なぜ1枚の友禅が先だったのか 「飛天女」が逆にした日本酒づくりの順番

CORTESE株式会社と株式会社中沖酒造店は、共同開発した日本酒ブランド「飛天女」を、2026年9月25日(金)から27日(日)まで東京ビッグサイトで開催される「GOOD LIFE フェア 2026」に出展します。

ブランドの原点は、商品や酒蔵ではなく、一枚の友禅作品でした。専門性が入口の壁になりやすい日本酒に対し、作品の美しさを「飲んでみたい」という気持ちにつなげる設計です。

飛天女 Shining mist 330ml

日本酒売り場では、種類の多さや専門的な印象から、何を選べばよいのかわからないという声があります。「飛天女」は、日本酒初心者やライト層にも新しい出会いを届けるブランドとして展開され、20代後半から30代の女性をおもな対象者としています。

知識や用語を先に求めるのではなく、まず「きれい」「素敵」「飲んでみたい」と感じてもらう。日本酒を選ぶ際の入口を、スペック情報とは別の場所にも設けています。

起点となったのは、友禅作家・や万本遊幾(やまもと ゆうき)さんが制作した作品「飛天月 静寂」です。東日本大震災の犠牲者への祈りと鎮魂を込めて描かれた作品で、CORTESE代表の千葉隆広さんが約10年前に出会いました。

友禅作家・や万本遊幾さんの作品「飛天月 静寂」

千葉さんはそのとき、「この作品を日本酒のラベルにしたら、どのような日本酒が生まれるだろう」と考えたといいます。当時は具体的な商品計画があったわけではありませんが、そのイメージが酒蔵との出会いや市場での経験を重ねるなかで、少しずつ具体化していきました。

現在の商品は、「飛天女 Sweet moon」と「飛天女 Shining mist」の2種類です。「Sweet moon」は白桃を思わせる香りと豊かな甘みを持つデザート酒。「Shining mist」はマスカットを思わせる爽やかな香りが特徴の、低アルコールのスパークリングです。

果実を想起させる香りや甘み、発泡感など、味わいをイメージしやすい特徴を打ち出しています。精米歩合や酒米といった専門情報だけに頼らず、飲用シーンや味の印象から商品を選べるようにしています。

中沖酒造店で酒造りをする様子

ブランド開発では、CORTESEが市場や生活者の視点から商品コンセプトや味わい、ボトル、ラベルなどを企画し、山形県の中沖酒造店が醸造を担いました。中沖酒造店は、山形県産米のみを使い、全量純米酒として酒造りを行っています。

伝統や専門性のあるカテゴリーで新しい層に届けるとき、情報を足すだけでは選ぶときのハードルが下がりにくいことがあります。

「飛天女」は商品そのものを変えるのではなく、一枚の作品をブランドの原点に据え、視覚的な印象と味わいのわかりやすさを最初の手がかりにしたブランディング事例です。

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