眠っていた織機から年商35億円へ ヒオリエ「ホテルスタイルタオル」の逆転劇

大阪・泉州のタオルメーカー丸中のブランド「ヒオリエ」を代表するライン「ホテルスタイル ビッグフェイスタオル」が、累計1,000万枚に到達しました。

丸中が2026年8月4日(火)に明らかにしたデータによると、2007年7月から2026年6月までの集計では、シリーズ全体で累計2,000万枚を超えています。

出発点は、2006年にさかのぼります。安価な海外製タオルの台頭で「あと5年ももたない」とまで言われた状況のなか、丸中は自社ECサイトでの直接販売へと舵を切りました。

その自社ECも、立ち上げ当初は思うような反応を得られなかったといいますが、受注の落ち込みで工場に眠っていた40cm幅の織機を動かすために作った細長いタオルが転機になります。同社は幾多の試練を経て、年商35億円企業へとV字回復を遂げたそうです。

泉州のタオル工場で織機を扱う作業

このタオルを家庭用としてECで売り出したところ、「洗濯物がかさばらない」「バスタオルより乾きやすい」といった購入者の声が寄せられました。

丸中は購入者の声を受け、この細長いタオルを「バスタオル代わりに使えるタオル」として再定義。用途を描き直したことで、商品は幅広い家庭に届くようになりました。

現在の商品は40×100cmで、日本タオル検査協会の測定では吸水速度1秒を記録。和泉山脈の天然水を使う後晒し製法で仕上げ、蛍光増白剤は使わず、全18色をそろえます。

さらに、約4,000万円を投じた特注の圧縮機で厚さ3cm以内に圧縮し、ポストへ投函可能なサイズにするなど、受け取る側や配達員の負担を抑える配送の工夫も欠かしません。

手作業で仕上げるヒオリエのタオル

泉州タオルは、織る・洗う・染める・縫うといった工程を地域の職人が分担し、1枚に約200人が関わるとされます。産地の会社数が最盛期の1/10以下まで減るなか、売れ続ける商品は、地域のものづくりを支える存在にもなるでしょう。

遊休設備や手元にある規格を、作り手の事情ではなく購入者の声を元に見直す。既存の資産を売り物へ変える順序を、40cm幅の織機という具体性で示したマーケティング事例です。

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