寺院も市場も時空旅行の舞台に 1300年を巡る奈良市の都市型アートプロジェクト
奈良市と奈良市アートプロジェクト実行委員会は、2026年11月7日(土)から29日(日)まで、都市型アートプロジェクト「古都祝奈良(ことほぐなら)の時空旅行」を開催します。寺院や市場など、異なる時代の面影を残す街の空間を現代アートの舞台として活用。来場者が各所を巡りながら、約1300年にわたる奈良の歴史を体験できる企画です。
現代アートの展示には、日本・中国・韓国の3人のアーティストが参加します。東大寺観音院では韓国のキムスージャ氏、椿井市場では日本の中﨑透氏、北山十八間戸では中国の顧剣亨氏が作品を展示。それぞれの場所が持つ歴史と現代の表現を組み合わせ、街の過去と現在に触れられる構成です。

Kimsooja キムスージャ(韓国)Dimensions of a Needle, Museum of Contemporary Arts (MOCA), Toronto, Canada | 2026

中﨑透 なかざき とおる(日本)

顧剣亨 コ・ケンリョウ(中国)International Commerce Centre, 2023 © Kenryou Gu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
また、近鉄奈良駅前の行基広場では、公募で集まった劇団やパフォーマーが来場者を迎える「まちなか舞台」を実施。駅前を時空旅行の出発地点とし、来場者が各会場を巡ることで、歴史ある場所を訪れること自体がアート体験の一部となります。

こうした企画の背景には、10年間にわたる活動の蓄積があります。奈良市は2016年、文化庁事業「東アジア文化都市」の選定都市として、日中韓の文化交流やアートイベントを展開。翌2017年からは「奈良市アートプロジェクト古都祝奈良」として、市民とアーティストが共に創作し、学ぶ活動を継続してきました。
2016年の事業開始から10周年を迎える今回は、これまでの活動を振り返るとともに、次の10年へつなぐ機会としています。美術家らとの対話や散歩を通じて奈良を学ぶ「古都祝奈良の学校」では、今後のアート活動に役立つ教科書を発行。
さらに、東アジアの文化受容の歴史をテーマとした国際シンポジウムも開催します。これまでの活動で得た知識や経験を今後の文化活動に生かすとともに、国内外のアーティストや関係者が交流する機会を設けました。

寺院や市場など、時代ごとの歴史を残す街の空間を、現代アートを通じて新たな文化体験の場として活用した今回のアートプロジェクト。歴史的な場所を巡る体験に市民の創作活動や学びを組み合わせ、奈良の歴史や文化を、市民や来場者が関わり、交流するためのコミュニケーション資源へと変える取り組みといえるでしょう。
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