国内外の注目OOH施策を総まとめ|2024年の30事例一挙紹介
街頭ビジョン、ポスター、看板、デジタルスクリーンなど、さまざまな媒体で展開されるOOH広告。
今回は、2024年の30事例を総まとめ、一挙にお届けします。
1. 黄金のレフ板をOOHに変えたニコンのブランディング施策
SNS時代において、写真は最も重要なコミュニケーション手段の1つと言えるでしょう。旅行中にSNSに写真をアップロードする人の割合は60%とされており、ミレニアル世代に絞るとこの数字は97%にまで跳ね上がります。そんな写真が主流の時代を牽引する大手メーカー・ニコンは、ドイツ・ハンブルグで開催された大型イベントPhotopiaの開催に合わせて“誰もが最高な環境で写真を撮影できるようになる”機能性抜群のOOHを公開しました。
施策は、Photopiaの会場のすぐ外の広告スペースをすべて金色のレフ板に差し替えるというもの。元々写真やカメラに高い興味関心を抱く人々が訪れるイベントだからこそ、多くの来場客がレフ板を活用した最高の光の中で自由に撮影できるような環境を作り上げたのです。レフ板の角度を調整することもでき、日の出から日の入りまで多くの来場客で賑わうイベント会場そのものを簡易的に撮影スタジオに変身させました。
レフ板の下部にはニコンのロゴや施策の詳細を伝えるためのQRコードが配置されており、来場客が撮影した写真をSNSにアップロードする際に自社の社名がしっかりと露出するような工夫も施されています。イベントが終了した後にはハンブルグ市内の広告スペースにも同様のレフ板を配置し、写真家以外の一般市民にも撮影することの楽しみをアピールした大規模なブランディング施策でした。
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2. ヒガシマルの“あの歌”、脳内再生が止まらない「歌えるエスカレーター」OOH
兵庫県たつの市に本社を置くヒガシマル醬油株式会社は、 2023年12月25日(月)から31日(日)の1週間限定で広告を掲出しました。
関西エリアでは多くの人が知るヒガシマル醬油の「うどんスープ」CMソングの広告を掲出したのは、日本一深い地下鉄として知られる都営大江戸線六本木駅のホームから改札に至るエスカレーターと階段。
寒い年末に、身体も心も温まる「うどんスープ」のことを思い出してもらおうということで、今回の企画を実施。CMソングを知っている人はもちろんのこと、知らなかった人にもこれを機会にぜひ歌って楽しんでもらいたいという思いが込められています。
長いエスカレーターを進むごとに歌詞が進み、この歌を知っている人ならば、つい口ずさみたくなる仕掛けとなっています。
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3. 深夜も営業しています! 帰宅した従業員の様子で伝えるコスタリカKFCのOOH
国や地域によって大きく異なる飲食店の営業時間。東京都内に住んでいる人であれば深夜営業の存在に慣れてしまっている人も多いかと思いますが、南米・コスタリカでは大きく事情が異なるようです。
夜間の犯罪率が高いことも影響しているのか、多くの個人経営の店舗は21時前後に閉店してしまい、マクドナルドでさえもほとんどの店舗が21時に営業を終了してしまいます(一部例外はあります)。そんな中、23時以降も営業している店舗を複数持っているのが日本でもおなじみのKFC。深夜の突然の食欲に対応できるブランドとして、競合他社より遅くまで営業していることをアピールしたOOHが公開されました。
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4. 未来への手紙を書こう! アムネスティの啓蒙OOHキャンペーン
毎年12月10日の世界人権デーの前後に開催される“ライティングマラソン”は、人権団体のアムネスティ・インターナショナルが主催する参加型の啓蒙イベントです。
公式サイトでは「手紙やハガキだけでなく、Eメール、ファックス、フォトメッセージなど、さまざまな形で状況の改善を政府に訴え、また、人権侵害の被害者には一緒に闘っていることを伝えるメッセージを、書いて、書いて、書きまく(る)」と掲げられており、毎年400万人近くがそれぞれの想いを筆に乗せることで迫害に苦しむ人々の状況の改善を訴えているようです。2023年の開催を告知するために公開された複数種類のOOHでは、エモーショナルなメッセージで手紙が持つ希望の力を表現しました。
“LETTERS ARE BEACONS OF HOPE(手紙は希望の道標となる)”というキャッチコピーを中心に企画されたビジュアルは、劣悪な環境の刑務所で服役中の男性や、貧困に苦しむ少女、職場で暴力を受ける女性などさまざまな登場人物が迫害されている様子が描かれています。彼らが手にしている手紙からは眩しい光が差しており、その先には希望に満ちあふれた景色が広がっていることがわかります。
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5. 最高のLEGOには最高のジオラマを! こだわり抜いた細部が光るOOH
子ども向けの簡単なものからコアな大人向けの超精密なものまで、さまざまな商品を展開するブロック玩具ブランドのLEGOは、高級自動車メーカー・プジョーとのコラボ商品を発表。スウェーデンで高い人気を誇る写真家兼ジオラマアーティストのMartin Palmを起用し、プジョーの最新技術が詰め込まれたハイパーカー・9X8の魅力をLEGOで再現した3種類のビジュアル広告を公開しました。
ブロック玩具としての奥深さを最もダイナミックに表現する手法として選ばれたジオラマはすべて冬の設定で、雪が降り頻る中臨場感抜群に疾走する9X8の様子が表現されています。宙を舞う雪の様子、夜の街を照らす明かりの様子、そしてその中を走り抜ける9X8の勇姿……それらすべてをある種の限られた世界観で描くことで現実世界に匹敵するかのようなインパクトをもたらしています。
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6. 自転車に乗る楽しみをすべての子どもに! 米NPOの啓蒙OOH
米マサチューセッツ州に拠点を構えるNPO・Cycle Kidsは、“自転車に乗るという行為は子どもたちの健全な成長のために欠かせない行為である”という思想の下、すべての子どもに自転車を配るために活動している団体です。
そんなCycle Kidsは自転車の販売だけでなく、さまざまな企業に寄付を募ることで一つでも多くの家庭に自転車が行き届くような仕組み作りをしています。その活動の一環として公開されたOOHでは、自転車に乗ることがいかに人格形成に重要であるかを描くことで一般企業の賛同を呼びかけました。
「自転車に乗る喜びを子どもたちに寄付しよう」という共通のメッセージが書かれた3種類のビジュアルは、自転車の部品に「金銭的な理由で風が髪をなびかせる気持ちよさを知ることができない子どもたちがいます」や「子どもならではの問題を“乗り過ごす”ための自転車を与えましょう」という自転車ならではのメッセージを訴求しています。
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7. 駅連絡通路に⼤型トリックアート掲出!? 左右視点で違う絵柄が楽しめる特殊印刷技術OOH
株式会社 ⼤阪メトロ アドエラは、2024年1⽉27⽇(⼟)よりOsaka Metro本町駅の中央線と四つ橋線の連絡通路において、左右視点で違う絵柄が楽しめる⼤型メッセ―ジボード(横10m×縦1.7m)の掲示を開始しました。
日々多くの通⾏がなされる地下鉄の連絡通路で、通⾏中に⼤型ポスターを楽しんでもらえるような掲示素材・コンテンツを考える中で企画された今回の掲示は、新しい技術を使って地下通路を魅⼒ある場所とするための実証実験となっています。
この掲示物は “ベローズプリント”という特殊な印刷技術を⽤いたエンターテインメント要素を持つ素材が使用されたもの。株式会社SO-KENが左右からの見る方向で違う画像が⾒える特許印刷技術を開発していたことと株式会社GRANDPOOLがトリックアートや3D制作が得意なことから企画されました。地下鉄の連絡通路を通⾏される人々に⼩さな驚きや不思議な感覚を持って⾒てもらえるようにと協働して制作されています。
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8. ポスターが全く違う内容に!? 特殊インクを活用した意外性抜群のOOH
警察官がさまざまな難解事件を解決することで人気を博しているクライムサスペンスドラマ「TRUE DETECTIVE」は、2024年1月にアメリカで放映されるとともに多くの注目を集めました。そのシーズン4の第1話の公開と同時に掲出されたOOHはドラマの脚本に沿ったある特殊な“仕掛け”が施されており、ドラマ本編同様多くの通行人の目を惹くことに成功しています。
一見すると何の変哲もない広告に見えますが、実はこのOOHに使用されている特殊インクの効果によって日が沈むと科学者のシルエットが徐々に消えていくようになっているのです。まるで本編のストーリーに則ったようなクリエイティブにすることで、TRUE DETECTIVEのファンはもちろんのこと通りすがりの人であっても時間差でその仕掛けに気付くような内容に仕上がっています。
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9. 心もフルチャージ? 日常に溶け込むHeartBudsの鏡越しに可愛い写真が撮れるOOH
ソフトバンク株式会社とSB C&S株式会社は、「SoftBank SELECTION(ソフトバンクセレクション)」ブランドから、完全ワイヤレスイヤホンで好評の「HeartBuds(ハートバッズ)」の新シリーズとしてハート型の充電器「HeartBuds(Charger)」の発売を決定しました。
今回の「HeartBuds(Charger)」の発売に合わせて、「わたしの心を満たすもの」をキーコンセプトに、ブランドムービーも公開されました。そして、自宅、カフェ、職場などさまざまな生活シーンで使用できる特徴を体感してもらうための、さまざまなOOH広告も展開。渋谷エリアに掲出される全長22mのOOH広告は、各色のキービジュアルの横にはハート型の鏡があり、鏡に映るあなたの日常に合う商品であることを伝えているとともに、鏡越しに可愛い写真が撮れるようなデザインになっています。
都営三田線では16種類のドアステッカーを展開。窓に映るあなたに対して前向きな言葉を投げかけるように、透明ステッカーを用いて掲出されるほか、梅田駅ではデジタルサイネージも展開されました。
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10. 一緒に冒険ができる耐久性を 中東のApple WatchのOOH
米アップルが“屈強で万能な腕時計”として開発したApple Watch Ultraは、チタニウムのボディによる高い耐久性が魅力のスマートウォッチです。そんなApple Watch Ultraをアピールするため、従来のスマートウォッチの広告であまり使われることのなかった“冒険”というキーワードを中心に企画されたプリント広告が中東のサウジアラビアで公開されました。
“UNLOCK NEW ADVENTURES(新しい冒険をアンロックしよう)”というキャッチコピーが書かれた複数のビジュアルは、Apple Watch Ultraの盤面上で大海原を航海している海賊船や、砂漠で巨大なサソリに追われている自動車、中世のお城を襲うドラゴンの様子が描かれています。日常生活では想像もつかないような冒険であったとしても、Apple Watch Ultraの耐久性能があれば恐れずに挑むことができる……そんなメッセージを突き抜けるほどファンタジーな世界観の中で表現しました。
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11. スマホで触れて音楽が聴ける「 #ニュー懐メロ 」プロジェクトの新しい体験型OOH
企業向けSNSマーケティング支援を中心としたビジネス展開をするテテマーチ株式会社と、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルは、これまでの洋楽ポップスにおける懐メロの概念をアップデートする「#ニュー懐メロ」プロジェクトを発足させました。21世紀最大のポップ・グループと称されるワン・ダイレクションを筆頭に、Z世代が懐かしいと感じる2010年代前半の楽曲群を「ニュー懐メロ」と称し、今後さまざまな形でのコンテンツ発信や企画展開を予定しています。
そして、「#ニュー懐メロ」プロジェクトの第一弾プロモーションとして最新の体験型OOH広告を企画。2024年2月19日(月)から2月25日(日)までの期間に、東急田園都市線渋谷駅の道玄坂ハッピーボードBへ掲出されました。このプロジェクトは、来年度以降も長期的な展開をしていくとしています。
Z世代に実施したインサイト調査では、「学生時代にCDを手に取った」「苦労して音楽プレイヤーに移行した」という多面的なエピソードが多数集まったといいます。これらの“音楽に物理的に触れる体験”をリバイバルするために、Z世代に人気のミュージックキーホルダー「The Music」とタイアップ。今回、“スマートフォンでOOHに触れると音楽が聴ける”という新しい広告体験を演出しました。
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12. 0カロリーのドーナツ!?健康と睡眠をホワイトデーに贈ろう、ドーナツ枕のOOH
ヘルスケア商品を企画開発する株式会社アメイズプラスは、今治タオルを使用したドーナツ型の枕「今治タオルのドーナツ枕」の野外広告を、横浜市営地下鉄新横浜駅中央改札前に3月11日(月)から3月17日(金)までの1週間掲出しました。
今回の広告では、「0カロリーのドーナツ、あります。」というコピーを掲げ、大切な人に「健康」と「睡眠」を贈るホワイトデーギフトとして提案しています。
今回掲出された広告は、横浜市営地下鉄新横浜駅中央改札前のデジタルサイネージ広告で展開。「0カロリーのドーナツ、あります。」というコピーと、ドーナツ型をした枕の写真で、目を引くデザインとなっています。
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13. マクドナルドの新店舗オープンを“紙吹雪”で盛大に祝ったOOH
ファストフードチェーン大手のマクドナルドは、業態こそ飲食業なもののそのあまりにも巨大なビジネススケールから、新商品や期間限定のキャンペーン、果ては新規開店に伴うプロモーションまで幅広い領域で宣伝活動をすることで知られています。
日本ではあまり目にする機会が少ない新規開店に伴うプロモーションも欧米諸国では頻繁に行われており、カナダではおもに新店舗の近くにあるOOHを活用することで近隣住民へ効果的に“マクドナルドが来る”というメッセージを訴求しているようです。お祝い事のモチーフであるとも言える紙吹雪をデザインの中心に置いた複数種類のプリント広告は、キャッチコピーがいらないくらいインパクトを残しています。
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14. 旅は人生を変える エモーショナルなメッセージでユーザーに寄り添った銀行のOOH
金融機関や通信キャリアなどインフラサービスの多くは、自社商品やサービスの直接的なプロモーションだけでなく、さまざまな境遇の人を応援する企業であるというブランディングを通じてユーザーの認知度を獲得しようとする傾向があります。
日本国内においてもKDDIやソフトバンクが若年層向けのキャンペーンを頻繁に行ったり、みずほ銀行が人気アーティストとのコラボを通じて新生活を応援したりしています。そんな中、オランダに本社を構える大手銀行INGは、旅行客に向けて自社の存在感を情緒的にアピールした大型のOOHを公開しました。
“From – To(〇〇から〇〇へ)”という余白のあるタイトルがつけられた施策は、さまざまな境遇の人々が旅行を通じてどう変わっていくかをエモーショナルに描いています。その変化は「パートナーから親へ」や「“会いたい”から“会えた”へ」といった物理的なものだけでなく「“親から逃げたい”から“親に会いたい”へ」や「“管理職”から“なんでも言うことを聞くパパ”へ」など、精神的な変化も含まれています。
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15. すべての笑顔には物語がある WebプリントサービスのOOH
不可逆な時間の一瞬を静止画として切り取る“写真”。その価値は実際に写している被写体の様子だけでなく、その文脈や背景、撮影するまでの経緯などすべてを尊い瞬間として切り取って永遠に保存しているとも言えます。そんな写真の情緒的価値を伝えるためにフランスのWebプリントサービスCheerzが公開したのは、被写体が浮かべる笑顔の文脈をキャッチコピーとして添えたエモーショナルなプリント広告でした。
“Every smile has a story(すべての笑顔には物語がある)”という共通キャッチコピーが書かれたビジュアルの数々で紹介されているのは、笑顔を浮かべる主人公たち。単純な笑顔に見えますが、その笑顔を見せるまでの間に起きた人生のイベントとセットで表現することでその意味合いに深みを持たせています。LGBTQ+のレインボーフラッグを掲げながらキスをするカップルの横には「ポール、マーク、ルーカス、アンナ」と書かれており、男性と交際をしてきた結果今の女性パートナーとの幸せがあることを表現。
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16. とんでもなく長いURLが記載されたOOHの意図とは?
カナダに本社を構える金融会社のConexusは、クレジットカードや住宅ローンなどの銀行サービスに加え、オンラインで気軽に長期投資ができるサービスを提供しています。短期的な取引で利益を上げるデイトレードやスイングトレードではなく、投資信託を中心に積立投資をすることで比較的リスクを抑えつつリターンを狙える長期投資の良さを伝えるため“長い期間で資産を築き上げる”ことを文字どおり“長いURL”というクリエイティブフックで表現したOOHが公開されています。
「www.窓に貼られたとても長い広告コピーを読むためにわざわざ立ち止まる人向けの投資方法.com」や「www.わたしたちの広告コピーは長くても商品サービスの説明自体は短くてシンプルです.com」など、短い方がいいとされるURLをあえて信じられないくらい長いものにすることで通行人の興味を引き、実際にアクセスするとConexusのサイトに遷移されるよう設定されています。一見すると面倒くさささえも感じてしまうクリエィティブですが、それが逆にスパイスとなり人目に止まるような工夫が施されているのです。
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17. 笑顔のそばに、ハッピーセット! シンプルでインパクト抜群なOOH
マクドナルドのハッピーセットは、世界中の国々で愛されている定番の子ども向けメニューです。さまざまな人気キャラクターとのタイアップやマクドナルドのオリジナルキャラクターを活用したおもちゃがついてくることでも有名で、おもちゃ目当てにハッピーセットを注文した経験がある人もいるのではないでしょうか。アルゼンチンのマクドナルドでは、そんなハッピーセットの魅力を一目で伝わるように工夫したOOHが公開されています。
一切のキャッチコピーも商品特長の説明もなく描かれている3種類のビジュアルは、すべて子どもの笑顔とハッピーセットのパッケージだけで表現されています。すべてのビジュアルに出ている子どもの前歯が欠けており、その形がマクドナルドのロゴを象っていることがわかります。幼稚園から小学校低学年くらいの子どもがターゲットであるハッピーセットの特徴を、その子どもたちの成長(歯の生え変わり)と重ねたビジュアルのみで表現しました。
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18. OOHのメインビジュアルはお客さん! 大切な人との食事の時間を彩るコカ・コーラの施策
炭酸飲料業界を牽引するコカ・コーラは、本国アメリカをはじめ世界中で愛されているリーディングブランドです。家庭で、職場で、学校で、飲食店で……今となってはどこでも買えるからこそ場所を問わず楽しめるコカ・コーラですが、実は最近アメリカマーケットでは飲食店での消費量が微減傾向にあるという課題を抱えているようです。そんな状況を少しでも変えるために同社が公開したのは、ブランド名を打ち出しつつもしっかり飲食店の集客効果もある意外なOOHでした。
制作されたOOHは、飲食店の窓枠をコカ・コーラのブランドカラーでもある鮮やかな赤色に染め上げるという内容。外を歩く通行人から見ると、窓際の席に座っている人がコカ・コーラの広告に囲われているように見えるのです。端には小さく“Real Magic(まるで魔法のよう)”とキャッチコピーが書かれており、コカ・コーラを片手に食事を楽しむ人の時間そのものを彩っているような見せ方になっています。
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19. 立ち止まり目を留めた人の属性を識別、AIで可視化!「OOH Analytics」とは
有限会社サーチは、株式会社小田急エージェンシーが運営する「新宿サザンテラスビジョン」へ、屋外広告視聴者データ可視化サービス「OOH Analytics」の提供を開始しました。
新宿サザンテラスビジョンは、縦3.6m×横19mの裸眼3D対応L字型LEDビジョンです。2022年時点でギネス世界記録として、一日の乗降客数が世界一である新宿の駅周辺という立地、さらにはバスタ新宿をはじめ商業施設を利用する多様な人々へ情報を届けることが可能な媒体です。
また、LEDサイネージに併設するカメラが、立ち止まり目を留めた方の属性をリアルタイムに識別。その情報をAIで処理することでデータとして可視化し、蓄積しています。ここでの広告効果の検証が可能なほか、商品・サービスのマーケティングやPR戦略策定にも活用が見込まれます。
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20. 新路線なのに電車のビジュアルを“一切見せない”OOHの意図とは?
カナダ国内で8州をまたぐ鉄道網を有しているインフラ会社のVIA Railは、2024年にケベックとウィンザーを繋ぐ新しい路線の運行を開始しました。多くの国民に期待されながら運行を開始した……のかと思いきや、なんと新路線は全く知られていないという致命的な課題を抱えていたのです。この状況を少しでも好転すべく同社が公開したのは意外性抜群のOOHでした。
カナダ国内のいたるところに掲出されたOOHには「わたしたちの新路線について誰も知らないようなのでこの広告を制作しました」や「トロント市民の皆さま、わたしたちが新たな路線を開通したことをご存知ですか? 知らなかったとしても、これで知ることができましたね」など、見る人がそもそも知らない前提で書かれたメッセージが記載されていたのです。
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21. 純正パーツを使わないことのリスクを視覚的に訴えた中東・トヨタのOOH
自動車メーカーにとって、ユーザーが純正パーツを使ってくれるかどうかはビジネス構造上とても重要です。純正ではないパーツを使って事故や破損が起きればメーカーのブランドイメージにも悪影響を及ぼしかねませんし、何よりも大切なユーザーに大怪我をさせてしまうかもしれない……そのリスクを最小限に抑えるべく、中東のトヨタは純正パーツを使うことがいかに大事なことであるか、某SF映画を彷彿とさせるようなプリント広告で訴求しました。
“Don’t Let Your Car Turn Against You(あなたの愛車があなたに牙をむかないように)”という共通のキャッチコピーが書かれた3種類のビジュアルは、いずれも自動車がロボットに変身してしまったかのような姿と化しています。その禍々しい見た目からはユーザーの身を守ってくれる心優しいロボットには到底見えず、危害を加えようとする悪いロボットであることがうかがえます。
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22. アメリカに突如、謎のOOHが出現! パリ五輪に合わせたユーモアあふれる施策
イスラエル発のフリーランス向けクラウドソーシングサービスFiverrは、さまざまな国と地域の小規模事業者とフリーランスを繋ぐことで、通常であれば物理的な距離が原因で取引ができないような者同士で協業する機会を提供しています。そんなFiverrは、2024年パリオリンピック(パリ五輪)の開催に合わせて自社のサービス特長を伝えるためのOOHを、なぜかフランス・パリではない複数の場所で公開しました。
世界中のメディアが注目する一大イベントのタイミングに合わせて自社の存在感をアピールするためにFiverrが行ったのは、高額な公式スポンサー料を払ったり、価格が高騰しているであろうフランス・パリのOOH枠を活用したりといった王道の手法ではなく、開催地と同じ名前の全く関係のない街のごく平凡な媒体を使うというユーモアあふれるアプローチでした。
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23. 目を疑うほどのリアリティ!? CGIを駆使したシュールOOH=フェイクOOHが登場
大阪メトロアドエラは、大阪モード学園と共同で、Osaka Metro梅田駅にて実施された夏のオープンキャンパスキャンペーンを実施。デジタルOOHやOOH広告の新しい表現手法として、実際の空間には存在していないオブジェクトを配置したシュールOOH(フェイクOOH)を展開しました。
このキャンペーンでは、実際にOsaka Metro梅田駅空間ジャック広告(梅田プレミアムPlus)を展開。それをもとにして、実際の空間には存在していないオブジェクトを、CGI技術を用いて配置するという、新しい表現手法として注目されているシュールOOHの動画を制作し、2024年7月24日(水)よりオンラインで公開しています。
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24. 他社のサポートで完成!? コロナビールの斬新なOOH
軽やかで爽やかな飲み口が特徴のコロナビールが販売するノンアルコールビール「Corona Cero」は、ゆったりとした時間を提供することを心がけています。このメッセージを訴求するため、タフでハードなキャッチコピーが使用されている他社のOOHの横に、似たような構図でCorona Ceroのプリント広告を置くという意外な施策が実施されました。
「もっと力を」と書かれたスポーツ飲料の広告の横に「その後はリラックスしよう」。「今こそ動こう」と書かれたスポーツアパレルブランドの広告の横に「その後はリラックスしよう」。8月11日に閉会した2024年パリオリンピックの会期中、多くのストイックな企業広告が出現するタイミングを見計らって、あえて似たようなビジュアルで全く異なるメッセージングを打ち出すことでその差を際立たせたのです。
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25. 日差しによって見た目が変化 アイデアが光るOOH
スウェーデンの首都・ストックホルムにあるArtipelagは、コンテンポラリーからクラシカルまで、幅広い企画展を通じて地域住民のみならずヨーロッパ中にファンを持つ美術館です。特定のアーティストにフォーカスした展示やジャンルを横断しながら特定のモチーフを中心に企画された展示など、その種類は多岐に及びます。そんなArtipelagは今夏、ひまわりにスポットライトを当てた企画展を行うことを発表。そのプロモーションの主役となったのは、意外なメディアの意外な使い方でした。
展示は、夏の象徴とも言えるひまわりが印象的に描かれたアート作品をフィーチャーするという内容。Carl LarrsonやLena Cronqvistをはじめとした北欧出身のアーティストたちの、ひまわりに対するさまざまなアプローチを楽しめます。
その広告としてストックホルム市内に現れたのは、日差しの向きによって見え方が変わるアナログ感満載のOOHでした。水平にひまわりのシルエットを置くことで時間の経過とともにその下の掲出スペースに写し出されるひまわりの形が変わる……まさにリアルなひまわりの特性をアナログメディアで再現しています。
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26. 社長と社員のメールが看板広告に。長倉製作所の“誠実すぎる”学生向け採用OOH広告
静岡県沼津市に本社や工場を構える部品メーカー・株式会社長倉製作所による広告が、2024年9月10日(火)よりJR沼津駅の在来線改札内に掲出されています。今回の広告は、就職活動中の学生に向けて掲出したものです。
広告内には、左右に社長と広報チームのメールのやり取りを配置し、左側の社長から広報チームへと送られたメールには「沼津駅の広告を新しくしたいと思っています。お客さまへの誠実な姿勢を伝えたいです。検討お願いできますか?」というリクエストが記載されています。
一方、その隣にある広報チームから社長への返信は「人手が不足しているため、お客様への納期優先とさせてください。広告は追って検討します」とドライな反応に。キャッチコピーである「お客様に誠実な会社」を見る人たちに印象付けています。
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27. もはやヘッドホンはファッションの一部。オーディオテクニカ×SCREENのOOH
株式会社オーディオテクニカは2024年9月30日(月)から2024年10月6日(日)まで、東京・原宿、大阪・梅田茶屋町、福岡・博多天神の3都市にてワイヤレスヘッドホン「ATH-S300BT」の屋外広告を展開しました。
今回の広告キャンペーンでは、8人の個性豊かなモデルが『ATH-S300BT』をスタイリングして登場。海外のヘアショーでも活躍している気鋭のサロン「SCREEN」がそれぞれのモデルに合ったヘアスタイルを提案し、ヘッドホンとファッションが一体化する姿を表現しています。
さらに「オシャレは足元から。なんて、寂しいこと言わないでくれ。」と「自分らしさを、自分らしく。」という2つのメッセージを発信。このメッセージはファッションの提案だけではなく、ヘッドホンを通して自己表現を楽しんでほしいという願いが込められているもの。
完全ワイヤレスイヤホンが主流となっている現在において、あえてヘッドホンを選ぶことは、自分のスタイルや価値観を反映する選択です。オーディオテクニカは、そんな消費者に向けてヘッドホンがファッションとして、またライフスタイルの一部として新しい価値を提案しています。
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28. バイク乗りの……ロバ!? 知名度アップを狙った北米コーヒーブランドの意欲的なCM&OOH
オーガニックであり、フェアトレードであり、ローカルである。コーヒーにとって大切な要素をすべて満たしているアメリカ生まれのKicking Horse Coffeeは、そのインパクト抜群のブランド名もさることながらコーヒー愛好家から支持される立派なブランドとしてその名を馳せています。
そんなKicking Horse Coffeeに足りないものといえば、やっぱり知名度。後発のローカルブランドならではの悩みを突破するために同社が公開したのは、ブランド名に負けないくらいに強烈なCMでした。
“Kickstart Your Heart(心に火を灯せ!)”という動画の主役となるのは、1匹の小さなロバ 。山間の小屋の中で外を見つめるロバが、何を思ったのかバイクに跨って山を駆け巡る一部始終を紹介しています。
もはやそこにはロジックなどなく、シンプルにブランド名を印象的に見せるにはどうしたらいいのかを突き詰めた結果、名前をそのまま映像クリエイティブに落とし込んだとも言える、ある意味では究極に暴力的な企画。思わず笑ってしまうような結びつけが印象的で、一度見たら頭から離れないことでしょう。
同時に公開されたOOHも同様のメッセージが込められており、知名度を得るために愚直にブランド名を打ち出していく姿勢が伺えます。インパクト抜群のCMやOOHもさることながら、なぜ「Kicking Horse Coffee」というブランド名になったのか、由来が気になるところです。
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29.「フェイクOOH」の波はタクシーにも! GROWTHが日本初の広告プランを提供開始
タクシーサイネージメディア「THE TOKYO TAXI VISION GROWTH」(以下GROWTH)を運営する株式会社ニューステクノロジーは、3DCG/XRコンテンツ制作を行う株式会社Wangetと提携し、「フェイクOOH」をタクシー広告に採用した広告プランの提供を日本で初めて開始すると発表しました。
フェイクOOHとは、実際にはその空間に存在しないものの、デジタル上でリアルな表現や演出を楽しむことができる広告手法とのこと。海外では、多くの有名ブランドがプロモーション施策としてすでに採用しているそうです。
今回公開されたイメージ動画は、乗客がタクシーサイネージに触れた途端に画面がぐにゃりと歪み、突然お化けが飛び出してくる……といったもの。まるで本物のお化けが目の前に現れたかのような驚きあふれる内容になっています。
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30. 鼻が潰れた人が立ち並ぶ……? 新型ティッシュペーパーによる挑戦的なOOH
世界トップレベルの知名度を誇るアメリカ発のティッシュペーパーブランド・クリネックスは、これまで王道なクリエイティブから一風変わったものまでさまざまな手法を試行錯誤しています。
今回イギリス市場向けに発売したメンソールカプセルを配合した商品は、使用前に一度くしゃくしゃにすることでメンソールの香りを発生させ、鼻詰まりを緩和できることが特長です。それをビジュアルで表現した複数のOOHが公開されました。
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国内外の注目OOH施策2024年総まとめ
ただ掲出するだけではない、ストーリー性や体験型のOOHの事例が多く集まりました。
ただ、通りすがりに見るだけではなく、その先に何を持たせられるか、OOHの進化や工夫を感じられます。
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