「中世のダメ人間も、いまや英雄。」“元ネタ”を知ると面白い、ロシア家具ブランドのCM

Case: Heroes stay home

ロシアの家具ブランド・Sherlockが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を受けて制作したテレビCMをご紹介。

内容は「コロナ感染拡大防止のためステイホームを呼びかける」というシンプルなものなのですが、その表現方法がなんとも独特。
“中世のひきこもり”を描いたロシア文学の名作、イワン・ゴンチャロフ「オブローモフの生涯」を題材に、現代の「ステイホームな日常」を描いてみせたのです。

「1850年、オブローモフの自宅。」

ソファーベッドに横たわる主人公・オブローモフを思わせる男性の姿。

「歴史は変わった。動かないものがヒーローと呼ばれる時代が来たのだ。」

「だからいまこそ、胸を張ってステイホームしよう。」

「ステイホームにぴったりなやわらかソファ&ベッド、Sherlockをどうぞ。」

「動かないでくれて、本当にありがとう。」

「中世のダメ人間も、いまや英雄。」 このCMの“元ネタ” 「オブローモフの生涯」とは

「オブローモフの生涯」は中世ロシアを舞台にした小説です。

主人公の貴族・オブローモフは莫大な富を得ながらもそれを使うことなく、ただ自宅のソファーに寝そべり続けて一生を終えます。
そのあまりの怠惰さから、「オブローモフ」という名前そのものがロシアでは「怠け者」「でくのぼう」の意味を持つほど。

激動の時代において文字通り一歩も家から出ることのなかったオブローモフは多くの人にとって「ありえない」存在でしたが、いまやコロナによって価値観は大きくひっくり返り、「自宅から出ない」人は「感染リスクから人々を守るヒーロー」となったのです。
オブローモフが現代に生きていれば、人々の評価は180度違っていたかも知れません。

意味がわかると思わずニヤリ。見る人に一定のリテラシーが求められる、なかなかに高度なCMでした。

(via Ads of the World)

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