インバウンド、老人ホーム向け!?2種類の体験型箱庭が実現するサステナブルな価値

創業70年の株式会社山一屋の100 %出資会社である楽ポケ株式会社は、2024年 5月、訪日外国人向け商品の箱庭「紀州玉手箱」と、老人ホーム向け商品の箱庭「万葉」の2商品の販売を開始しました。

庭とエクステリア製品の専門メーカー「山一屋」で使用する素材の端材を活用することで、持続可能な社会へ貢献し、サステナブルな暮らしをご提案することを目的として誕生したブランド「J.Make」。天然素材の焼杉板・黒竹・竹穂などは入荷量が少なくなり、製作時に出る端材も貴重な資源となってきました。

その貴重な素材の端材を廃棄するのではなく活用することで、国内外の多くの方々に和の素材の素晴らしさをもっと知ってもらいたいという思いから新しい商品を企画制作しています。これまでは、おもに家庭で楽しめる商品をECサイトで販売していましたが、今後は他企業とも連携し、さまざまなシーンにあわせた製品を誕生させ、サステナブルな暮らしを提案していくとしています。

「紀州玉手箱」は、訪日外国人の方へ日本と和の素材の素晴らしさを体験し、知ってもらいたいという思いから開発した箱庭。自由な発想で作る箱庭は、つくる楽しさ、飾る楽しさ両方を味わえるものとなっています。また、サステナブルな素材をふんだんに使った箱庭を、玉手箱風に仕上げているところも特徴です。主にホテル宿泊者の方向けに、「和」の体験プログラムとして体験してもらうことを提案しています。

構成されるパーツにも数々のこだわりが込められています。焼杉板を使用して作った箱として、島根県の杉板と真鍮釘で組立。杉板を火であぶり炭化させることで耐久性を高め、木目模様を引き立たせています。抗菌砂は、淡路島より取り寄せ、高温で熱処理を行った砂なので砂場に使われるもので、子どもにも優しい素材となっています。

備長炭は、和歌山産のウバメガシを高熱で加熱処理されたもの、和歌山産の黒竹と竹穂は、和歌山県高郡で採集された天然黒竹で、青竹から3年位たつと黒く変色する特徴を持っています。紀州川石は、河川改修時にとれる貴重な和歌山県の川石です。プリザーブド加工されたフィンランド産の苔は、苔の水分と色素を抜き取り着色材で染加工されたもの。砂紋器具として竹串と火あぶりした木材で作製したオリジナル品も付属しています。

「万葉」は、高齢者社会に何か貢献できることがないか考えていたところ、老人ホームなどで、認知症高齢者と心理臨床なかかわりを持つための箱庭があることを知ったことがきっかけです。

しかし、そこにはいくつかの課題がありました。従来の箱庭は、箱のサイズがW57×D57×H7㎝と大きく、飾り付けるアイテムが多いため、付き添いが必要になり、未完成のままになることが多いといった点です。そこで、今回開発した「万葉」は箱のサイズを小さくし、お年寄りなどが好む和風の庭を提案し、楽しみながら芸術療法(アートセラピー)の一環としても提供できる形にされています。

箱サイズW28 cm ×D28 cm× H7 cmと小ぶりながら、ひとつのセットで好みのパーツを使用しながら、さまざまなデザインの箱庭に仕上げることができます。

高まり続けるインバウンド需要に、日本ならではの文化を体験するメニューのひとつとしての箱庭体験。高齢化社会がより一層進行する中でのアートセラピーとしての箱庭体験。一見、まったく違う方向性のようなものに共通性を見出して、従来よりも体験しやすい形となっている商品開発がお見事です。

また、厳選された素材を使用しながらも、親会社の端材を上手に活用している点などサステナブルな観点からも優れています。今後日本国内で重要度が増すであろう、インバウンドと高年齢層向けというマーケティング視点の商品としての好例となっています。

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