働く母親は疲弊している。本当の意味での家事分担を促すP&Gの啓発実験

Case: Mental Load

共働きの夫婦を対象にしたP&Gスペインの調査によると、女性は仕事に加え、家事・育児など“家庭の仕事”のほぼ全般を担っており、なんと7割以上が『Mental Overload(精神的に追い詰められている)』の状態にあるのだといいます。

この事実にスポットをあて、家庭における男女の役割分担について多くの人に考えてもらうため、同社はユニークな実験を実施しました。

実験には5組の夫婦(同棲カップル)に協力してもらい、インタビュー形式で行いますが、実は事前に参加者全員に1週間自分がした“家の仕事”をスマホに記録してもらうようお願いしてありました。

まずは最初の質問。「家事をパートナーとシェアしていますか?」という問いに対しては、多くのカップルが「している」と回答しています。

次にそれぞれスマホを取り出してパートナーと交換し、互いの1週間の行動について読み上げてもらいました。すると…

男性が“家のこと”として挙げたのは『参加するバスケットボールのチームの検索』『会計士に送るレシートを探す』など、実際は自分の趣味や仕事に関連する項目が多いことがわかりました。

それに対し女性は『洗剤を買う』『銀行に電話』『食料の買い出し』など、自分だけではなく家族のための事柄がほとんどを占めています。これだけでも負担の違いは一目瞭然ですが、女性をさらに追い詰めているのは、それらをどのように進めていくかを考えることなのだとか。

例えば“食事を作る”ということだけでも、それぞれ異なる夫や子供たちのスケジュールを全て把握し、帰宅時間や習い事に合わせて個々の食事のタイミングを考えます。そして子供の送迎の合間にスーパーへ買い出しに行って、限られた時間のなかで栄養バランスを考えたご飯を作る、という複雑なプロセスが絡んでいます。

家族がベストな状態でいられるようにと気を配りつつ、さらに仕事や自分自身のことをするとなると、頭は常にフル回転。追われるように家事をこなしながら、次は何をすべきかを考える…そんな毎日を送っていると、自分でも気づかないうちに精神的にまいってしまうというのです。

家事はちゃんと分担している、と思い込んでいた男性たちは、この事実を目の当たりにして「こんなに大変なことをしていたんだね」と驚きを隠せない様子。またこれらのことを当たり前のように行ってきた女性にとっても新鮮な気づきだったようで、精神的な負担の分担を考えるきっかけとなりました。

進んでいるようでまだまだ遠い、男女平等。しかしこの“気付き”が改善に向けての第一歩となっていくのでしょうね。

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