「食べればわかる」を仕組みに 田中農場が挑む最高級米のブランド設計
鳥取県八頭町で米づくりを行う有限会社田中農場は、最高級シリーズ「天空源流こしひかり」を実際に味わえる飲食店を各地に広げる取り組みを開始します。
「天空源流こしひかり」は、鳥取県八頭町の標高約600mに位置する姫路高原で育てられた、田中農場の最高級シリーズ。価格は5kg 7,776円(税込)で、2026年8月10日(月)~16日(日)週の店頭精米平均価格5kgあたり3,191円と比べると、およそ2.4倍です。
この価格は、栽培にかかる手間と費用を積み上げた結果だといいます。しかし、そうした生産背景を説明するだけで価値に納得してもらえるとは限りません。そこで田中農場は、実際に食べて価値を確かめてもらう場として、飲食店に着目しました。

飲食店に着目した理由には、米を食べる場所の変化もあります。2025年度のひとり1ヵ月あたりの米消費量は4,435gと7年ぶりの低水準となりました。一方、2026年3月時点では中食・外食で消費する米の割合が35.5%となり、2016年度と比べて4.4ポイント増えています。家庭で新しい米と出会う機会が減るなか、飲食店を接点にしようという試みです。
第1弾として2026年11月11日(水)には、合同会社FOOD GROOVE JAPANの企画により、東京・日本橋で勉強会を開催。田中農場の田中里志代表と、小池精米店の三代目店主で五ツ星お米マイスターの小池理雄氏が登壇し、FOOD GROOVE JAPAN代表の鈴木基次氏がファシリテーターを務めます。
天空源流こしひかりを含む田中農場の米を食べ比べながら、「お米の価値をどう伝えるか」を考えるイベントです。米を仕入れてもらうだけでなく、提供する側にも産地や商品の背景を知ってもらい、価値の伝え方をともに考える場を設けています。
さらに、11月16日(月)から12月4日(金)までは「米と魚 さかなさま 日本橋茅場町店」で3週間のランチフェアを実施。第1週に天空源流こしひかり、第2週と第3週には田中農場の別の品種を、白いご飯として提供します。最高級米を特別な試食会だけでなく、飲食店のいつものランチに取り入れ、実際に味わえる機会をつくっているのが特徴です。

取り組みは、食べてもらうだけでは終わりません。田中農場では、利用客から寄せられた感想やアンケートを記録し、実施店舗や連携する飲食店へ共有する仕組みも用意しています。生産者側の説明に食べた人の声を積み重ね、公式サイト等で連携店舗の参考になる形で共有するほか、広報への活用も想定しています。
高価格帯の地域産品では、生産方法やつくり手の思いを発信しても、食べる前にその価値を実感してもらうことは簡単ではないでしょう。田中農場は一度きりの試食で終わらせず、飲食店での提供と、そこで生まれた食べ手の声を次の伝達につなげています。
商品の背景を説明するだけに頼らず、提供する人と食べる人を巻き込んで価値を伝えるマーケティング手法として注目したい事例です。
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