国内外で話題となった啓発活動・広告キャンペーン事例10選まとめ
営利を追求する企業活動ですが、自社の商品やサービスにまつわる社会課題や問題点を取り上げ、啓発活動とともにPRすることも時には必要です。
デリケートな問題を取り上げることもあるため、その扱い方や施策のあり方をどのようにまとめあげるかも重要なポイントとなります。今回は、そんな企業や団体が行う啓発広告やキャンペーンを国内外の10事例まとめてお届けします。
1.女性アスリートが戦う“不平等”を物理的に表現した啓発施策
フランスに拠点を構える世界第2位のエネルギー会社Engieは、基幹事業である電力やガスの供給に関する広告だけでなく、社会全体を前進させるためにさまざまな分野における啓蒙活動を行っています。
その一環として公開された動画では、女子スポーツ、特に女子テニスにおける世間の認識がいかに不健全であるかを指摘し、スポーツ業界における性別格差を浮き彫りにしています。
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2.「118」は何の番号?ドコモが海上保安庁とタッグを組んだ啓発キャンペーン
株式会社NTTドコモが、海上保安庁の緊急通報用電話番号「118番」の啓発を目的としたキャンペーンを2024年7月1日(月)に公開しました。
同キャンペーンの一環として、ドコモは海上保安庁協力のもと、アウトドアブランド「HELLY HANSEN(ヘリーハンセン)」と協業してアパレル製品を開発しました。「118(イチイチハチ)」と呼ばれるカプセルコレクションで、その名の通り「118番」を広く周知することが目的です。
ドコモは、海でも「つながる」を目指していることから、マリンウエアを中心としたスポーツウエアを展開するヘリーハンセンとタッグを組み、今回のキャンペーンを企画しました。ドコモの基地局830MHz〜の波形と合わせて「In case of emergency at the sea, call 118.(日本語訳:海の緊急時には118番をかけてください。)」とプリントされたデザインになっています。
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3.性差別をなくすために 南米・三菱自動車の啓発キャンペーン
ブラジルの公用語として知られるポルトガル語には、男性名詞と女性名詞と呼ばれる概念が存在します。同じエンジニアを意味する単語であっても、対象が男性か女性かによって言葉(主に語尾)そのものが変わってしまうのです。
例えば男性ドライバーはpilotoと呼ぶにもかかわらず、女性ドライバーに対応する単語はこれまで存在することすらなく、無意識のうちに女性差別を誘発してしまう懸念を訴える声もあります。そんな状況を変えるべく、現地の三菱自動車は多くの女性レースドライバーを巻き込んだSNS企画を公開しました。
ソーシャル上に公開された動画を通じてブラジル国内で活動しているプロの女性レースドライバーに呼びかけ、pilotoに対応する女性ドライバーの言葉pilotaが存在すべきであるというメッセージを伝えました。このトピックは瞬く間にSNS上で話題となり、多くのユーザーの賛同の声が集まるにつれて国内のメディアがニュースとして取り上げることとなり、最終的にはポルトガル語の辞書に無事pilotaという単語が登録されるようになりました。
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4.“ルールやマナーを守れない方は乗らないでください”LUUPが啓発活動を実施
電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」を展開する株式会社Luupは、春の全国交通安全運動に合わせ、安全利用と交通ルール遵守の徹底を促す啓発活動を実施。
2024年4月4日(木)から10日(水)の期間に、啓発広告をSHIBUYA109渋谷店に掲出するほか、安全講習会の開催、LUUPオリジナルデザインのヘルメットをプレゼントする「春の安全ライド啓発キャンペーン」などを行いました。
“街じゅうを「駅前化」するインフラをつくる”をミッションに掲げるLuup。電動キックボード利用前の交通ルールテストにおける連続満点合格の義務付け、年齢確認書類の提出などの安全対策を行ってきました。一方で、ルールやマナーを守らない一部の悪質な利用者がいることも認識し、重く受け止めています。
啓発活動では、「ルールやマナーを守れない方は、LUUPにも乗らないでください。」の広告をSHIBUYA109渋谷店 店頭イベントスペースへ掲出。4月6日(土)、7日(日)には、電動キックボードと自転車の交通ルールや走行時の注意事項等をまとめた「ご利用ガイドブック」の配布も同場所で実施しました。
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5.乳がんに年齢は関係ない 力強い啓発キャンペーン
英ロンドンに拠点を置くCoppaFeel!は、乳がんの啓発を目的としたNPOとして2009年の設立以降さまざまな活動を通じて乳がん検診の重要性を訴求してきました。そんなCoppaFeel!が公開した縦型動画とOOHでは“乳がんは年齢によって発症するものではない”というメッセージを痛烈なビジュアルとセットで訴えています。
乳がんは加齢とともに発症するものではなく、年齢を問わず襲いかかってくるものだからこそ早いうちから乳がん検診を行うことが重要です。そんなメッセージの重要性を強調するためにも、ビジュアル面でのインパクトを大きくした内容となっています。
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6.自ら命を絶ってしまった少年の電話番号を使っていじめの撲滅を訴えたNGO
ベルギー生まれの少年Glennは、15歳の時に自分の裸の写真データを知り合いに送り、数日後その写真をネット上で発見しました。あまりのショックに耐えきれなかったGlennは自ら命を絶ちます。この悲惨なニュースは、ベルギー全土を駆け巡り、性的ないじめがいかに深刻なものであるかを全国民に考えさせるきっかけとなりました。
子どもの虐待やいじめなどの撲滅を目指すベルギーの財団Child Focusは、Glennの事件が風化しないよう彼が生前使用していた携帯電話の番号を買取り、そこに電話をかけると性暴力の厳罰化を求める署名活動に参加できる啓蒙キャンペーンを公開しました。
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7.遊びながら鉄のリサイクル優位性を啓発するアイテム「鉄の転生すごろく」誕生!?
面白法人カヤックは、一般社団法人日本鉄鋼連盟(JISF)および株式会社デイリースポーツ案内広告社と協力し、鉄のリサイクル優位性を啓発する「鉄の転生すごろく」を企画・制作しました。
このすごろくは、アイテムのほとんどが鉄で作られていて、材料の持つ本来の性質を保ったまま無限にリサイクルできる鉄という素材のすばらしさを実感できるゲームとなっています。
鉄は何度でも生まれ変わり続けることができるエコな素材だということを訴え続けてきたJISFと、面白法人カヤックがタッグを組むことで誕生した啓発すごろく。あわせて数学・理系ネタで人気の動画クリエイター「積分サークル」ともコラボし、「積分サークル」による「鉄の転生すごろく」プレイ動画も公開することで、幅広い世代の皆さんから親しまれ、鉄のリサイクル優位性の認知拡大を目指しています。
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8. TikTok広告の新機能「ストーリーセレクション」を活用!アイセイの啓発キャンペーン
株式会社アイセイはコンタクトレンズやカラーコンタクトレンズの正しい使用方法を周知すべく、studio15株式会社が運営する「ドラマみたいだ」とコラボしたショートドラマ型の啓発動画を2024年9月10日(火)にTikTokで配信開始しました。
今回の広告の大きな特徴は、TikTok広告の新機能「ストーリーセレクション」を活用していること。動画の途中で2つの選択肢が表示され、視聴者が選んだセリフによって物語の結末が分かれます。選択肢のひとつはカラコン使用時のNG行動と繋がるため、視聴者はショートドラマを通じて正しい使い方を学べるようになっています。
「啓発活動」と聞くとややお堅いイメージがありますが、TikTokで話題の恋愛系ショートドラマとコラボして発信することで、若年層に正しいカラコンの使い方を発信しています。
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9.五感を擬人化!?「目の大切さ」に気づくきっかけをアニメーション動画で啓発
ロート製薬は、東北大学COI-NEXT 「Vision to Connect」拠点(JST「共創の場形成支援プログラム」)監修のもと、子どもの目の健康に関する啓発アニメーション動画を開発し、宮城県富谷市において小学校の学活授業で活用してもらうとの発表を行いました。
今回制作された啓発アニメーション動画は、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)それぞれを擬人化したキャラクターを通して、重要な五感の一つである視覚の大切さに気づいてもらい、早い段階から目をケアする必要性について、主に子どもたちをターゲットにしたもの。この啓発動画は「ロートアイケア教材」の導入動画として今後活用されていく予定です。
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10.「わたしたちはバナナじゃない」米日焼け止めブランドによる皮膚がん啓発キャンペーン
アメリカで5人に1人が発症するという皮膚がんの予防について啓発するため、日焼け止めブランド・Sun Bumが、「わたしたちの体はバナナのように皮に覆われていないので、日焼け止めで守る必要がある」というメッセージを込めた「We Are Not Bnanas(わたしたちはバナナじゃない)」キャンペーンを実施しました。
Sun Bumでは毎年、バナナスーツを着ながらさまざまなチャレンジを行う「バナナスーツチャレンジ」を実施しており、こちらはその2021年版として実施されたもの。アメリカ各州の銅像にバナナスーツを着せていくことで、常に日光に晒されながらも日焼け止めを塗れない銅像たちにはバナナスーツを、日焼け止めを塗ることが可能な人間に対しては日焼け止めをお勧めするシンプルなメッセージとなっています。皮膚がんのリスクや日焼け止めの重要性に関する知識を広めるのが狙いです。
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啓発活動・広告キャンペーン10事例まとめ
インパクトのあるビジュアルや心に響くメッセージで、啓発を促すアイデアがさまざまに出揃いました。
「お堅い」「難しい」そんなイメージを持たれがちな啓発活動ですが、工夫次第でわかりやすく、より多くの人に認知してもらう、そして新たな意識を持ってもらうきっかけ作りとなることがわかります。
経済活動を行う企業だけでなく、生活者にも社会全体の課題の当事者であること、そんな気づきにアプローチすることで生まれるコミュニケーション施策の数々となっています。
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