移民労働者が消えた世界をAIで描くオーストラリアのPRキャンペーン
日本人にも人気のワーキングホリデー先であるオーストラリア。現地のカフェやレストラン、ホテルなどでは、海外から訪れた人々も働き手として活躍しています。
そんなオーストラリアで、移民労働者が突然いなくなったらどうなるのか。この疑問をユーモラスな映像にしたのが、オーストラリアのホテル・飲食業界団体Hospitality NTなどが展開したキャンペーンです。AIを活用し、移民労働者のいない世界を描いています。
映像は、街中に設置された巨大な赤いボタンの前に、1人の男性が立つ場面から始まります。そこに書かれているのは「移民労働者のいないオーストラリアを実現するには、ボタンを押してください」というメッセージ。男性が迷わずボタンを押すと、街の様子が一変します。
カフェでは店員が消え、レストランでは客が自分で料理を作ることに。ホテルでは宿泊客が自ら部屋を掃除し、高齢者施設では介護スタッフがいなくなってしまいます。さらに、スーパーではリンゴが1個47豪ドルという驚くような価格で販売されています。
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次々と繰り広げられる奇妙な光景は、思わず笑ってしまうようなものばかり。しかし、そこには移民労働者がいなくなれば、当たり前の日常が成り立たなくなるかもしれないという深刻な問題が隠されています。このキャンペーンが制作されたきっかけは、オーストラリアで議論されているワーキングホリデービザの制度変更です。
同国では、移民の増加に伴う住宅不足や人口増加への懸念がある一方、地方のホテルや飲食店、観光施設では人手不足が課題となっています。業界団体Hospitality NTは、ワーキングホリデービザの2年目・3年目の滞在延長申請に抽選制度が導入されれば、地方や遠隔地を中心に約4万人の労働力が失われるおそれがあると警鐘を鳴らしています。
今回のキャンペーンで興味深いのは、移民政策という複雑な問題を、難しい説明や数字ではなく、身近な日常の変化を通じて伝えている点です。AIを活用することで、現実には起きていない「移民労働者のいない社会」を映像化し、その影響を直感的に想像できるようにしています。
移民の受け入れをめぐっては、さまざまな立場からの議論があります。そんななか、普段は意識しにくい移民労働者の役割を、あえて「いなくなった世界」を描くことで浮き彫りにした今回のキャンペーン。ユーモラスなアイデアを入口に、社会を支える人々の存在について考えるきっかけを生み出しています。
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