「受けた暴力があなたのアイデンティティになってはいけない」米団体の衝撃的な啓発ポスター

Case: Until She Can

ドメスティック・バイオレンスの被害者たちを救済するアメリカのNGO・Sojourner Family Peace Centerが製作した啓発ポスターをご紹介。

身近な家族から暴力や暴言を受けた人々が、シルエットとなって登場。実際に受けた内容や、救済されたことで感じたことを、グラフィティのような書体で書き記したのです。

「私は逃げられなかった。『逃げたら、私と私たちの息子を殺す。』そう彼が言ったから。」

Until She Can

「彼は私に『自分は価値のない人間だ』と思い込ませていたのです。」

Until She Can

「彼は私を押し倒し、殴りつけ、首を絞め続けた。娘が泣き叫ぶその横で。」

Until She Can

「『赤ちゃんが出来れば変わる』彼の家族はそう言った。そうであってほしかった。でも妊娠中の6ヶ月、彼は私の首を押さえて何度も壁に叩きつけた。」

Until She Can

語る人々の顔は紫色に塗りつぶされ、その表情をうかがい知ることはできません。しかし、なぐり書きされた数々の「暴力の跡」から、ドメスティック・バイオレンスがその人自身を大きく変えてしまったこと、そしていまもタトゥーのようにその記憶にとらわれ続けていることが伝わってきます。暴力を受け続けると、それが自分のアイデンティティであるかのように刷り込まれてしまうのです。

ポスターには、「その後」を迎えた人も登場します。

「ずっと辛かった。でも、自分で背負い込む必要がないんだと知って、とても心が自由になった。」

Until She Can

相手からの呪縛から逃れ、やっと自分を取り戻すことができた。センターに相談し、ケアを受けることで、生き延びる道が開ける──。相談窓口の連絡先とともに、ポポスターはこうしたメッセージも伝えています。

ポスターの掲出場所は、バス停や高速道路といった、数々の「通り道」。危害を加える家族と行動しているとき、つかのまに解放されているとき、このポスターが届くべき人の目に留まるように──。そんな願いも伝わってきます。

家庭の壁に隠された「声なき声」に寄り添い、自分の人生を取り戻すための道標を示す。一度見たら忘れられない、強烈な啓発ポスターでした。

(via Ads of the World)

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