【速報】カンヌライオンズ2023「Good」部門グランプリ受賞作品まとめ
2023年6月にフランス・カンヌで開催された「Cannes Lions 2023」。社会通念を前進させるソーシャルグッドな作品に贈られる「Good」部門において、特定の文化に影響を及ぼした作品を評価する「Glass: The Lion for Change」、国を超越して社会そのものの改善を図った作品を評価する「Grand Prix for Good」、SDGsな作品を評価する「Sustainable Development Goals Lions」の3つの賞におけるグランプリをご紹介します。
Glass: The Lion for Change
「Knock Knock」(Korean National Police Agency)
Congratulations to @Cheil_Worldwide | Grand Prix winners in the Glass Lions for ‘Knock Knock’.
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— LIONS | The Home of Creativity (@Cannes_Lions) June 23, 2023
過去8年の間に、韓国国内における家庭内暴力(以下DV)の発生件数は718%も増加しましたが、実際に通報にいたるのはその内のわずか2%であると言われています。加害者に知られずに被害者が安心して通報する仕組みを構築しなければいけない事態を受けて、韓国警察が導入した“スマートフォンを活用した新しい通報手段”がグランプリを受賞しました。
新たに導入された施策としては“112番(日本で言うところの110番)に電話をかけたあとに任意のボタンを2回押す”というシンプルなもので、ボタンの押下が確認されたらショートメッセージでURLが送られてきます。URLをブラウザで開くと検索エンジン風の画面が出現し、検索バーにテキストを入力すればオペレーターと実際にやりとりができるという仕組みになっています。加害者にスマートフォン画面を見られても疑われない通報フローを構築した施策は2.37億ものインプレッションを獲得し、5,749件もの通報にいたりました。社会的な課題を解決するために行動様式そのものを変えたことが評価され受賞にいたったようです。
Grand Prix for Good
「Anne de Gaulle」(Fondacion Anne de Gaulle)
Congratulations to @HavasParis | Winners of the 2023 Grand Prix for Good for ‘Anne de Gaulle’.
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— LIONS | The Home of Creativity (@Cannes_Lions) June 23, 2023
ヨーロッパ最大級の空の玄関口、フランスのシャルル・ド・ゴール空港は同国の第18代大統領を務めた政治家であり軍人のシャルル・ド・ゴール氏を讃えるため命名されています。国内外を問わず高い知名度を誇る同氏ですが、その愛娘であるアンヌ・ド・ゴールは一切知られていません。生まれながらダウン症候群を患い、20歳で亡くなるまでシャルル・ド・ゴール氏から愛されていたアンヌ氏を通じてダウン症候群の啓蒙を行った施策がグランプリを受賞しました。
施策の内容としては期間限定でシャルル・ド・ゴール空港の名前をアンヌ・ド・ゴール空港に変えるというもの。看板やフライトタグ、カウンターに書かれた名前はもちろん、各航空会社が機内で行うアナウンスでも名称が変更されたことを伝えました。多くのメディアに取り上げられた施策はアンヌ・ド・ゴール氏の人生だけでなくダウン症候群を世界中の人々の言の葉に載せることに成功し、その功績が評価され受賞にいたりました。
Sustainable Development Goals Lions
「wheretosettle」(Mastercard)
2022年に発生したロシアのウクライナ侵攻が原因で、ウクライナ国民の1/4が戦争難民として近隣諸国に避難しました。中には幼い子どもや高齢者もおり、一気に流れてきた難民を受け入れた隣国ポーランドの首都ワルシャワは一時的に社会インフラが麻痺するほどの事態へと発展。この事態をなんとか好転させるべく、Mastercardが立ち上げた住居や職探しの総合プラットフォームwheretosettleがグランプリを受賞しました。
ワルシャワ単体では難民の受け入れは難しくても郊外の街であれば余裕があるはず、という仮説に基づきMastercardは利用者の決済データとポーランド国内の各地域の住宅状況、雇用に関する状況を参照。そのデータを活用し、どの街でどういう雇用ニーズがあり、住宅相場や交通情報はどうなっているのかという生活に必要な情報を提供しました。
全難民の20.05%が利用する大きなプラットフォームへと成長したwheretosettleは、本来難民たちを助けるために立ち上げられていたものの利用者がワルシャワを離れ郊外へと移住したことで、ポーランド全土が成長するという事態へと発展しました。人口増加に伴い郊外地域の経済が発展し、一部の専門家はこれがきっかけでポーランドのGDPが2-3%成長する可能性があると指摘。関係者全員が前向きになれるプラットフォームを早急に立ち上げたことが評価され、見事グランプリの受賞へといたったようです。
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