減らすほど満ちる 土のサウナ「然」が不便さも価値に変える引き算

株式会社R.D.C.は2026年7月19日(日)、岐阜県郡上市大和町の母袋に、土のドームサウナ「然 -zen-」を開業しました。完全予約制・貸切の施設で、体験時間は3時間。料金は11,000円(税込)です。

都市部で高機能な大型サウナや個室サウナ、エンターテインメント性の高い温浴施設が増えるなか、同施設が目指すのは、過剰に満たすのではなく、余分なものを削ぎ落とすことです。

「そのとおり。そのまま。」という言葉を掲げ、自然のなかで自らを取り払い、「そのまま」へ近づく場所と位置づけています。

ドームサウナ「然」と利用者

サウナは、アースバッグ工法による土のドームでつくられています。土が熱をゆっくりと抱え、空間全体へ広げる構造に、フィンランド製ストーブのロウリュを組み合わせました。

水風呂には、山で磨かれた雪解け水を地下水としてかけ流しています。チラーは使わず、水温は年間16〜18℃に保たれるといいます。

体験設計には、4つの「Minus」を取り入れました。BGMを流さない「音」、照明を最小限にする「光」、時計を置かない「時間」、必要最低限の案内にとどめる「接客」。

設備だけでなく、施設内で受け取る情報やスタッフとの関わりも減らし、静けさを保つ構成です。

「然」のサウナ内部

ここで注目したいのは、「引き算」という考え方を、コピーだけでなく建築、水、照明、音、接客まで一貫させている点です。一見すると不便に思える、駅前や観光地の中心から離れた立地も、施設へ向かう時間そのものを日常から離れる体験の一部としています。

「然」は、高機能やサービスを足すのではなく、減らす要素を明確に定め、それぞれを空間と運営に落とし込みました。

本来なら不便と捉えられかねない立地や、サービスの少なさまで引き算という一貫した体験価値に変えています。

便利さを補うのではなく、不便さをコンセプトの一部として意味づけることで、施設全体で「そのままへ還る」という世界観を表現したブランディング事例です。

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