「エイズは死の病ではない」仏・公衆衛生局が啓発動画を公開

Santé Publique France(フランス公衆衛生局)が、HIVやエイズへの差別をなくし、また治療の進歩に対する認識を高めるため、3人のHIV感染者が昔の自分に向けて手紙を書く動画を、12月1日の世界エイズデーに合わせて公開しました。

「HIV」とは、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)の頭文字を取ったもので、「エイズ(AIDS)」とは、後天性免疫不全症候群 (Acquired Immunodeficiency Syndrome)の略称です。

動画に登場するのは、クリスティーヌさん、アンドレアさん、二コラさん。「もしHIV陽性だと知った日に戻れるなら、当時の自分に何と言いますか?」という問いに対し、各自が過去の自分に宛てて書いた手紙を読み上げました。

「HIV検査の結果が死刑宣告のように思えたよね、クリスティーヌ。夢も、人生も、全てが終わってしまったと絶望した」

「アンドレア、あなたは恐怖と怒りに飲み込まれ、死んでしまいたいと思っている」

「ニコラへ。君はいま世界中が敵であり、自分はけがれた存在だと感じているね」

エイズは不治の病というイメージから、目の前に死を突き付けられたと感じた時の思いを、当時の自分の写真に向かって語りかけます。しかし、治療薬の開発が進んだいま、エイズはもはや死の病ではありません。適切に薬を服用すればウイルスの増殖を抑え、大切な人と充実した日常を送ることができるのです。

そのことを実際に経験している3人は、昔の自分に伝えます。「ウイルスはあなたに闘うことを教えてくれた」「いま、僕は1人じゃない。友達、家族、パートナー、みんなが支えていてくれる」「人生にはいい時もあれば悪い時もある。検査の結果を知ることができたからこそ、治療が受けられる。だから顔をあげて、笑顔で生きて」

服薬によってHIVを血中で検知できないほどに抑え込めば、母子感染のない妊娠や出産なども可能になりました。しかし、今もなおHIVやエイズ患者に対する根強い差別や偏見が残っているのも事実で、フランス公衆衛生局は、こうした風潮を変えるため、今後も啓発活動を続けていくとのことです。

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