オフラインでしか見れないHP!? ロシア全ネットユーザーの3人に1人にリーチしたWWFのデジタル施策

Case: Detox Hour

世界自然保護基金(WWF)が実施する『EARTH HOUR(アースアワー)』は、世界中の人びとが同じ日・同じ時刻に消灯することで地球温暖化防止と環境保全の意志を示すソーシャルグッドプロジェクト。日本でも東京タワーや原爆ドームなどの各地を代表するモニュメントが1時間にわたって消灯され、地球の環境問題について考えるイベントです。

昨年は188の国と地域が参加して行われたこのEARTH HOURですが、調査によると、ロシアは他の国々に比べて参加者が少ないのだそう。それは今の時代、特に若い世代にとっては電気よりインターネットのほうがずっと大切で、消灯すること自体にそれほどのインパクトがないからだといいます。

そこでWWFロシアは、人々にネットから少しの間離れて自然環境について考えてもらうための特設サイト『Detox Hour』を公開しました。これは電気を消す代わりに1時間インターネットを切断してもらう取り組みなのですが、ユニークなのはこのページはオフラインの状態でのみ見ることができるという点。

このサイトには特殊なスクリプトが組み込まれており、インターネットがつながっていない状態になるとコンテンツが表示される仕組みとなっています。(Google chromeを利用していてオフラインになったときに『インターネットに接続されていません』という画面が出るのと同じ原理です)

オフラインにして表示されたページには、エコバッグの利用やプラスチックごみのリサイクルなど、誰でも簡単にできる環境保全活動が紹介されています。

この取り組みはロシアの全ネットユーザーのおよそ1/3にあたる2,740万人にリーチし、サイトへのトラフィックは5,000%も増加。制作コストをかけずに大きな成果を上げることに成功しました。

EARTH HOURのような環境保護のための意義ある取り組みといえど、やはり参加者の興味を引くことができなければ実現には至りません。電気の代わりにインターネットをオフにするデジタルデトックスを通じてイベントの趣旨に賛同してもらおうという、時代に即したアイディアが素晴らしいキャンペーンでした。

Detox Hour by WWF from Petr F on Vimeo.

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