本当に美味しいものを食べているとき人は醜くなる!?作られた世界観を否定したKFCのCM
食に関連する広告コミュニケーションの多くは、食べる人の笑顔を中心に描かれています。整えられたセットの中で整った商品を持ち、作られた笑顔で食べている様子を通じて美味しさを訴求する――そんなフォーマット化されたコミュニケーションが溢れかえる中で、スペインのケンタッキーフライドチキン(KFC)から「美味しいものを食べているとき、人は極限まで本能的な表情を浮かべる」というコンセプトで制作されたCMが公開されました。
“Enjoy, It’s Beautiful(味わう、それは美しい行為)”を題したCMは、フライドチキンやサンドイッチをはじめとしたKFC商品に食らいつくさまざまな人々の様子を描いています。彼らが浮かべる表情は作られた笑顔などではなく、ソースが垂れようが手が汚れようが一切気にすることなく目の前のチキンに集中する、まさに本能的と言える一面です。
企画を担当した広告代理店PS21のExecutive Creative DirectorのVictor Blancoは「広告業界には偽物の笑顔を見せながらジョークを言う役者が溢れかえっています。食べながら笑う人なんていますか? 美しい笑顔を浮かべながら美味しい食事に没頭する人なんていますか? 本当に美味しいものを食べるとき、私たちの顔は面白いくらい歪んでしまいます。KFCのフライドチキンはそんなリアルな顔を引き出すことができるというメッセージを表現したCMに仕上げました」とコメントし、計算されたクリエイティブの中であえてリアルな表情を誇張するという手法の意義をアピールしました。
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