを活用した「湖池屋FARM 大豊作!」について担当者に聞いた

ゲーミフィケーション事業を展開するセガ エックスディーと湖池屋は、シミュレーションゲーム「湖池屋FARM 大豊作!」を作成。近年価値が再認識されている「ゲーミフィケーション(※1)」と、湖池屋キャラクターを組み合わせることで、ECサイトの利用率向上やブランディングなど顧客体験の価値向上させることを目的としています。

このゲームは、「カラムーチョ」や「すっぱムーチョ」でお馴染みの『ヒーおばあちゃん』と『ヒーヒーおばあちゃん』など湖池屋製品のパッケージキャラクターたちが登場し、ミッションをクリアすることで農場を発展させる箱庭型のシミュレーションゲームです。また、ゲームにログイン等するともらえるクーポンは、湖池屋オンラインショップ上で使用することでおトクにお買い物ができます。

そんな話題のゲーミフィケーションを利用した経緯から、狙いであるECサイトの利用率向上やブランディングの効果まで、担当者にお話をうかがいました。

・※1:ゲームのメカニズムを非ゲームの分野に応用することで、ユーザーのモチベーションを高め、その行動に影響を及ぼすこと

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6.お菓子の消費行動で大切なのは「いつ」「誰が」「なんのために」

「9(ク)月6(ロ)日 ブラックサンダーの日」にちなんで、「頭がつかれたときに、いったんザクザクだ!」をテーマに、ブラックサンダーのキャンペーンが2023年9月開始されました。プロモーション動画3作品の配信、オフィスでサンダー応援プロジェクトの開始、ブラックサンダーの人気フレーバーを決める国民投票の結果発表、またオフィスでやってみたくなる簡単アレンジの募集を公式X(旧:Twitter)にて実施。

プロモーション動画では、上司から降りかかるオフィスあるあるに対して、若手社員の黒井がいったんブラックサンダーを食べてひと休み。圧倒的ザクザク感で頭がいったん整理されて、その後の作業に前向きに取りかかれるといった様子を描いています。公開された3本ともオフィスで働く人には共感ができる内容となっており、頭がつかれたときにブラックサンダーを食べてみようという気持ちにさせてくれます。

9月6日のブラックサンダーの日にあわせて、次々と実施されたキャンペーンの数々。どれも「96」にこだわり、またX(旧Twitter)を介したユーザーとのコミュニケーションを軸にしています。さらに、その消費の主戦場をオフィスにしており、そこには徹底したマーケティングと、「頭が疲れたときのリフレッシュに」という明快な理由が見えています。常識や定説を疑った先にこそ、リアルな消費パターンが見えてくるということと、そこへのアプローチとして痛快な施策事例となっています。

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7.気分転換にキットカットを! お菓子を食べたくなる瞬間を描いたCM

“Have a break, have a Kitkat”という印象的なキャッチコピーでおなじみのチョコレート菓子キットカットは、多くの人が一度は食べたことがあるウエハースとチョコレートの絶妙な味わいの訴求と、一息つきたい時に食べるお菓子であるというブランディングをグローバルマーケットで展開してきました。“いつ食べるべきなのか”をブランド側から提案してきたことで、ふとした瞬間に想起しやすいお菓子として定着していると言っても過言ではないでしょう。

そんなキットカットが“思わずうんざりしてしまうような瞬間”にも食べてほしいとアピールした2種類のCMを、2023年中東マーケットにおいて公開しました。

出かける直前に大量の親戚に見つかってしまったことで遅刻しそうになる女性と、散髪中に乱暴な扱いを受けて嫌気が差している男性が主人公のCMでは、思わず一息つきたくなってしまう瞬間を絶妙な説得力で表現しています。

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8.大人気お菓子とマンガのコラボレーションで、さらに深い体験価値の提供へ

バンダイの大人気のお菓子「キャラパキ 発掘恐竜チョコ」の発売5周年を記念して、Gakkenとのコラボ書籍『発掘恐竜 神とよばれた恐竜G-REXのなぞ』が発売されました。「化石の発掘」をテーマに、主人公の少年が冒険を繰り広げます。

「キャラパキ」は、パフ入りの板型チョコレートをパキパキ割って型を抜く、楽しい“遊び”要素が詰まった、オリジナル菓子シリーズで、累計の出荷個数は1億個を超えています。そのなかでも、ティラノサウルスやトリケラトプスなどの「化石」をデザインした「発掘恐竜チョコ」は、子どもたちにも大人気で、2023年5月には発売5周年を迎えました。何が出てくるかは袋を開けてからのお楽しみということもあって、ワクワクを感じられる商品です。

食べるだけではない体験価値を提供することで人気のお菓子「キャラパキ」。その記念コラボに、メインターゲットである小学生向けの読書が好きになる書籍企画というのが秀逸です。マンガ的なコマ割り多様のイラストストーリーは小学生にも読みやすく、また物語性を持たせることで、より世界観を深めて商品への愛着も強まります。

恐竜と化石の基礎知識を学べるコンテンツがもりだくさんで、親の視点からの購入動機もしっかりカバーしているのもポイントです。コラボ相手がGakkenということもある、本格的な書籍の内容となっていて企画の本気度を感じる事例となっています。

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9.アートを召し上がれ! 本物そっくりなトリックアートで造形美を描いたスイーツブランド

イスラエルのプレミアムスイーツブランドRoladinが、まるでアートのような自社のスイーツの魅力を表現するために、ボディペイントを施したアーティストたちがスイーツのポーズを取っている様子を映した動画を4種類公開しました。

“CHOCOLATE PARTY”という商品名のスイーツは、チョコレートのコーティングの上からスプリンクルがまぶされたようなビジュアルで、一見すると本物のように見間違えてしまいますが、カメラが寄るとボディペイントを施した役者がポーズを取っていることが明かされます。

動画のラストに映し出される“FOLLOW YOUR ART(アートの赴くままに)”というキャッチフレーズは、心の赴くままにスイーツを楽しんでほしいという思いと、もはやアートの域に達している自社のスイーツのビジュアルを最大限魅力的に描いていることをアピールしました。

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10.米菓ブランド「亀田の柿の種」8年振りのパッケージリニューアルで意識する新市場

新潟県新潟市に本社を置く亀田製菓株式会社は、発売から58年目の伝統を誇る米菓「亀田の柿の種」のパッケージを8年ぶりにリニューアル。2024年2月上旬より全国にて新パッケージでの販売を開始しました。

新パッケージでは、「亀田の柿の種」の独自性である「カリッと食感」を追求したパッケージリニューアルとなっています。これまでの“お父さんの定番菓子”というようなイメージから、“いつでも・どこでも・だれとでも楽しめるお菓子 ”として、あらゆるシーンでさまざまな方に手に取ってもらえることを目指したものです。

さらに、今回のデザインリニューアルにて、色覚の個人差を問わず多くの方により安心して楽しんでもらえるように、「180g亀田の柿の種6袋詰」には、パッケージデザインの配色にユニバーサルデザインを採用。NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構より、「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」の認証を取得しています。このCUDマークはNPO法人カラーユニバーサルデザイン機構により、認証された印刷物、製品などに表示できるマークです。

長年にわたって愛されるロングセラー商品となった「亀田の柿の種」のパッケージリニューアル。商品の最大の特徴をストレートに表現する一方で、海外のファンに向けた訴求も盛り込まれるなど、これからの市場を視野に入れた多角的なパッケージデザインへと進化を遂げました。

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さまざまな角度からデリシャスな魅力を届けるお菓子施策まとめ

。お菓子といっても、スイートな甘さのものから刺激的な辛さのものまで、バラエティ豊かなもの。海外に目を向ければ、日本でも流通しているものからご当地ならではの商品まで千差万別です。

そんなお菓子の広告、プロモーションもさまざまな角度から持ち味を生かした施策ばかりで、見ていて飽きません。今後も注目していきたい事例が集まりました。

・※1:令和5年 菓子データ・菓子の生産数量・生産金額等(推定)に係るコメント(全日本菓子協会)

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