29年の時を経て――ギネスの“温故知新”な自信作!

長い歴史を誇る有名ブランドには往々にして“名作”と呼ばれる広告があります。国内ではサントリーや伊勢丹、JR東日本、世界ではAppleやマクドナルド、フォードといった企業がよく参照されるでしょう。

アイルランド発祥のビールブランド・ギネスもそんなリストに名を連ねるブランドで、1995年に公開されたCM「Dancing Man」は欧米圏の広告業界では今なお名作として語り継がれています。そんなギネスが発売したNitrosurgeというギネス専用泡立て機のCMは、まさにその「Dancing Man」をセルフオマージュした内容でした。

動画自体はシンプルなストップモーションアニメで、ギネスが入ったグラスの周りをNitrosurgeが楽しそうにダンスする様子が描かれています。一見しただけではその意図は伝わらないものの、海外広告に詳しい方であれば構図から音楽、テンポ感にいたるまで「Dancing Man」を参照していることがわかります。同社にとってはイノベーションとも呼べるビールの周辺機器を発売するにあたり、あえて斬新な表現を追求するのではなく過去の名作をセルフオマージュしたのです。

メーカー主語のコミュニケーションはユーザー受けが悪いという風潮もある昨今の広告業界において、セルフオマージュもそれに当てはまりますが、先人の知見が詰まった事例を参考に新しい表現を探るのはやはり有効かもしれません。

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