日本の「魚離れ」回復となるか?活発化する水産関連の注目PR施策10選まとめ

周囲を海に囲まれ恵まれた海洋環境を有するにも関わらず、日本では2001年をピークに魚介類の消費が減少し続けています(※1)。また、地球温暖化の進行もあって、水産資源を無駄にしないための工夫に満ちたさまざまな取り組みも増えています。

今回は日本人の「魚離れ」回復を目指して、限りある水産資源を利活用しようという、活発化する水産関連の注目PR施策をまとめてみました。

※1:令和3年度 水産の動向 第1章 我が国の水産物の需給・消費をめぐる動き 水産物消費の状況(水産庁)

1.MEGAドン・キホーテに魚屋さん!? 新たな業態で魚離れと鮮魚店の未来を探る

飲食事業と水産事業の両軸経営を展開する株式会社SANKO MARKETING FOODSが、新業態の鮮魚店「サカナタベタイ」を2023年4月28日(金)に MEGA ドン・キホーテ本八幡店内でオープンしました。

同店舗では、魚のおいしさ、楽しさ、良さを伝えるために『積極魚食』で飲食店の料理人が監修するサカナ惣菜と希少部位などを活用し、老若男女に広く支持される形を提案。下田港を拠点とする自社の漁船「辨天丸(べんてんまる)」で獲った魚が不定期ではありながら「サカナタベタイ」に並ぶほか、沼津港・下田港やその他の産地で仕入れる魚が自社便や提携便によって「サカナタベタイ」に配送されます。

また、自社の料理人が監修するサカナ惣菜と希少部位を活用した商品で魚食の楽しさを発信していくとのこと。今後の展開にますます期待が高まる新業態の鮮魚店です。

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2.「おさかな畑」で育ったハーブを収穫!?水耕栽培と養殖をかけ合わせた新たな取り組みに注目

2023年4月28日(金)から4月30日(日)の3日間、「SUSTAINA SWITCH in OMOHARA no MORI」が開催されました。このイベントは、明治神宮の森と表参道の並木を結ぶグリーンネットワークをつなぎ、人と街と自然をつなぐ活動に取り組む「おもはらの森」を舞台に、豊かな地球の未来を次世代につないでいくためのSDGsイベントです。

期間中は、水耕栽培と養殖を掛け合わせた持続可能な農業として注目される「アクアポニックス」の水耕回転タワーを「おもはらの森」内に設置し、そこで収穫したハーブを使用したドリンク443杯を来場者に無料提供。そのほか、廃材と割り箸を使った世界にひとつだけの木製弦楽器「割り箸ピアノ」によるコンサート、廃材を利用した雑貨やアクセサリーを販売するてづくり市「青空個展presents サステナブルマーケット」も行われました。

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3.持続可能な漁業を。地方から漁業界を改革していく「受注漁」を本格的に始動開始

岡山県玉野市に本社を置く、邦美丸(くにみまる)は、未来に水産資源を残し、漁業者の働き方改革と所得向上の為に「完全受注漁」を実施しています。受注漁とは、オンラインストアやインスタグラムを通じて事前に顧客から注文が入った必要な魚だけを獲る新たなシステムです。あまった魚は海にリリースし、水産資源を守ります。

また、受注漁開始前は1日の操業時間は約14時間だったものが、受注漁を開始してからは半分の約6時間に短縮するなど、ワークライフバランスはじめさまざまなメリットの確立に成功。

この取り組みは多くのメディアにも取り上げられ、認知と注目を集めています。今後、より多くの方に「受注漁」という新しい取り組みを知ってもらうことで、全国の漁業者の課題解決と消費者の新たな選択肢に繋がる取り組みがありました。

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4.大反響を呼んだ漁師図鑑がリニューアル!やっぱり「人」の魅力が最大のPR戦略です

2022年に秋田県にかほく市で活躍する漁師と、漁業の魅力を凝縮した図鑑として配布され、大反響を呼んだ「漁師図鑑」が新たに12名の漁師を追加してリニューアル発行しました。

この「漁師図鑑」では、にかほ市内にある象潟、小砂川、金浦、平沢の4つの漁港にて活躍する総勢27名の漁師を集め、漁業や海産物に関するちょっとした豆知識とともに、漁師という職業の魅力をあますところなく紹介。また、改訂版の配布開始にあわせてWebサイトもリニューアルしました。

あ漁業に携わる「人」の魅力を発信することで、他施策とは異なる角度から地方の漁業をプロモーションしている施策です。

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5.未利用資源・未利用魚問題はファッションの力で解決できるか!?

 

セレクトショップFREAK’S STORE(フリークスストア)を運営するデイトナ・インターナショナルは、「地域課題を魅力へ」と変換し発信する活動として「食べて・着て・知る、SDGsプロジェクト」をスタート。第一弾として、静岡県水産・海洋技術研究所と共同で、鰹の未利用資源を使用したパスタソース「焼津鰹のペペロンチーノ」の開発と限定アパレルグッズの販売を開始しました。

静岡県は全国5位の漁獲量を誇ります。とくに漁獲量1位の鰹(カツオ)に注目し、利用魚の廃棄部分(未利用資源)の活用に挑戦。静岡県焼津市で水揚げされた一本釣りの焼津鰹を使用し、鰹の旨味エキスを抽出・濃縮した赤いペペロンチーノソースが完成しました。

また、このパスタソース発売を記念して、販売店舗ではPOP UPの開催、限定グッズの展開、フリーペーパー「FREAK」を発刊します。静岡県の未利用資源・未利用魚をテーマに、漁獲量や漁場、不思議な豆知識などを掲載しています。

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6.おいしく食べることで脱炭素社会に貢献するレストランがオープン!

徳島県美波町のサテライトオフィス企業でWebサイトデザイン・企画・制作・運営を行うまめぞうデザインプロデュースする「THREE WAVE(スリーウェイブ)」が、京阪本線門真市駅高架下内にてオープンしました。

深刻化する地球温暖化を解決する脱炭素社会の実現という大きな課題に対し、サテライトオフィスとして徳島県内に幅広いネットワークを持つまめぞうデザインだからこそできるアプローチとして、山のジビエと海のジビエ専門店である同レストランをオープンしました。無理なく、自分たちが食べたいもの、欲しいものを手にすることで社会課題の解決につながるのではないかというところから、脱酸素社会実現を目指すお店をつくったといいます。

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7.海苔とともに歩んだ120年の想い、老舗問屋が放つブランドムービー「高喜の仕事」

創業明治三十四年の海苔問屋「高喜商店」は、海苔とともに歩んだ120年の想いとともに、海から始まる海苔の物語を伝えるブランドムービー「高喜の仕事」を公開しました。このブランドムービーは、企業向けSNSマーケティング支援を中心としたビジネス展開を行う「テテマーチ」が手がけたものです。

今回描かれているのは、海苔養殖発祥の地と言われる東京湾(神奈川)の海から始まる海苔の物語。まずは、漁師の手によって海ですくすく育った海苔が形成され市場に出品されるところから始まり、海苔問屋である高喜商店は、その海苔を買い付け、保管し、最高の状態で新鮮な焼海苔を販売していきます。そんな高喜商店の店頭では、海苔コンシェルジュが訪れるお客様にとっての最適な海苔を提案しています。

そうして手に取った人を通じて、その海苔はお店や家庭に笑顔を届ける海の贈り物として運ばれていきます。仕入から販売までのすべてを一貫して行い、海苔を楽しむその空間までを想う……。

「時代も人も海苔でつなぐ」海苔問屋 高喜商店からのメッセージが詰まったブランドムービーとなっています。

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8.未利用魚・天然魚のサブスク「Fishlle! (フィシュル)」が選ばれているワケ

ベンナーズが運営するお魚のサブスクサービス「Fishlle! (フィシュル)」は、消費者のフードロス削減やSDGsへの関心の高まりを背景に会員を獲得し続け、サービス開始2年半となる2023年8月度に定期会員数(アクティブユーザー)が1万人を突破したと発表しました。

フィシュルは、お魚のフードロスを減らすことにより“日本における水産業の発展”と“作り手、使い手、社会を豊かにすること”を目的に、2021年3月よりスタートしたお魚のサブスクリプションサービスです。

誰にでも食事に取り入れやすいお魚ミールパックを普及させることにより、衰退の一途をたどる日本の魚食文化の再建を目指しながら、味には関係のない理由で規格外とされる「未利用魚」を積極的に利用することで、魚のフードロス削減と漁業者の収入の底上げを図り、「SDGs12条」「SDGs14条」への貢献を目指しています。

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9.「ASC認証サステナブル・シーフード料理」で考える、持続可能な漁業・養殖の未来

水産資源や環境に配慮した持続可能な漁業、養殖の普及に努める非営利団体ASC(水産養殖管理協議会)ジャパンとMSC(海洋管理協議会)ジャパンは、今年で10回目を迎えるキャンペーン「サステナブル・シーフード・ウィーク 2023」を2023年10月2日から10月31日まで開催しました。

ASCジャパンのInstagram・X(旧Twitter)キャンペーンでは、ロバート・馬場裕之さんによる「サステナブル・シーフード料理」アウトドア篇の動画を配信。ASCは環境と地域社会や人に配慮した、責任ある養殖により生産された水産物に付けられるラベルのことで、じつは身近なスーパーや生協などでも取り扱われており、選んで消費することができるようになりつつあります。

今回は、このASCのラベルがついた水産物を使って、「サステナブルなキャンプごはん」のレシピとともに作っている工程を動画にしました。また、ASCのサステナブル・シーフードについて、分かりやすく解説されています。即興で食材とレシピを決めつつも、完成したおいしそうなロバート馬場さんの料理。この動画きっかけに、ASCラベルのついたサステナブル・シーフードをより身近に感じられる映像に仕上がっています。

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10.小学生たちが体験!学び、さばき、いただくことで海と環境を学ぶESG事例

魚をさばくことを通して食文化と海洋環境を学ぶ「日本さばける塾」が、2023年10月10日(火)に千葉県千葉市の店舗「すし銚子丸高洲店」で開催され、10組20名の親子が参加しました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環として実施されたものです。

今回の「日本さばける塾」では、東京湾の海苔とクロダイの食害についての話から始まりました。じつは千葉県が面する東京湾は、海苔の産地として高い評価を受けていますが、海水温の上昇によりクロダイが活発化し、養殖中の海苔を食べてしまう食害が発生しています。海の学び講師としてお話された、一般社団法人 海のごちそう推進機構 豊島翔さんは「海水温の上昇により、海苔の生育時期とクロダイの活発化する時期が被ってしまった。海は変わっていくもの。その変化に興味を持って、適応していこう。」と呼びかけました。

その後も、「日本さばける塾」は日本の全国各地で開催され、人気を博しています。

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活発化する水産関連の注目施策10選

たしかにスーパーで切り身の状態で買ってくる、半調理のものしか買わないなど、魚が日常の食卓にのぼりづらい状況があるのが現代。海に囲まれた日本において大事な栄養源だった水産資源を大事に守りながら、また多くの人に食べてもらえるようにしたい、ということであらゆる側面から取り組む施策を取り上げてみました。

健康のためには、魚や魚介類、海藻類も上手に食事に取り入れていきたい、そんな需要は潜在的にあるはず。日々忙しく時間に追われてしまいがちな現代人がいかに無理なく生活に取り入れられるか、積極的に取り入れたいと思えるようになれるか、さまざまなアプローチによる施策・取り組みの数々は、需要の掘り起こしを考える時のアイデアの一助になりそうです。

・※関連資料:日本の「魚離れ」回復を目指し、魚介類消費拡大に向けた取り組みを考える(一般社団法人 大日本水産会)

 

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