何人たりとも見捨てられてはいけない。ルーマニアの緩和医療NGOが制作したICU再現CG

Case: See Beyond the ICU

終末期のがん患者に向けた緩和ケア治療を提供するルーマニアのNGO、Hospice Casa Speranteiが制作した啓蒙コンテンツをご紹介。

新型コロナウイルス(COVID-19)治療用ベッド確保のために病院を出ることを余儀なくされた患者たちへの支援を呼びかけるため、彼らが日常を過ごしていた集中治療室の風景を3DCGで再現し、公開したのです。

「2020年3月23日、ルーマニア国内はロックダウン(都市封鎖)下に置かれました。」

ルーマニアでは新型コロナウイルス(COVID-19)治療のため、国内の病院の多くがICU(集中治療室)のベッドを開放し、患者を受け入れました。しかしその影で、犠牲を払うこととなった人々がいたのです。

「本来ベッドを利用するはずであった緩和ケア対象患者たちは、病院から出なければならなくなりました。」

「一部の人々を除いて多くのがん患者が抗癌剤治療を待機せざるを得なくなりました。」

こうした現状を伝え、コロナウイルスのために不安定な状況を強いられている末期患者たちへの支援を呼びかけるため、普段彼らが過ごしていた集中治療室の模様をHospice Casa Speranteiは伝えることにしました。

しかし、集中治療室はきわめて安全な状況に保つ必要があり、撮影カメラを入れることもままなりません。そこで考え出されたのが、治療室の内部を3DCGで再現するという方法でした。

リアルに再現された集中治療室は360度のVRコンテンツとなっており、その中を自由に歩き回ることが出来ます。この中にいる患者たちの姿も、そこには描かれています。

「誰一人のがん患者とも、見捨てられてはいけない。」

「がんであることがその人にとっての重責になってはいけない。」

「がんであっても、生きる望みは誰にも邪魔されない。」

これらのVRコンテンツは、同NGOのソーシャルメディアを通じてひろく発信されました。

共感した人々の支援によってHospice Casa Speranteiでは、3,958人の患者をケアし、5,049件の診察をリモートで実施。さらに1,059回にのぼる自宅訪問を行い、690の心理カウンセリングセッションを提供することができたのです。

コロナウイルスそのものによって甚大な影響を受けた人々の数は計り知れません。なかでも、コロナによって逼迫した医療環境の影響を受けることとなった人々もまた、決して見捨てられてはならない存在なのです。

コロナ禍において、すべての人々が等しく人間らしい生活が送れることの大切さを呼びかける、重く強いメッセージのこもったPRでした。

(via Ads of the World)

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