マンハッタンに格安物件あり!ラテンアメリカ諸国の窮状を訴求する“スラム街風ワンルーム住宅”

Case: Pop-Up Slum

ラテンアメリカ及びカリブ諸島の貧困問題に取り組む非営利団体のTechoが、スラム街の現状を市民に周知し、窮状を強いられている人々に対する支援を呼びかけるために、ニューヨークのマンハッタンに“スラム街風のワンルーム・マンション”を制作するというアンビエント施策を実施しました。

豊かな暮らしを送る人々は、より快適な暮らしを求めて新しい部屋探しに余念がありませんよね。ニューヨークでは毎日何千人もの人々が新たな住宅探しをしているとか。

そこで、Techoは、ニューヨークのマンハッタンにあるとあるマンションの一室をスラム街の住宅風に改造し、当たり前のように快適な住宅を探し求める人々に、スラム街の暮らしを知ってもらい、少しでも彼らの生活を向上させるために支援を募る企画を実施しました。

Techoがスラム街風に改造して制作したのが、こちらのお部屋。

私たちが日々見慣れている住宅との違いは一目瞭然です。

これを、『ユニオンスクエア中心部にある小型のワンルーンマンション・賃料1,500ドル』と何気なく住宅情報サイトに掲載しました。

部屋を案内するのは、“不動産仲介業者”を演じるこちらの女性です。住宅情報に興味を持った人が、次から次へと内覧に訪れます。

どの人も、一歩部屋に入ると絶句し、表情が固まります。

「こざっぱりしていてキレイでしょ。質素な作りが売りなんです。」

「このあたりはマルチパーパススペースになっています。ダイニングルーム兼ベッドルーム兼リビングルームとして使用でき、すぐ隣にキッチンとトイレがあるのでとても使いやすいですよ。」

などと笑顔で紹介しますが、客はドン引き…

「ごめんなさい。」と一刻も早くその場を立ち去ろうとする人もいれば、「違法住宅ではないのか。」、「トッ、トイレがオープンすぎる。」と一言感想を述べる人もいます。

「いかがですか?気に入って頂けましたか?」との問いに対しては、皆速攻で“No!”と拒否反応。誰もこの住環境を好みませんでした。

退去を急ぐ客に対して、ここで種明かし。この住宅は賃貸用住宅ではなく、ラテンアメリカのスラム街を模倣して制作したもので、スラム街の現状理解とスラム街に暮らす人々への支援を募るためのものであったと明らかにされました。

ラテンアメリカには、実にこのようなスラム街に住む人が8億6300万人もいると言います。Techoは、支援活動の一環として、このような住宅を、より快適なものに再建築する取り組みを実施しています。この部屋がスラムの実態だと知った人々は、皆窮状に同情を示し、中には声を詰まらせる人もいました。

住宅に関心があり、よりよい住居を求めにやって来た人に、スラム街風の部屋を見せることで、ラテンアメリカの現状を訴求し、その支援活動に対する寄付を求めるアンビエント施策でした。

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